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■平成27年12月6日 榎田中央
[第1試合 ]
○N.ライオンズ 7×-6 76ers●

76:101 000 4 : 6
NL:220 100 2×:7
【勝利投手】翔平 1勝

【勝利打点】翔平 4


[最終戦=第2試合 ]
○N.ライオンズ 6-4 白蛇●

NL :012 003 0: 6
WS:003 000 1: 4
【勝利投手】安井 2勝2セーブ

【勝利打点】樋口 2

【本塁打】樋口3号

【経過】
激動のNL2015年も、いよいよシーズン最終戦を迎えた。
今季はリーグ4連覇を逸したものの、オータム杯初戴冠を果たし、またもや充実した1年を終えようとしていた。
が、しかし、残る大問題は、醜い個人タイトル争いだ。これまで最終戦前に中間最終成績発表をした年もあったが、まるで大人げない、
野球人あるまじき足の引っ張り合いに発展。首脳陣は敢えて一切の公表を控え、この日1日のガチンコ対決を見守った。

最終戦はダブルヘッダー。特別企画として、希望の守備位置へ早い者勝ちで選択させると、キャッチャーのポジションに3~4人が殺到するなど、“日本一捕手層の厚い草野球チーム”を物語る結果に。
先発マウンドには左のエース格に成長した、此上。シーズン終盤で目覚ましい活躍を見せ、来季の開幕ローテーションを力で勝ち取った。

初回、1点を失うもその裏、“妻に内緒のNewバットは確実に使いこなせてるぜ”と言わんばかりに松永のレフト前ヒットなどで2死二、三塁。
オイシイ場面で打席には樋口。ベンチからは、もじゃもじゃ男の囁きがあからさまに聞こえてくる。

「くそっ、凡打しろっ」「絶対、打ち損じろっ」この男、どのタイトルを狙ってるのか、単にパイセンに対する怨み妬みなのか、全く定かではないが祈りにも似た囁きが効き、打球はショートへの平凡なゴロ。「しくった!」樋口の全力疾走が功を奏し、相手エラーを誘う。
三塁ランナーがホームインし、しっかりと打点1をゲットだ。「嘘だろぉぉぉぉぉ!!!」公式記録員に何度も確認し、打点が認められると、
「マジかよぉぉぉぉぉ!!」。黙って事の成り行きを見守っていた他のNLナインから一斉に「ちいせぇぞ~!!」罵声を浴びながらモーリスが気持ちを切り替え、2回先頭の打席へ。ちいせぇ男が放った打球は、レフトスタンドめがけてのおっきな飛球。
しかし、弾道が低く、スタンドを越えないとわかった時点で「くっそぉぉぉぉぉ!!」この男の狙いは、ホームラン王だ。トップ樋口&高橋を1本差で追うモーリスの集中力がハンパない。しかし、打って走り出した直後に勢い余って転倒。笑いのツボは心得ている。

2死から打席には高橋。ホームラン王争いのトップを並走する男は、単独キングを狙……ったものの、こちらもキング独走中のデッドボールがいきなり炸裂。その確実性は、まさに人間国宝級!ベンチの拍手喝采を浴びるも「めっちゃ痛い所……」と、右ヒザ裏側を押さえ悶絶。最終戦ぐらい大袈裟にいっとくか…と言わんばかりに、両脇を抱えられ、脂汗を流しながらの退場だ。
直後には中津がレフト前タイムリー。この男、全く個人タイトルなど眼中にないと思わせときながら、主要各部門でかなり追い上げて来ているはず。侮れない。
そして、その存在感を示さずにいられないのが、久々にセンターの守備位置に就いた久保。1塁にランナーを背負い、相手打者が放ったセンター前へのゴロの打球。猛チャージを見せ打球を掴むと、そのまま素早く無駄のない動作で二塁へ送球しアウトに仕留める“センターゴロ”。
先日ライトゴロに仕留めたキャプテンに続き、NL野球伝統のスーパープレーで試合を優位に進める。

3回には樋口が守備で魅せた。
野手の間に落ちそうな打球を、最後はスライディングキャッチ。昨年プレーオフで重傷を負ったプレーがオーバーラップされ首脳陣をヒヤリとさせたが、同じ轍は踏まないと言わんばかりの華麗な守備で盛り上げる。「チッ!」と舌打ちしてそんな姿を忌まわしく見つめたモーリスにも、
忌まわしいファーストフライが上がった。「オーライオーライ!!」でかい声で難なくガッチリと掴み、地に墜ちた評価を覆すべく、
ドヤ顔でアピールするも周囲から一斉の「イージーやんか!!」。

3回から登板の相手投手もグッと精度を上げてくる。今夏まで名門高校野球部で活躍した“現役”投手だ。強力NL打線も鳴りを潜める。
が、しかし、今季タイトル争いを演じる猛者たちが、好投手を前に徐々に覚醒していく。

4回、樋口、此上という左右の強打者が打ち取られ簡単に2死となるも、モーリスが必死に食らいつきショートゴロ。打球の速さに野手がファンブルし出塁。1塁ベース上で「ヒットだろ」とアピールするモーリス。しかしベンチでは「完全にエラー」「ヒットありえん」誰もが厳しい判定を下し“エラー出塁”。この場面で吉武。シーズ中盤以降、ヒット量産で猛烈に追い上げを見せる勢いそのまま、好投手に臆する事なく初球を叩く。すると、前週も見たかのような打球がレフトへ。これがスライスしてファウルになる事もなく、レフト線の内側にナイスオン。好調なベテランのひと振りでリードを3点と広げ、ゲームは進みいよいよ最終回。

新・勝利の方程式として、マウンドには翔平が上がる。この日もMAX165キロのストレートが唸りを上げる。が、しかし、この日はまさかの制球難。自滅に近い乱調で4点を失い、土壇場での逆転を許してしまう。
まだ、ゲームは終わったわけではない。翔平のミスを全員でカバーすべく最終7回裏、樋口が粘りに粘って先頭四球。ノーアウトから同点のランナーを出して此上の打球は紙一重のピッチャーフライ。1死となるもサヨナラの場面でモーリス。「やべ~!おいし過ぎる!!」力むモーリスに鉄槌を加えるかのようなデッドボール。モーリス、調子に乗るな!黙って一塁へ歩け。と言わんばかりの展開で打席には吉武。誰にも悟られぬよう、密かにサヨナラの場面を描きながら打席に入るも、ベテランにしても調子に乗りすぎたかボッテボテの内野ゴロ。しかし、飛んだコースが幸いし、どこにも投げられない内野安打に。なんと、ここで打席には逆転を許した張本人の翔平だ。1死満塁。まさに筋書きがあったかのような、筋書きのないドラマだ。ベンチの大声援を浴びた翔平の打球は前進守備の間を破るセンター前へのクリーンヒット!3塁から樋口、そして2塁からモーリスが激走しホームイン。鮮やかな翔平の逆転サヨナラタイムリーが決まったが、ホームベース付近では生還したはずの樋口、モーリスの師弟コンビが相次いで転倒する、なんとも締まらない幕切れに。
ともあれ、今季最終戦を白星で締め括り、球場を後にしよう……としたところで「ちょ~っと、待ったぁぁぁ~~!!」
NLに挑戦状を叩きつけるチームが出現。その名も、白蛇!10周年記念だか何だか、安価なユニホームに身を包んだ黒い軍団の挑発に、NLキャプテン岸本が呼応する。「よし、そこまで言うならやってやる。但し、負けたらお前ら、10年目にしていよいよ解散だ!!」。

暫定最終戦、エキシビションマッチ開始。「どうせ先発は中津だろ」と予測するNLナインの裏をかき、白蛇が送り込んできた先発ピッチャーは、Mr.ファイヤマン!まさかの大胸筋躍動だ。

2回、NL初の四番に座った小田が黙っちゃいない。「夢をあきらめなければ四番だって打てる。“あ~なた~の夢~を~あきら~めないで~”打法だ!」その勢いにビビったファイヤマンから四球を選ぶ、四番らしい貫禄の作戦だ。続く初の五番に座り慣れない居心地の悪さから美澤は凡退。前試合のヒーロー翔平、安井の出塁で満塁。「やばい、今度は俺っスかね」高橋の打算も虚しくサードフライで2死。しかし、こんな打順でもキッチリ仕事できる天才・松永が、押し出しのデッドボールを選び先制点を奪う。さらに満塁。ここで一際ちいさなシルエットが打席へ。NL育成枠として7年間、“獅子の穴”で英才教育を施され、白蛇対策としてこの日ついにベールを脱いだ、“背番号105”ユウトだ。指揮官の期待に応えたい記念すべきデビュー第1打席は、セカンドゴロに終わった。

3回、1死1塁から、力が有り余って仕方ない樋口の打球は痛烈なレフトオーバーツーベース。「ちきしょ~~」なぜか敵対視する後輩モーリスが次の打席へ。しかし、力みすぎて敢えなくサードゴロ。「お、終わった……」個人タイトルに執念を燃やし続けた男も終焉を悟った。
だが、こちらは同じルーキーでも志が違う。

此上が放った鋭い当たりはライト線を襲う2点タイムリーツーベース。リードを3点と広げ、キッチリと結果を残した。
しかしその裏、白蛇10年の執念で2点を返され1点差。なおピンチの場面で打球はライト前へ。この日のライトはNL史上最年少ユウトが守っている。二塁ランナーは三塁を蹴ってホームへ。ユウト懸命のバックホームは見事なストライク返球。タイミングはアウトだ!しかし、審判の判定はまさかのセーフ。この判定に怒ったキャッチャー翔平が審判へ詰め寄る。と、同時にベンチから脱兎の如く飛び出したのはキャプテン岸本!
審判と顔と顔を突き合わせ、MLBばりの猛抗議だ。NL史上初の“事件”を目の当たりにして、本気で白蛇解散を目論んでいるのがわかる。
解散の危機を免れたい白蛇は同点に追いつくと、いよいよエース久保がマウンドへ。ここからは、がっぷり四つだ。
4、5回と両チーム無得点。ただならぬ雰囲気が球場を包む。

6回、遂に均衡が崩れた。決めたのは主砲のひと振りだ。1死一塁、打席には樋口。おそらく今季最終打席だ。この時点で高橋とホームラン王争いで並んでいる。狙いはあからさまだが、そこを決めるのがNLの主砲だ。
久保の投球をものの見事にシバキ上げると、打球はレフトスタンド遥か上段へと突き刺さる3号2ランホームラン。誰もがその一打に驚嘆し、最後までタイトル争いを演じていた高橋は崩れ落ち、人の不幸を悦び続けたモーリスは白旗を挙げた…。
その後は1点ずつを取り合い、結局、2点差で勝って最終戦を締め括った。
気になる白蛇の解散状況は、今のところ進捗なく、単なる脅しの一環として処理された模様。

■平成27年11月29日 水産加工
○N.ライオンズ 12-0 ジャイアンツ●

G :000 000 0: 0
NL:122 050 2:12

【勝利投手】久保 3勝1セーブ

【勝利打点】なし

【経過】
全国区に知れ渡る両チームのユニホームが対峙する。まさに、仮想・日本シリーズの始まりだ。この日は来季リーグ参入を目指すジャイアンツの審査試合。
NLとしては毎年の恒例行事ともなったが、ここは気を引き締めて掛かりたい。厳かなムードから一転、NLマスコットボーイ、ユウトの始球式で幕を開けた。

初回、NL先発は久保。査定試合では無敵の強さを誇る、“NLの番人”だ。
いつも通り、球威、制球ともに何の問題もなく、初回を難なくゼロに抑える。

その裏、先頭のモーリス。前週の大会から復調の兆しが見えてきたものの、1打席でも多く打席に立たせ、さらなる復活劇を見たい首脳陣の親心。期待に応えたい…しかも今日は久々にパイセンもベンチから鋭い視線を浴びせている。あえなくサードゴロに倒れ、パイセンと視線を合わさないよう、何事もなかったかのようにベンチへと戻って行く。
続くは天才、紙一重の魔術師、安井。え???まさかの三振に倒れる。これも紙一重か。
天才が続き、松永。こちらは三遊間を鮮やかに抜けるレフト前ヒット。遂におNEWバットでの初安打を決め、ニヒルな表情がやや崩れる。
嬉しさのあまり、松永がグランド上を躍動だ。二塁、三塁へと連続スチールを決め、盗塁王狙ってます感をも存分にアピール。
樋口の打席で相手バッテリーミスに乗じて本塁まで陥れ、ひとりで先制点を叩き出す。

2回にはあっさり2死から此上がセンター前クリーンヒット。盗塁も決め、久保のサードゴロで難なく追加点。さらに続く吉武が、スライスして切れない技ありのレフト線タイムリーを放ち3点目を叩き出す。

3回先頭の安井。様子見の1打席目とは違い、今度こそは……しかし、紙一重の連続三振。まさかだ。
得点圏に松永を置き、帰ってきた樋口が度肝を抜く一打を放つ。打球は鋭角に三遊間を切り裂くと、物凄いスピードで左中間をも真っ二つ。あっ、という間に外野フェンスに到達するタイムリーツーベース。大事なポストシーズンで無念の欠場となり、その溜まりに溜まったマグマを一気に放出した。
続く高橋も出遅れる事なくセンター前タイムリーを放ち、この回さらに2点を追加。

5回にはビッグイニングだ。
パイセンの一打を見て悲壮感漂う先頭のモーリスが必死に食らいつき相手エラーによる出塁。続く安井が四球を選び、松永がセンター前タイムリー。美澤がサードへ強襲ヒットを放ち塁を埋めると、今度は樋口が詰まりながらも力と技で右中間を真っ二つ。またしても度肝を抜く2点タイムリーツーベースを放つと、さらに翔平がセンター前タイムリー。この回一挙5点を奪い、10得点に積み上げる。

6回には先頭の吉武が右中間突破のツーベースで出塁。「このバットにさらに輝きを加えたよ」と綺麗事を並べるも、あくまで高橋からバットを借りただけにすぎないあざといベテランの一打でチャンスを広げ、さらに岸本も四球。尻に火が点いたモーリスは遂にレフト前ヒットを放ちノーアウト満塁。しかし安井が紙一重の内野インフィールドフライ。さらに捉えた松永の一打はセカンド真っ正面となり併殺。
気を取り直して最終7回。二人のランナーを置いて翔平の当たりは、“らしい”ライトオーバーの2点タイムリーツーベース。
13安打12得点の打線と、投げては久保-美澤-此上-翔平の磐石の完封リレー。
来季を十二分に見据えた采配で、通算152勝目を飾った。
いよいよ次週はNL2015最終2連戦。
例年通り、ドス黒い遺恨渦巻く個人タイトル争いに加え、年1特別企画「白蛇退治大作戦」。
最後まで目が離せない!!

■平成27年11月22日 サンピア福岡
[予選=第1試合 ]
○N.ライオンズ 5-0 福間病院●

FB:000000:0
NL:10040×:5
【勝利投手】美澤 2勝1敗
◯美澤・久保ー翔平

【勝利打点】美澤 1


[予選=第4試合 ]
○N.ライオンズ 8-2 ヤンマー●

NL:i3113:8
YM:1001:2
【勝利投手】此上 5勝3敗
◯此上・安井ー中津

【勝利打点】久保1


[決勝戦]
○N.ライオンズ 8-2 ライデン●

NL:410120:8
RD:100100:2

【勝利投手】此上 6勝3敗
【セーブ】 美澤 2勝1敗1S
◯此上・美澤ー中津・翔平

【勝利打点】久保 2

【経過】
パブリックリーグ4連覇の夢を絶たれたプレーオフ準決勝敗退となるドローから2週間。
いつまでも悲観している暇はない。次なる野望を胸に、逆襲の獅子の戦いが再び始まった。
次なる目標は、オータム杯野球大会の制覇だ。4年前、NLは初参戦ながら破竹の勢いで決勝へ進出。その決勝戦は大激闘の末サヨナラ負けで優勝を逃すという結末に沈んだ。“4年前の忘れ物”を探しに、再びNLがこの舞台に戻ってきた。さあ、いよいよ勝負の1日を迎えた!

リーグ戦プレーオフ準決勝では、主力4選手を欠く手負いの状況を強いられたものの、この日は久々の13人態勢。
無念の欠場となった樋口、そして遺影のようにベンチに飾られる背番号11[T.IWAI]通称・台湾ユニホームがNLを後押しする。

予選ラウンドいきなりの第1試合、初対戦となる福間病院との戦い。
先発は自ら初陣を志願しての登板となった美澤。あっさりと初回0で切り抜けると、そのままスイスイと5回無失点。

打線は初回、先頭の高橋が期待通りのデッドボールで幕を開け、美澤が先制タイムリー。さらに13人中6番に昇格した吉武がライト前ヒットで
チャンスを拡大すると、絶好の場面で“忘れられた”9番に降格のモーリス。悔しさをぶつけたい一打はあえなくショートへのポップフライ。
どうしたモーリス!
守備では期待と不安を込めてファーストでの出場。体を張って猛アピールも、ダイビングキャッチからボールがポロリ……
そしてフライを追いかけては、またポロリ……まさに負のスパイラルにベンチへ戻って茫然自失だ。
もはや築き上げてきた栄光のサクセスストーリーはとうの昔に地に堕ちた。来季はマイナスからの育成枠契約がチラつく。
だが、挽回の場面が訪れた。1点リードのまま4回、相手ボークと安井のタイムリーで2点を追加し、なおも2死満塁。打席にはモーリス。
得失点の絡みを考慮すればここはさらなる追加点が必要。が、もはや誰も期待していなかった場面でモーリスが放った打球は、まるでNLデビュー当時を思い起こさせる弾丸ライナーでレフトスタンド一直線。いっちゃうのか~!が、しかし両翼95メートルの激広スタジアムには届かず。
だが、他の球場なら文句なくいっちゃったであろうレフトオーバーの2点タイムリーツーベース!!モーリスやればできるじゃん!
お前ならできる!!

一気にリードを5点差に広げると、最終回は久保が味方の守備に足を引っ張られるハンディをものともせず、無失点投球。
最終回、守備固めでファーストに就いた吉武が、何でもないファーストゴロを、何でもないような顔で後逸。
「やっぱファースト近辺の地盤が悪いね」
と序盤モーリスの守備を庇いながら自らのプレーも肯定するドス黒さを見せ、5-0で幸先良いスタートを切った。

次のゲームは3時間後。昼寝する者、コンビニ行脚する者、黙々と自主トレする者。様々だが、ベテランにとっては冷えた体を戻すのは至難の業。小田は歯痛のあまり周辺徘徊を続け行方不明。「誰か場内放送で捜索してくれ~!」悲痛な叫びがこだまするも、何とか小田を無事に見つけ出して、ようやく予選ラウンド第2戦へ突入。

同じグループのSS代表Peepsが1勝1分けで予選終了。得失点の絡みでNLは次のゲーム、勝利以外に決勝進出の目はない。
即ち引き分け以下は敗退を意味する。な~んとなく程よい緊張感が充満してきた。これで百戦錬磨のNLナインに火が点いたのだ。
「実にシンプルだ!勝つのみだ!!」

初回、いきなりそんなNL打線が爆発。先頭の高橋は「もう当たっちゃや~よ」とばかりに今度はキッチリとバットに当てレフト前ヒット。
指揮官からこの日の核弾頭に抜擢された男がいきなり出塁し二盗。続く松永、此上の新打順で連続四球を選びノーアウト満塁。
美澤は紙一重を打ち損じ内野インフィールドフライ、安井までサードファールフライ。得点が入らぬまま不穏な空気に包まれかけるが、
ここで打席には13人攻撃前半の勝負所に抜擢された吉武。指揮官の期待に応えたい打球はライトへの飛球。いかん、追いつかれたか~~……が、しかし、好調吉武の打球には自然界も味方する。緩やかな風と太陽光のコラボに打球が重なりボールは外野頭上を転々。
先制の2点タイムリーツーベース。さらに続く久保がレフト前タイムリーを放ち初回3点を先制。
2回には高橋お約束のデッドボールが押し出し点となり1点を追加。やはり、“持ってる”男たちは違う。どんなプロセスも、最終的には好結果を生んでしまう。
さらに3回、2死一、二塁から今度はまたも吉武だ。「し~・し~・ぎゃ~~りゅ」指揮官から放たれる独特のタイミングで放った打球は、
今度はショートへの叩きつけでボテボテだ。どこへ打ち分けても嫌な当たりで悪送球を誘うタイムリーエラー5点目。

4回には「4年前の忘れ物を探しに来た」と意味深な志願出場を果たしたFUKAMAXが、またもベテランらしいボテボテのショートゴロで追加点。NLの、小さな事からコツコツと、の得点パターンでリードを6点に広げると、さらに中津のサードゴロの間に追加点。
最後はやはりこの男、キャプテン岸本。ここまで全打席四球。身も心も大会制覇へ捧げてきたベテランが「ここは打ちてぇ~~」とばかりに痛烈なレフト前タイムリー。8点目を稼ぎ出した。

先発の此上は前回プレーオフ準決勝で1アウトも取れぬまま降板の大乱調から2週間。キッチリ山籠りしての調整で球威、制球ともに安定感抜群。ベンチの戦略で3回で降ろし、次に控える決勝戦の先発に急遽抜擢するプランに変更だ。

最後は『彼を知り、己を知れば、百戦して危うからず』守護神・安井が登板!“迂直の計”投球術で締めて結局、8-2での快勝。
勝ってキッチリと決勝戦進出を決めた。

いよいよ、決勝戦。相手は4年前と全く同じ、ライデン。この大会の常連優勝チームだ。前回は白熱の好勝負を演じ、敗れている。
だが、予選ラウンドの勢いそのままにNLの初回猛攻が始まった。
1死から松永の四球を皮切りに、此上のファーストゴロが浮き足立つ相手守備陣のエラーを誘い先制点。
さらに2死満塁から吉武が狭~い一二塁間を、針の穴を通すかのような正確なゴロで突破するライト前タイムリー。
続く久保までセンター前タイムリーを放ち、立ち上がり一挙4点を先制する。
誰もが4年前の屈辱を忘れてはいない!というような怒濤の攻撃で幕開けだ。
先発は、前の試合登板から1時間も経っていない、此上がスクランブル登板。まさに「調子のいい投手を惜しげもなくつぎ込む」指揮官の勝利への執念だ。

意気に感じる此上は、もはや先を気にする必要もない全力投球だ。要所で素晴らしい球がズバズバと決まる。まさに、快刀乱麻のピッチングだ。
テンポのいい投球に、NL守備陣も好守連発だ。来季を見据えテスト的に試した三遊間、ショート高橋が素晴らしいフィールディングで堅守を披露すれば、サード松永は再三のクサい当たりを難なく捌く好守備。さらにレフト久保は、ゴロで三遊間を抜けてきた当たりを、あり得ない猛チャージで捕球すると、間髪入れずファーストへ強肩レーザー一閃!まさかの“レフトゴロ”狙いは間一髪セーフとなるも、NL守備陣がまさに守りでも攻撃の手を緩めない。
投手交代と共に、相性を考慮して起用する翔平、中津のキャッチャー2人も絶妙なリードを見せる。

2回、今度は打撃力で攻勢に出る。レフト前ヒットの翔平を一塁に置いて、打席にはモーリス。
第1試合の“大花火”で再び覚醒した山陰の怪人が放つ打球は、痛烈に右方向に弾き返す地を這うような弾丸ライナー。
あっ、という間に打球は右中間を破り、広~~~い外野のフェンスまで到達。モーリスはすでに二塁を蹴って三塁まで……
いや、その姿がどこにもいない。なんと、一塁ベースを蹴り二塁へ向かう直後、やはり不穏なファースト守備範囲近辺でもんどり打って転倒。
その姿たるや、まさに、はみだしチャンピオン!ベンチの拍手喝采を浴び、最後はなんとか這って二塁まで到達するタイムリーツーベース。
転んでもタダでは起きない、カッコいい場面も笑いに変える天才肌。

リードを再び4点とすると、さらに5回、1死から安井が右中間突破の完璧な当たりがスリーベースとなる。さすがチームのムードメーカー!
勢いに乗り遅れない。いや、必ずおいしい所は持っていく。
続く吉武。こちらもおいしい場面を必ず制して来たが、狙いすました打球は痛烈に弾き返してのセンター前……と思いきや、
ピッチャーのグラブに弾き落とされ2アウト。

喉から手が出るほど欲しい追加点だったが、久保の打席でワイルドピッチ。いとも簡単に追加点し5点差とリードを広げた。
2試合連続登板ながらもゲームを作り降板した此上に代わり、2番手には美澤がマウンドへ。左右、タイプの違う投手王国NLの継投の妙だ。
5回には1死二、三塁から岸本がサードゴロ悪送球でキッチリ打点を稼ぐ追加点。こちらも当たれば何かが起きる、ベテランの妙。
さらに高橋がセンターへの大飛球を放つ犠牲フライでダメ押し点を奪うと、“物語の締め”の時間がやってきた。

最終回、セカンドの守備固めに向かうのは深MAX。そう、“4年前の忘れ物”を探すべく、思い入れのポジションへ。
4年前は、遠い未来へ飛んでけ~~…と夢の架け橋を渡った深MAXだったが、この日は見事に大役を果たした。
4年間の大河ドラマのストーリーは、キッチリと完結したのだ。
優勝を決めたNL。パブリックリーグの優勝カップは流出したものの、オータム杯の優勝カップで栄冠を取り戻した。

■平成27年11月8日 駕与丁公園 開始10時
△N.ライオンズ 7ー7 早良区LOVE△

NL:003 110 2:7
SL:610 000 0:7

此上・美澤ー翔平


【経過】
リーグ戦で大苦戦を強いられながらも、奇跡のプレーオフ滑り込み進出を決めたNL。リーグ史上最大の下克上、そして、リーグ4連覇の偉業に
向け、チーム一丸となって挑戦だ。が、しかし、そんなチームに予期せぬアクシデントが発生。
チームの要、主力4選手がまさかのまさか、ここにきて無念の欠場………。
不動の天才1番斬り込み隊長・久保、チームのムードメーカーにしてカリスマ二塁手&クローザー・安井、
チーム屈指の長打力で打点、本塁打王疾走中の5番・樋口、
そして、NLのブレーン&影のカリスマ・FUKA-MAX。
片羽どころか、両翼、いや、両足共々もぎ取られ、まさに“手負い丸腰の獅子”となったNL。
しかし、やるからには負けられない。
負けるわけにはいかない!

そんな試合当日、朝からさらなる大激震に見舞われる。若き主砲・高橋が、まさかの当日欠場危機に見舞われる。
主力の高橋までもが欠場となると、更なる戦力ダウンはおろか、日頃大所帯のNLにとっては、まさか、まさかの8人野球……
つまり、それは、戦わずしての棄権を意味する敗北。それだけは避けなければならない。
ディフェンディングチャンピオンとしての意地とプライドだ。試合開始2時間前、高橋“男気”の電撃出場が決まった。
リーグ終盤戦、海外武者修行を敢行しチームに迷惑をかけてしまった高橋の思いが、土壇場でチームの危機を救った。それでも、僅か9人。
全員野球、全員フル出場、交代要員なし。何かあれば、その場で“タオル投入”だ。
しかも、今年1試合もフルイニング守備に就いていない、ベテランがいる。いつ、何か起きても不思議ではない。
しかし、気持ちだけは、負けていない。ファイティングポーズだけはとり続ける!
悲愴なる決意を胸に、いざ、プレイボールだ。

1回表の先頭打者は、指揮官が祈りにも似た願いを込めて送り出した、高橋。
電撃出場を決めて球場入りしてからは、誰よりも黙々と体を動かしている。
何か、やってくれるはずだ。予感は的中した。やはり、誰もが期待通りのデッドボール!ノーアウト1塁だ。
続く翔平。捕手としての読みが冴え渡り、球種を引き出しながら、最後はライトフライ。
3番松永は天才的な洞察力で1球に絞り勝負に出る。ここはサードゴロに倒れるが、続く4番美澤が冷静に四球を選ぶ。主力が欠けても、
主砲が仕事をする……それがNL野球の強みだ!
ここで迎えるは注目の新外国人……いや、今シーズン途中に日本国籍を取得し、身も心も日本人と化した、怪人・モーリス、日本名は森須だ。
この日は「5番・レフト」という、禁断の同ポジションで先輩・樋口と肩を並べた。
もはや、不振だの、何だの言ってる場合ではない。やるしかない!2死二、三塁。迷いを振り切って打席へ向かうも、結果サードゴロに倒れる。
しかし、何かが違う。デビュー戦で2ホーマーを放った、あの衝撃の打撃スタイルに戻りつつある。この後の打席に、何かを起こす気配を感じた。
先制点のチャンスを逸し、先発の此上がマウンドへ上がる。

今季、岩井なきNL投手陣を牽引して結果を残し、指揮官からこの大舞台での先発を託された。行け、コノォ~~!!
先頭打者に初球を痛打されいきなりの二塁打。
動揺したのか明らかに腕が振れてない。ボール先行で益々ピッチングの幅を狭めている。緊張感も拭えない。
四球も絡み満塁とすると、続くバッターにもストレートのフォアボールで押し出し先制されてしまう。
修正できぬまま、あっ……という間に1アウトも取れぬまま。普段、投手起用に関しては辛抱強く選手を信じ切る指揮官が、ライトの守備位置から、猛ダッシュでマウンドへ駆けつける。
まさか、気合いの闘魂パンチか!?
まさか、自ら交代して10年ぶりの登板か!?
誰もが固唾を飲み様子を伺う。指揮官から出た言葉は、「ピッチャー交代、美澤!」
「え?もう!?」指名を受けた美澤もびっくりの投手交代だ。
負けたら終わりのプレーオフ。「勝てる采配しかしない」非情に徹した指揮官の決断に、誰もが「このゲームを落とす訳にはいかない」と
再確認した。不運な当たりなどで追加点を奪われるが、美澤はレジェンドエースらしいマウンドさばきで緊急登板にも関わらず見事なピッチング。
味方打線に“喝”を入れた!

美澤の投球に触発され、かつてNL初期の黄金時代を築いたベテランも覚醒する。
2回までに7点差をつけられるも3回表、1死から吉武が弾丸ライナーで右中間を真っ二つに切り裂くツーベースで反撃の狼煙を上げる。
よく見ると、しっかりと高橋の“高級バット”を勝手に拝借しての黒い一打だ。
まさかのペースを崩された相手投手の動揺を誘う。中津がいつも通りにしか見えないが、ホントは気合いが入りまくっている打席でサードゴロ。
二塁ランナー吉武が二、三塁間で佇む。ヤバい、挟まれた……誰もがチャンス潰えたかに思えたが、セカンドベースへ戻り間一髪セーフ判定。
帰塁した際、主審の死角を突くスライディングでフィルダースチョイスを誘い1死一、二塁。
黒い……ベテランならではの黒すぎる1プレーでチャンスをさらに広げた。
ここで打席には岸本。一番厄介な打者を迎える。黒いプレーの後には、黒い期待が充満する。このビッグチャンスに、ベテランは狙いすました1球で勝負を決める仕事人スタイルに徹する。
来た~~!!狙い通りの一打は痛烈な打球となったが、まさか、まさかのショートゴロ真っ正面のダブルプレー……。
「またかよ……」肩を落としてベンチへと引き揚げるベテラン。まさかの無得点だが、チーム創成期を支えたベテラン勢の奮闘ぶりに、
NLナインが応えないわけない。内野の要・松永が必要以上に声を張り上げる。声を切らしたら終わりだ!今まで簡単に引き下がった事はない。
王者チームとしての意地とプライドが、必ず、やってくれるはずだ!

7点を追う3回、その場面がやってきた。
1死から翔平が得意の右方向、こうおっつけて行きましょう!と言わんばかりのライト前ヒットで出塁。見事に二盗も決め、
続く松永も際どいコースをことごとく見極めての四球。コツコツとランナーを貯めたいが、一気に大量点も欲しい場面。
ここでNLが誇るスピードスターが見事に競演だ。翔平と松永が共にスタートを切る。ダブルスチールに成功すると、一気呵成に攻め込みたい場面で、美澤は大人の野球を見せ、確実に四球を選ぶ。1死満塁だ。打席にはまたもチャンスでモーリス。もはや、ここは待ったナシの大勝負だ。
しかし、力んだ相手投手のワイルドピッチで難なく1点を返すと、楽になったモーリスの狙いは、一気にレフトスタンドへ……しかし、惜しくもバットは空を切り空振り三振。まさか……ここでチャンス潰えてしまうのか……しかし、今のNLにはこの男がいる。行け、コノォ~~!!
安打製造機と化す此上の打球は痛烈なライト前ヒット!二者が相次いでホームインする2点タイムリーでこの回3点を返し4点差まで詰め寄る。
まだまだ諦めない。先発で不甲斐ない投球をしてしまった此上が、自慢の打撃力でチームを盛り返す。

もはや、失点は許されない。貫禄の佇まいでマウンドを守る美澤は、強打の相手打線に一歩も引かない好投を見せる。勝手知ったるキャッチャーの翔平が、体を張って投球を受け続ける。もはや、失点するつもりもない。安心して見守る事ができる最強バッテリーだ。
しかし、いかんせん、交代要員がいない9人野球だ。ベテランの様子が気になる。
ファースト吉武は、何でもないイージーを、体を張ってファインプレーに魅せる黒い守備力を誇るが、この日は一切、無駄な動きがない。目の前のポップフライという“エサ”にダイブする気もない。“やらかしたら”終わりだ。這いつくばっても守備に就かなければならない。
ん?何やらライト岸本の動きがおかしい。痛めていた左足の状態が芳しくない。それでも白旗を揚げる事はない。
それがNL野球のファイティングスピリットだ!!

そんな姿を見たNLナインが燃えないはずはない。松永が声を裏返しながら絶叫を繰り返し、声を切らさない。
4回は先頭の中津。やるしかない。静かな闘志を沸き立てる中津が、相手投手の速球に負ける事なくライト線に弾き返すツーベースで
ノーアウト二塁。盛り上がるベンチから、痛む足を引きずりながら打席には岸本。一振りに懸けるしかない!しかし、打球は痛烈に三塁線を襲うも見事に捌かれサードゴロ。
キャプテンが倒れても、続く高橋のフルスイングはレフトスタンドへ向かって一直線。いったか~~!!しかし、
低い弾道ながらワンバンでフェンスを越えるタイムリーツーベース!打った高橋はホームランと勘違いしガッツポーズでベース一周……
しっかりと二塁ベースまで戻された。

終盤5回、3位通過のNLに残された道は、残り3イニングで3点差を逆転し、ゲームを終了させるしかない。あまりにも厳しい現実に、樋口の代役として奮闘するモーリスに弱気の虫が出る。「パイセン(樋口)に動画送るぞ!」ハッとしてグッときて、パッと目覚めたモーリスに、3度目の打席が回ってきた。1死一塁。普段樋口が担っている五番クリーンアップの重責。相手投手の攻め方も厳しい。内角をえぐる投球に、無我夢中でバットを出すと、グリップエンドに極力近い場所、木製ならポッキリいっちゃう、ありえないスポットで食らいつき、打球はライト前へフラフラと落ちるヒット。ようやく呪縛から脱するも、後続が倒れて無得点。

6回、もう後がない。先頭は吉武。またもや高橋の高級バットを手に打席に入ると、痛烈な打球で右中間を破るツーベースヒットで出塁。
この回しかない!ベテランの読み的中で、打席には中津。ここはボテボテの内野ゴロでランナーを進め、ラストバッター、キャプテン岸本を迎える。すでに試合開始から守備に就いている身体は満身創痍だ。一振りに懸ける……打球は
ジャンプするショートの上をライナーで越えるレフト前ヒット。繋ぎに繋いだ!
大事なランナーだが、塁上を埋めているのは老体のベテラン二人だ。無理はできない、いや、させられない。
投球をキャッチャーが弾くも、本塁突入はしない。いや、させない。“いっちゃった”時点でゲームセットだ。それだけは避けなければならない。
1死一、三塁。満身創痍の一塁ランナー岸本がなんと二盗スタート。気合いで成功させ二、三塁だ。ここでクレバーな翔平の当たりは、ベテランの足にも優し過ぎる、特大のセンター犠牲フライ。1点を返し遂に2点差。もはや、追い付き、追い越すシナリオが見えてきたか!?

土壇場の最終回。ここまで3打席出塁してきた美澤が、4番のバッティングを見せる時がきた。が、しかし、打球は紙一重のピッチャーゴロ。
先頭が出塁できない。もはや、万事休すか……。
打席にはモーリス。この重圧に、泣きそうになりながら放った打球はボテボテのサードゴロ。幼少時代、ジャングルを駆け抜けた思いが蘇る。
俊足で内野安打をもぎ取る。まだまだ終わっちゃいないぞ!

此上の打球はサードへ痛烈なゴロ。これをサードが弾きランナーオールセーフ。土壇場にきて相手守備陣も緊張しているはず。立場は同じだ。
打席には吉武。叩きつけるしかない。いや、叩けば何かが起きるはず。打球はセンター方向へ叩き、弾き返すも長身のピッチャーに捕球される。
ヤバい!ゲッツーでゲームセットか!?それだけは避けたい。一塁ランナー俊足の此上に気を取られ、二塁送球が大きく逸れて、またしても
オールセーフだ。タイムリーエラーで1点を返し遂に1点差。土壇場にきて泥臭い野球全開だ!
打席には中津。腐っても中津。やればできる子の中津。その中津が、土壇場の場面でライト線上にポトリと落とす、まさかの同点タイムリー!!
遂に7点差を追い付いた!!!

しかし、勝つには勝ち越さなければならない。やるしかない。しかし、岸本の当たりは、痛烈ながら捌かれサードゴロ。
トップに戻って高橋も捕らえた打球がショートゴロ。最後の最後で、同点止まり……この瞬間、
NLのプレーオフ敗退が決定した。やるせない思いのまま、7回裏、相手の攻撃に突入する。緊張の糸が切れたとはいえ、
王者の意地とプライドに懸けて、負けるわけにはいかない。が、しかし、一度途切れた緊張感は、修復できない。

相手打線に捕まり、2死三塁。あとひとりだが、打たれた瞬間サヨナラ負けだ。
そして、相手打者の打球は痛烈にライト前へ。万事休す……誰もがサヨナラ負けの瞬間を覚悟した時、全く諦めていない二人のベテランが、
そこにいた。
ライト岸本が猛然とチャージして、イレギュラーで不規則にバウンドした打球も何のその。的確に処理すると、何度もシミュレーションし、
「刺せる」と判断して一塁ベースに付いていたファースト吉武めがけて、渾身のレーザービーム一閃!もはや最後のプレー。
肩が外れても構わない、最後の最後、とっておきのビッグプレーで打者走者をアウトにするライトゴロに仕留めゲームセット。

勝てなかった。
しかし、負けなかった。
NLの2015パブリックリーグは、幕を降ろした。


■平成27年10月25日 駕与丁公園 開始12時
◯N.ライオンズ 3ー1 諭吉スターズ●

NL:001 011 0:3
YS:000 100 0:1

【勝利投手】此上 4勝3敗
【セーブ】 久保 2勝1セーブ
◯此上・安井・久保ー中津・松永

【勝利打点】なし

■平成27年10月11日 水産加工センター開始11時
◯N.ライオンズ 3ー2 福岡マイスターズ●

FM:000 020 0:2
NL:100 020 x :3

【勝利投手】美澤 1勝1敗
【セーブ】 安井 1勝2セーブ
此上・◯美澤・久保・安井ー中津・松永

【勝利打点】なし

■平成27年9月27日 駕与丁公園 開始12時
○早良区LOVE 5-4 N.ライオンズ●

NL:101020 x:4
SL:100 031×:5

【敗戦投手】此上 3勝3敗
●此上・久保ー中津

【経過】
リーグ最終戦。いよいよラストゲーム。NLナインの気合いも半端ない。
初回、1死から安井が「骨、砕けても」精神で死球を浴び出塁。続く松永が狙い通りのシュアな打撃でレフトオーバー、あわや先制2ランかというような当たりのツーベースヒットでチャンス拡大。
4番美澤は貫禄の四球で1死満塁。ネクストから“ぶぉんぶぉん”効果音なしの生音を響かせながら、樋口が打席へ。
しかし期待の一打は、まさかの中途半端なピッチャーゴロ。併殺は免れ何とかチャンス継続の中、ここで此上がライト前へ先制タイムリー!
頼れる男・コノ~!の一打でなおもチャンス拡大。
打席には3打席連発の大花火を放ちNL入団を果たした伝説の男・モーリス。
以降、寝ずに勉学に励み、日本人として帰化。当初の外国人枠から日本人登録として覚悟を決めた男に期待が集まるも、あえなく三振。
その後の打席も連続三振を喫し、生涯初のたんたんてぃん(3三振)。
大花火製造機から、大型扇風機になりかねない事態に、首脳陣はおろか本人の苦悩は深まるばかりだ。

その裏、1点を返され同点とされるもゲームは膠着。
3回、今度はラストバッターに入り、付け入る隙を虎視眈々と狙う策士・岸本が、先頭で執念のライト前ヒット。
動揺した相手投手から久保が死球を選び、さらに安井が「あわやライトゴロ」の危険性高い痛烈なライト前ヒット。
ベンチから「刺せ」「殺せ」の歓声の中なんとか一塁セーフ。ノーアウト満塁だ。
一気に攻め込むチャンスで先制打の松永。今度は冷静に四球を選び押し出し。勝ち越しを決め、なお満塁の場面で後続が倒れ1点止まり。

なおも此上の好投に応えたい打線は5回、松永、美澤の連打で1死二、三塁のチャンス。ここで“ぶぉんぶぉん”の男・樋口。
ここは得意の右方向、打球はグーンと伸びて右中間を真っ二つに破る2点タイムリーツーベース。勝負あったか!
……と思いきや、ラスト2イニングで4点を返され、まさかの敗戦。
あとは他力本願ながら、プレーオフの大舞台でリベンジを果たすしか道は残されていない……

■平成27年9月13日 駕与丁公園 開始10時
○INODEN 9-1 N.ライオンズ●

ID :012 40 : 7
NL:000 01 : 1

【敗戦投手】此上 3勝2敗
●此上・久保ー中津

【経過】
いよいよ、いよいよだ。リーグ4連覇を目指すNLにとって、もはや、1敗も許されない状況だ。
初回は両チーム無得点。緊張感溢れる展開に、観衆も固唾を飲んで見守るしかない。
2回、1点を先制されなお、大量失点の大ピンチ。ここをなんとか気迫の投球で締めた先発の此上を、ベンチ総出で迎える。
相手投手からなかなかチャンスを掴めない打線は2回、2死からモーリスが死球。ベンチからナインが慌ててバッターボックス付近に駆け寄り、モーリスを制止に入る。「ノーノー!」「ここは平和の国だ!」「またクサい飯食いたいのか!」
死球とはいえ、願ってもないチャンス到来。ここで最もバットが振れている此上に期待が集まる。出た!完全に捕らえた打球は、まさかのサード真っ正面…。オーマイガーな展開のまま、3回に2点。4回に4点、6回に2点と、効果的な得点を挙げられ万事休す。
この敗戦により自力プレーオフ進出は消滅。「まだまだ、可能性がゼロにならない限り、やるだけだ!」
NLナインに、あきらめの文字はない。

■平成27年8月30日 上月隈公園①開始11時
○N.ライオンズ 6-4 SMファイトクラブ●

SF:012 100 0: 4
NL:420 000 ×: 6

【勝利投手】此上 3勝1敗
【セーブ】 安井 1勝1セーブ
◯此上・久保・安井ー中津

【勝利打点】松永 1

【経過】
リーグ終盤に向けて、主砲・美澤、翔平を休養させ、放浪の無期限武者修行に出た高橋をも欠きながら、NL重量打線は開始からエンジン全開。
この日は得意のスピードスターが躍動する。
初回、先発の此上が相手打線をしっかりと抑えて流れを掴むと、その裏、1死から安井が痛烈なショート強襲ゴロで出塁。
誰もが安打のHランプを期待するも、辛口NL公式記録員・樋口が「あれはエラー」。続く松永は三遊間への深い当たりで「これは完璧ヒット」。
他人に厳しいが己にも厳しい樋口は、この場面で有言実行のレフト前タイムリー。四番の貫禄を見せつける。

2死となるも一、三塁。一塁ランナーの樋口が二盗を試みると、捕手の動きを完全に盗んだ三塁ランナーの松永が本塁を陥れる。
さらに四球を挟むと、小田の内野ゴロがタイムリーエラー。さらに小田が二盗スタート。
今度は樋口が浮き足立つ相手守備陣から再び本塁を陥れてこの回4点。試合を優位に進める。

2回にも先頭の吉武がライト線を痛烈に襲うツーベースヒットで出塁。
続く岸本もサード右への強襲ヒットで続く。合わせて80歳越えのベテランコンビが、あっという間にチャンスメークし打線はトップに戻る。
このベテラン勢の涙ぐましい活躍に優等生コンビが気負ってしまったか、久保と安井がまさかの凡退。
ランナー釘付けのまま2死となり流れが切れかけたか・・
しかしNLにはマツがいる!
仕事人と化し鋭いスイングから放たれた松永の打球はセンター頭上を越える2点タイムリーツーベース。
三塁から緩やかなジョギングで吉武が、二塁からベテランの足にも優しい適度な有酸素運動並のスピードで岸本が本塁に生還。
ただ打つだけではない。老骨にムチ打つ二人のランナーを傷つける事なく、引退に追い込む事なく、クレバーな松永の一打でリードを5点に
広げる。
しかし相手打線も強力だ。2回に1点、3回に2点、4回に1点、それぞれ猛打で返すと、2点差に。
しかし、ここからNLが誇る鉄壁のリリーフ陣が最終3イニングを無失点で凌ぎ切り、快勝。
リーグ終盤戦へ弾みをつける1勝を飾った。

■平成27年8月23日 駕与丁公園 開始10時

○スピリッツ 8-7 N.ライオンズ●
NL:310 003 0: 7
SP:103 022 ×: 8

【敗戦投手】美澤 1敗
久保・●美澤・安井ー中津・翔平


【経過】
たかが練習試合、されど練習試合。リーグ戦最後の大一番を前に、最後の調整に入った。
この日は先発マウンドに立つ久保の打順を下げ、松永をトップに起用。
早速四球を選び出塁を果たすと、2番には「いつ以来かわからない」吉武を抜擢し、期待に応えて四球出塁。初回からノーアウト一、二塁を演出。
安井は紙一重のショートゴロに倒れるが、四番の美澤も粘って四球。一死満塁から、打席には樋口。相変わらず素振りが、“ぶおんぶおん”
轟音を響かせている。狙いをすました一打は豪快ながらも巧みに右中間を破る走者一掃の3点タイムリーツーベース。

2回も先頭の中津が2ストライクまでまるで打てる雰囲気がないまま、最後はレフトオーバーのツーベースヒットで出塁。
そしてFUKA-MAX。こちらも2ストライクまで、まるで打てる雰囲気がないまま、最後もあっさりと三振。
次への布石は残したな」捨て台詞を吐いて打席を去ると、久保が死球でチャンス拡大。「ほらね」。
トップに返り松永が痛烈なサード強襲ヒット。タイムリーとなり、4-1とリードを広げる。

なんやかんやで4-6と2点ビハインドの6回、獅子の逆襲が始まる。
先頭の吉武が2番起用に応えるセンター前ヒットを放つと、1死から美澤、樋口の連続四死球で繋がり満塁。
この絶好機にモーリス。悩める主砲も、もはや悩んでる暇はない。打て!モーリス!!
悩みを振り切り、バットも振り切った打球はあえなくサードゴロ。「やったか~~」しかし、モーリスの激走に相手野手が躊躇したか、
バックホームが悪送球となり1点差に詰め寄る。
続く翔平。ここまで「全然いいとこねぇ~~」翔平が、最後の最後にレフトオーバーとなる逆転の2点タイムリーツーベース!
しかし相手も一筋縄にはいかない。その裏、執念の粘りを見せて2点を奪い再逆転。
リーグ戦さながらの激闘を見せたNLナインにとって、いよいよ最後の大勝負が始まろうとしている。

■平成27年8月9日 駕与丁公園 開始12時
○N.ライオンズ 6-0 マスタング●

NL :102 210 : 6
MT :000 000 : 0

【勝利投手】此上 2勝1敗
◯此上ー翔平

【勝利打点】翔平 3

【経過】
もはや、リーグ戦では1敗もできない状況下。
この日は不動の1番(久保)と四番打者(美澤)、さらに若き大砲(高橋)を欠く非常事態ながら、全員野球でゲームを取りに行く。
初回、トップに起用されたのはモーリス。「初心に戻れ~!」ベンチから檄が飛ぶもあえなく凡退。
安井も倒れ2死となるも、ここから繋ぎの打線が目を覚ます。
“広瀬すずが若い頃の宮沢りえに見えてしかたがない”松永が俊足を生かして出塁すると、樋口はすかさず三遊間のを破るレフト前ヒット。
このチャンスに翔平が左中間を破るタイムリーツーベース。早速1点をもぎ取る。

先発は前回に引き続き、此上。今回は翔平とのバッテリーで相手打線に付け入る隙を与えない。
2回、自らの制球の乱れで1死満塁のピンチを招くも、気迫の投球で後続を断ち無失点に抑え込む。
さらに走者のリードが大きいと見るや、キャッチャー翔平からファーストへ矢のような送球も出る。ピンチでタッチアウトに仕留める。
3回は岸本が四球を選びノーアウトから出塁。試合前にバッティングセンターで調整しただけの事はある、チーム打撃の出塁だ。
続くモーリス。もう打ち損じは許されない。緊張感の打席で今度はレフト前ヒット。チャンス拡大だ。
安井は紙一重のセンターフライに倒れるも、続く松永が“広瀬すずが若い頃の宮沢りえに見えてしかたがない選球眼”の高さを生かして四球。
満塁となり願ってもない場面で主砲・樋口。
ここでまさかのピッチャーゴロ。しかし難しい体勢での送球が逸れ、一気に2点を追加する。

4回には先頭の吉武が魅せる。前の回の守備でファーストファウルフライを、難しい体勢に“魅せ”つつ好捕するベテラン技。
その回終了後ベンチへ戻り、指揮官が言い出す前に「OK!守備はこの回まで。モーリス、後は任せた」と勝手に職権濫用。
気分良く打席に入ると、痛烈なセンター前ヒット。挙げ句の果てには「誰か、臨時代走!」。
暑くて走る気まったくねえよ…という空気を醸し出しつつ、姑息にも二盗成功。
続く打席の深MAXにはアイコンタクト。「やる事は、ひとつだろ!」。半ば強迫観念にさらされながら無我夢中で放った打球は、
どんな送りバントよりも送りバントらしい、ボッテボテのピッチャーゴロ。二走・吉武はジョギング並みのスピードで難なく進塁。
1アウト三塁を演出すると、好調の此上が鮮やかな流し打ちで左中間を破るタイムリーツーベース。理想的な展開で追加点を挙げる。
さらにチャンスは続き岸本。ゲーム前に打ち込んだベテランの研ぎ澄まされた一打が唸りを上げるも、まさかのショート真っ正面。またかよ~~~。

キャプテンの無念を晴らすのは、俺しかいない。続くモーリスは気迫でレフト前に運ぶタイムリーでさらに追加点だ。
5回には死球の翔平が二盗、2死二塁の好機で中津が他では真似できない独特の間合いからのスイングで、レフト前タイムリー。
着実に得点を重ねると、最後までマウンド上の此上は相手打線に得点を許さず、NL初完封を達成!
チームは再び、勢いを取り戻した。

■平成27年7月26日 駕与丁公園 開始10時
○博多ヤンキース 9-4 N.ライオンズ●

HY :101 700 0 : 9
NL :020 200 0 : 4

【敗戦投手】此上 1勝1敗
●此上・安井・美澤ー中津

【経過】
エース岩井去りしNL新体制がスタート。
そんな岩井の後継者として、後を託されたのは左腕・此上。
立ち上がり、ノーヒットで1点を失う不運も、2回は立ち直り0点に抑える。
すると打線は2回に援護点を叩き出す。

1死から森須が泥臭い内野安打で出塁すると、打席には吉武。およそ2ヶ月ぶりの実戦復帰となる第1打席。打球は右中間を真っ二つに破る同点のタイムリーツーベース。
続く中津は絵にかいたような右方向へのセカンドゴロでランナーを三塁に進めた。
ここで此上がキレイに三遊間を破る勝ち越しタイムリー。繋ぎの下位打線が鮮やかにゲームをひっくり返した。
しかし、3回に同点に追いつかれると、4回には強力相手打線に一挙7点を奪われる。だが指揮官は投手交代を告げない。
それは、岩井なきNL投手陣の柱として、此上に試練を与えているのか、それとも夏場に来てベテラン小田をフル出場させるというような
セオリーに反するド根性精神を植え付ける為か。
4回にはモーリスが怪力を見せつけるレフトオーバーのツーベース。
続く吉武が追い込まれながらも相手投手の持ち球全てをカットして泥仕合に持ち込む。
精神的、肉体的に追い込む事に関しては右に出る者がいない。クソ暑い最中、相手バッテリーの選択は「やれ!」「はい!」苦し紛れの死球で苦しみからようやく抜け出した。

しかしこの打席で体力を消耗した相手投手から中津が四球、此上がライト前2点タイムリー。中盤に意地を見せる。
投げては5回を投げ切ってお役御免の此上を、ベンチ総出で出迎える。確かに心意気は伝わった!
後はNLが誇るリリーフ陣、安井、美澤が登板し、試合を締め括った。

平成27年7月12日/駕与丁/開始10時
◯N.ライオンズ 5−1 メイズスクラッピー●

MS 100 000 0 : 1
NL t301 001 x : 5

【勝利投手】久保 2勝
◯久保・美澤ー中津

【勝利打点】中津1

【経過】
ペットロス。
あまロス。
岩井ロス。

岩井ロスなのか?!

エース岩井が前試合を最後にチームを離れてからの今試合。欠場者が相次ぎ、ギリギリの人数。
NL元気印高橋に至っては数日前から40℃の発熱。
当日には「大丈夫です。熱は下がりました。今、点滴打ってるんで試合出れます」

『大丈夫じゃね〜!』

岩井が去っていきなりのピンチにも頼もしい男がいる。先発久保(クーヴォ)だ。
「自分がしっかり試合を作ります!」
頼もしいぞ!久保!

頼もしい男はまだいた。
主砲の一角樋口だ。
当初欠場予定だったが、試合開始直前にサプライズ出場。
頼もしいぞ!樋口!

頼もしい男はまだまだいる。
前回スパイクのソールが剥がれて“パカパカ”になった小田(ダーオ)だ。
純白のスパイクを購入して足元が眩しいぐらいに輝いている。
頼もしいぞ!ダーオ!
早速ダーオには先発セカンドを明言。
昨年“やからして”以来セカンド恐怖症になっているが乗り越えるチャンスだ。

拒否るダーオ。
聞く耳を持たないキャプテン。
観念するダーオ。
足が震えるダーオ。
震える足が純白のスパイクを更に輝かしている。頼んだぞダーオ!

エース岩井がチームを離れるピンチも投げれる選手達にはチャンスだ。いの一番に先発に手を上げたのはNL若頭久保。

初回に岩井のダメなところを引き継いだのか、それとも岩井の呪いか。“岩井あるある”の立ち上がりに失点をしてしまう。

その裏、先頭は点滴野郎高橋。
欠場を示唆するも「野球好きなんで休みません」と高熱での強行出場。ここまでくると、野球バカも本物だ。
そして、“お家芸”のデッドボールで出塁。

続くは2番に抜擢されたのはダーオ。初回の守備で精神的に疲労こんぱい。
純白に輝くスパイクを汚す事なく四球で連続出塁。

無死1.2塁となり3番NL男前安井。
ワンヒットで同点の場面で放った当たりは惜しくもショートライナー。

1死1.2塁。11年間NLの4番を張る美澤。
貫禄のセンター前タイムリーで同点とすると、
2死後、先発久保の女房役、やれば出来る子中津。しぶとくライト前に運ぶと、これが2点タイムリーとなり一気に逆転。

逆転して貰った先発久保はコーナーを丁寧に突くピッチングで2回3回を無失点で終えると、3回裏。先頭のダーオ。
守備のプレッシャーで意識もうろう白目をむいて四球を選ぶと、続く3番安井。技ありの右方向の2ベースで2.3塁とチャンスを演出。
4番美澤はごっつゃんの場面できっちり犠牲フライを放ち追加点。

「前任者のピッチングを見てて、無駄な球を減らそうと心がけて投げました」
と先発の役割を十分に果たした久保は無四球1失点の好投。
7回にはNL用心棒センセー美澤が登板。
かつてのNLエースが復活を感じさせる貫禄の3者連続三振で試合を絞めた。

平成27年6月28日/駕与丁/開始10時
●N.ライオンズ 1-3 シャークス●

SH 000 003 0 : 3
NLii000 010 0 : 1

【勝利投手】岩井 4勝4敗1セーブ
●岩井ー久保


【経過】
国民に愛されたアスリートは当然ながら人々の記憶に残る。そして一線から退く時に発した言葉は後にまで語り継がれる。

長嶋茂雄の『我が巨人軍は永久に不滅です』
千代の富士の『体力の限界』
キャンディーズの『普通の女の子に戻ります』

野球を初めて40年。何を思い駕与丁のマウンドに立っているのか。果たしてこの男はどんな言葉を残すのか。
岩井剛、NLエースとして最後のマウンドへ。この試合は公私共に岩井と繋がりの深い久保が志願のマスクを被る。

指揮官は先発岩井をいかなる場面でも代えないと明言。これは決して花道ではない。下取りの効かない旧車は乗り潰すまで。
オーバーヒート、廃車必至だ!

初回、NLエース岩井。課題の立ち上がりもストレートが際どいところにズバズバ決まっていく。ペース配分は関係無い。エンジン全開だ!

1回裏。今日は何としても勝たなければならない。NLメンバー全員の思いは同じだ。
攻撃前に岩井を囲んでの円陣。岩井の熱い思いのかけ声は『*◆%#&〜¥:*!?!!』
何を言ったのか聞き取れなかったが思いは伝わった。選手一同気合い十分だ!

初回は走者を出すも無得点。2回以降の先発岩井はエンジン全開。無失点をショーを続ける。
チャンスが訪れたのは3回裏。
先頭の此上がレフト前ヒットで出塁すると、1死から岩井の死球で1、2塁とすると続く岸本が左前クリーンヒットで1死満塁!
ここでNLの奇策士ハイウエスト-フカマックス。好きな食べ物は最後まで取っておくタイプ。
岩井への熱い思いを込めて振り抜いた打球は力の無いピッチャーゴロ。1-2-3の最悪の併殺。正攻法が裏目に出てしまった。

相変わらずエンジン全開の先発岩井は5回まで毎回奪三振と被安打1の好投をみせる。
何としても岩井を援護したい打線はその裏。
2死から高橋はサードへの打球。全力疾走でエラーを誘い出塁すると続く打席には山陰の怪物モーリス。

「思い切っていけー!」ベンチからの熱い思いをバットに乗せた打球は一直線に左中間を襲った!1塁走者高橋が快足を飛ばしてホームを狙う!
3塁コーチャーはストップのジェスチャーだ。しかし相手の中継がやや乱れたのを見逃さずギアを入れ直した高橋はホームへ突入!
待望の先制点だ! 途中で何かモーリスが “ごちゃごちゃ〜” としたがこの際どうでもいい。待望の先制点だ!!

6回も好投を続ける先発岩井。簡単に2死とすると続くバッターの打球は三塁線へ。際どい打球はファールと思われたがフェアの判定。
目一杯腕を伸ばして好捕したサード美澤が一塁へ送球するがセーフ。続く打者には四球を与えてしまい2死1、2塁。
しかし次の打者を追い込むとキャッチャー久保が構えた外角低めへ。渾身のストレートが逆球となり左翼スタンドへ運ばれてしまった。

落ち込んではいられない。直に切り替えた岩井は7回を毎回奪三振で締めて味方の攻撃を見守る。
何としても逆転だ!最終回岩井への強い思いで円陣だ!岩井の気合いのかけ声だ!
『*◆%#&〜¥:*!?!!』
おそらく絶対逆転だみたいな事を言ったはずだ。


『良いこと思いついた。秘策がある』
そうつぶやいたのは最終回先頭バッターのMG深町。最後の最後に取って置きのやつだ。
岩井への思いが強く、閃いた秘策は一本足打法。この試合でだ。しかもこの局面での一本足。
しかも投球の間に2回ぐらい足ついてるし。実に不安定だ。

それを見た同級生松永が一喝。
『この状況でやるかー!家でやれ!』
これも岩井への思……。
いや、これはガチのやつだ。

岩井への思いが強すぎた為、結果的に悪ノリになってしまったMG。シュンとなって三振。

先頭へ返って打席には久保。ボテボテのショートゴロながら全力で1塁へ。岩井への強い思いからの渾身のヘッドスライディングはセーフだ!
続くバッターはNL1肩書きの多い男の安井。プレッシャーのかかる中、際どい球はカットで凌ぎ我慢の四球を選ぶ。
1死1、2塁となり、ここからはNL自慢のクリーンアップへ。
3番松永はサードゴロとなったが、これが進塁打。2死となってしまったが2、3塁と舞台は整った。
打席は主砲4番美澤。一打同点。一発が出れば逆転サヨナラだ。ベンチの思いは一つだ。勝利は岩井へのはなむけとなる。
球場のボルテージも最高潮だ!

いきなり狙い球が甘めに入って来た初球。狙いすましたフルスイングもミスショットか?!力なく打球が上がってしまい万事休す。
集大成を勝利で飾れなかったが、これも野球だ。先発岩井は被安打2、毎回奪三振の堂々たるピッチングだった。

試合終了後にセレモニーが行われる。野球以外は自分が中心になるのが苦手な根っからの野球バカだ。
最後の挨拶を前に「あれは風」「逆球だったから」と呪文のように繰り返す。NLエース岩井剛が残そうとした言葉は何を言っているのかわからない。
全く締まらない状況が続き、記憶に残ったのは『あれは風のせい』『でも毎回奪三振だから』と往生際の悪い言葉と
NLメンバー全員への渾身の 『ありがとう』 だった。

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︎平成27年6月14日/駕与丁/開始10時
○N.ライオンズ 19-1 アローズ●

AR 100 000 : 1
NLji350 614 :19

【勝利投手】岩井 4勝3敗1セーブ
◯岩井・此上ー樋口・中津

【勝利打点】森須 3

【本塁打】高橋2号(2ラン)


【経過】
九州地方はどっぷり梅雨入り。
やきもきする季節がやってきた。前回同様、週初めの雨予報がまたしても野球日和だ。
おそらく雨男などと呼ばれる野球人としてあるまじき選手が一人もいなからだろう。

心地よい風さえも吹く中、ユニフォームの着こなしにも定評があるオシャレNLナイン。
そんな中、独自の感性でオフィシャルを守らない男がいる。久保(クヴォ)だ。
オフィシャルのアンダーは黒にもかかわらず、これまでもネイビー、パステルブルーなどを着用し口頭注意を受けてきたが、
この日はよりによって白を着用。ぜんぜん合わへんやん。
NLたるものオシャレでいなければならない。

「古着屋で250円だったんですよ」
そんなことは関係ない。ホームゲームということもあり、クラブハウスの生活指導室に呼ばれ
オシャレ講習を受ける事となった。

初回、まっさらのマウンドに上がったのは言わずと知れた初老エース岩井。
3試合振りの先発マウンドに気合い十分だが、長年の課題は立ち上がりだ。
低めを意識するあまりか、際どく低めに外れ制球が安定しない。しかしローボールはOKだ。2アウトを取り、打席にはアローズ3番鶴長。
高めに浮いてしまったストレートをドンピシャで合わされると、グングン打球が伸びリーグ本塁打トップに並ぶ先制アーチを食らってしまう。

1回裏NLの攻撃。岩井を援護したいNL打線は2者が倒れ走者無し。打席には松永。
狙いすました打球は松永の代名詞の右打ちだ!実にオシャレだ!
あっと言う間にフェンスに達すると快速を跳ばし3塁へ。一気に同点のチャンスを演出。打席は不動の4番美澤。
貫禄のスイングからの貫禄レフト前クリーンヒットであっさり同点に追いつくと、動揺したのか相手先発投手が樋口、高橋と連続の四球。
2死満塁とすると打席は“山陰の怪物”モーリス。
一直線にセンターを襲った打球がフェンスへ到達。これが2点タイムリー2ベースとなり逆転に成功。

2回表、勝ち越ししてもらった岩井は本来のピッチングを取り戻し無得点に抑えるとその裏。
先頭の此上が流し打った球はまるで引っ張ったかの様な打球。痛烈に3塁線を襲う2ベース!オシャレだ!
岩井が四球で出塁し1、2塁。先頭に返って続く久保が流し打ってライトへタイムリ−2ベース!オシャレだ!
続く2番安井も1,2塁間を綺麗に破るライト前タイムリー!これまたオシャレだ!
続けて黙っていられないのはNLオシャレ番長松永。もはや芸術の右打ちのライト前タイムリー!オシャレだ!
そして、のっしのっしとバッターボックスに向かう4番美澤。オシャレな右打ち.......。な訳はない。
パワーで持っていった打球はレフトフェンス直撃。レフトがクッションボールを誤る間に巨漢を飛ばすタイムリ−3ベース!
一挙5点を追加した。

4回には『NLザ・ダイブ』の異名を持つ高橋のファールボールをダイビングキャッチする超ファインプレーも飛び出し、ディフェンスも
一瞬の隙も見せない。
その裏にはチーム5本目の右方向。5番樋口の一番深い右中間へ2点タイムリー2ベースなどで6点を追加。

完全に調子に乗った岩井は相手打線を翻弄し全く寄せ付けない。
そして6回に高橋がリーグホームランダービートップに並ぶ2号2ランを放ち快勝した。

︎平成27年5月31日/社領南/開始13時
○N.ライオンズ 12-4 丸喜レンジャース●

NLiii030 18 :12
MR 210 01 : 4

【勝利投手】安井 1勝
◯安井・久保ー中津・樋口

【勝利打点】MG深町 1

【本塁打】安井1号(2ラン) 岩井1号(ソロ) 高橋1号(3ラン)

【経過】

“野球は格好から”

野球を題材とした短歌、俳句を数多く詠み、野球殿堂入りもした正岡子規も言ったとか言わなかったとか。

週初めの雨予報も一転。NL野球日和。続々とNL戦士が球場入りする中、松永にハイウエストを指摘されるMG深町。
ユニフォームの着こなしを指導する松永。
「野球は格好からだ」

着こなしと格好良いアイテムには抜かりはないNL。これからの季節はやはりサングラスは欠かせない。かっこアイテムのひとつだ。

サングラスといえばオークリー。メンバー数人が一流かっこアイテムオークリーを愛用。
ギラつく太陽の光を遮り、更に視界はクリアと申し分ないかっこアイテムだ。
「いーねーオークリー」
「ちがうねーオークリー」
さすがは数万するかっこアイテム。
「一流はやっぱ違っ・・・」
「3000円ッス」
「何が?」「オークリー」
「ネットで買ったら中国からきました」

確かにオークリーのロゴだか。
中津、それはオークリーとは違うと思うぞ。
太陽ギラついて見えたし。

1回表NLの攻撃。
先頭の久保は自慢の選球眼で四球を選び、幸先良く出塁するが後続が倒れ無得点。

その裏、先発マウンドには安井。久々の登板からか制球が安定せず3連続四球で無死満塁のピンチ。カウント球をカーブに切り替えると
安定しだし二死までこぎつける。しかしショート強襲を打たれこの回2失点。

2回表、早い回に安井を援護したい打線は先頭の高橋。“お家芸”の死球で出塁すると打席には安井。
不甲斐無い立ち上がりをしてしまった人一倍責任感の強い男が一閃!
一直線に左翼を襲った打球はアッと言う間にレフトフェンスを越える特大の同点1号2ランだ!

さらにネクストで燃える男がいた。普段は先発マウンドに上がり、幾度と安井のバットで援護を受けている岩井。
お決まりの豪快な“く”の字空振りのはずがここではジャストミート。やや高めをフルスイングするとレフトスタンドに突き刺さる勝ち越しの
1号ソロだ!安井、岩井の “すご井井ぃ〜” 2者連続本塁打で勝ち越しに成功!

2回裏に同点とされるが、4回表に岸本のタイムリーで再び勝ち越すと圧巻となる5回表。
先頭の久保が四球で出塁すると、続く打者はこの日2番に入ったMG深町。
何か違うぞ。雰囲気あるぞ。ハイウエストを指摘され、まずは格好から準備出来たからに違いない。スタイリッシュに打席に入るMG。

スタイリッシュとは裏腹に高めのボール球を強引に引っ張ると、打球はグングン伸びてレフトフェンスに到達。
レフトオーバーのタイムリーだ!だか、明らかな長打のはずがMGは1塁を回ったところでスタイリッシュストップ。
これもスタイリッシュの余裕か?違うぞ。そういう事じゃないぞMG。

さらに3番松永の弾丸ピッチャー返しが相手投手に直撃し、1塁ベンチまで転がる。
続く4番樋口のレフトオーバーのタイムリー2ベースで得点を重ねると、5番“金曜日に海行ってきました”高橋。
焼いてきましたって、それはもう日焼けじゃないぞ高橋。コゲてるだけだぞ。
高橋の放った打球は待望の今季1号。試合を決める3ランホームランとなった。

︎平成27年5月17日/雁ノ巣④/開始11時
◯N.ライオンズ 4-3 クロスメンバー●

NL l100 030 0 : 4
XM 020 100 0 : 3

【勝利投手】高橋 1勝0敗
【セーブ】 岩井 3勝3敗1セーブ
此上・◯高橋・美澤・岩井ー翔平

【勝利打点】なし
【本塁打】樋口 2号(ソロ)

【経過】
前回の前半戦天王山を接戦で落とし、立て直しの意味合いを込めた練習試合。相手はイキのいい若手チームだ。
さらにこのゲームからユニホームを一新。『獅子の咆哮ユニフォーム』を発表。
“NL ROAR BLUE”を採用。新しい戦闘服でNLの新章突入だ。
先発の此上は2回2失点。上々の出来に指揮官も満足顔だ。
打線は初回に松永の右中間突破タイムリーツーベースで先制点。
逆転を許し、二番手の高橋も制球が定まらず追加点を許す。
しかし5回、樋口が超特大、レフトスタンドへの2号ホームランで追撃の口火を斬った。
さらにランナーを置いて高橋。ピッチングの借りをバットで返す左中間突破のタイムリーツーベース。相手エラーも絡んで一気に逆転だ。
5回は美澤、6、7回は岩井のレジェンドリレーで1点差を守り切り、新ユニホーム初陣を勝利で飾った。

︎平成27年5月10日/駕与丁公園/開始10時
○早良区LOVE 4-3 N.ライオン●

SL 200 011 0 : 4
NL 000 012 0 : 3

【敗戦投手】岩井 3勝3敗
●岩井ー中津


【経過】
天王山第2弾。初回に当然のように先制点を献上した岩井は、以降立ち直り、別人化したいつものピッチングに戻る。
5回に痛恨の追加点を許し、重い3点目を失うもその裏、4回まで相手先発投手に手こずり得点できなかった打線が、此上の泥臭い内野ゴロの間にようやく1点を返す。
6回にさらに1点を失うも、その裏、松永のセンター前2点タイムリーで遂に1点差。怒濤の反撃を見せるも時すでに遅し。
痛恨の3敗目を喫し、リーグ戦自力優勝が消滅した。

︎平成27年4月26日/駕与丁公園/開始10時
○INODEN 6-5 N.ライオンズ●

NL 032 000 0 : 5
ID t000 042 × : 6

【敗戦投手】岩井 3勝2敗
●岩井ー翔平・中津

【経過】
まるで初夏のような陽射し。好調NL打線を象徴するかのような天気の中、早くもリーグ前半戦天王山を迎える事になった。
相手は昨年の決勝で優勝を争い、リーグ史に残る死闘を繰り広げた、INODEN。
その時は僅かな差を持って勝利を収めリーグ3連覇を達成したが、この日も緊迫感溢れる闘いを演じる事となる。

先発はもちろん、この男。
チームはおろか、リーグ屈指の最年長。昭和の逆風を吹かせ続ける、岩井。
「昨日YouTubeで投球術を研究したから」。アナログ世代にして文明の利器を与えられた老人ほど、恐いものはない。
この日も立ち上がりから唸る剛球で相手打線を打ち取っていく。初回は両チーム無得点。

2回、先頭は5番樋口。いつものように巨体を揺すり打席に入ると、まるでマッチ棒のように小さく見えるバットを降り続ける。
まさに、脅威でしかない。相手投手の速球にドンピシャのタイミングでミートすると、得意の右方向へ鮮やかなライト前ヒット。
ここで相手投手の出鼻を挫くと、1死から翔平、森須が連続死球。満塁の絶好機を迎え、ここで指揮官の打順構成が早くも的中する。
忘れた頃に、黒いベテラン。
上位が終わりを告げたかと思われた打順で打席には吉武。「転がせば何とかなる」打球はセカンドへ。バックホームで1点を阻止されかかるが、
この送球が高く逸れた!
ボールが転々とする間に、3塁ランナーに続き2塁ランナーまでもが生還。早くも2点を先制すると、ベンチの盛り上がりも最高潮に達する。
さらに塁に出た吉武が、何も企んでいないわけがない。全く走る気配がないと思わせて、いきなりの二盗スタート。
慌てたキャッチャーの送球が逸れる間に三塁ランナーがホームイン。投打に渡るベテラン勢の活躍で、序盤から主導権を握った。

3回にも追加点を奪いにいく。先頭の火付け役はまたしても黒いベテランの一角、岸本だ。
浮き足立つ相手投手の配球を読み切り、レフト前へのクリーンヒットで出塁。ベテラン勢の出血大サービスで野球人生の長を見せつけると、続くMG深町もベテランの味を魅せる。
ベンチからの「安パイじゃねえぞ〜」という謎のキーワードを背に、繋ぎの三振で相手投手に球数を投げさせると、先頭に戻り久保の四球を挟んで打席には安井。見事に叩いた打球は内野へのゴロになるも、ここでまたしても相手ディフェンス陣の乱れに乗じての2点タイムリーエラー。
5点目を叩き出し、ここからさらに、岩井の投球に磨きがかかる。4回まで気迫の投球を見せ、昨年の決勝戦から11イニング連続無失点。
「もういいかな〜」ベテランお役御免の時間を迎える。
鉄板のリリーフ陣が待機するが、「ま、最後までいくか」。
気持ちの油断から5回に4失点、6回に2点を失い、まさかの逆転負けでリーグ戦2敗目。岩井は自宅から大濠公園1週経由ヤフオク行きの罰走。

︎平成27年4月12日/駕与丁公園/開始10時
○N.ライオンズ14-4 メイズスクラッピー●

NLii291 02 : 14
MSt102 10 : 4

【勝利投手】此上 1勝
○此上・安井・岩井ー中津

【勝利打点】森須 2

【本塁打】森須 3号(満塁) 吉武 1号(ソロ)

【経過】
この日は小春日和に恵まれ、NLベンチまでもが過剰なまでに熱く燃え上がってしまった。
何しろ支配下登録14選手が集結し、打順14番までの総力戦。
どこをどう切っても切れ目がない、むしろ「こんな打順に、こんな奴がいるのか」と目を覆いたくなるような超強力打線が完成してしまった。

プレイボールから先頭の打席には、いつもの核弾頭・久保。
やや詰まらせたと思いきや、打球はライトの頭上を悠々と越えるツーベースヒットで号砲を鳴らす。
続く安井に小技の必要性は全くない。痛烈に打って出た打球は左中間を破るタイムリーツーベース。1、2番コンビで早くも1点を先制すると、さらに美澤の内野安打がタイムリーとなりこの回2点目。

先発は入団以来、初登板となる左腕・此上。久々の実戦登板に緊張感が重なり、本来の投球が影を潜める。
1点を返されなお、得点圏にランナーを背負い、打球はライト前へ。「同点か・・・」しかし、ライト小田が素早く回り込みセカンド久保へ。カットした久保が強肩を生かしてスーパー・バックホーム!キャッチャー中津の見事なブロックもあり、二塁ランナーをタッチアウトに仕留めた。

ピンチを最小失点で凌いだNLは2回、怒濤の攻撃を開始する。
先頭の吉武がセンターオーバー、打球がフェンスまで到達する当たりで、難なくスタンディング・ツーベース・・・いや、返球がセカンドへ戻ってくるが、吉武の姿がベース上にいない。どうした!?まだ一、二塁間を走ってる。間に合うのか!?
最後はスライディングでギリギリセーフ。おいおい。何とか二塁ベースを死守したが、呼吸が荒いぞ。
続く中津は粘りに粘って四球を選ぶ。1死から岸本も時間をかけ四球の粘り勝ち。何ともイヤ〜なネチネチ攻撃で満塁の場面を演出すると、
打席には今、最も危険な男を迎え入れた。
NL野球の真髄に魅了され、島根発、カリブ海経由で執念の入団テストに漕ぎ着けた“カリブ経由山陰の怪人”モーリス・森須。
準構成員として支配下登録された前回のデビュー戦では、華々しい2打席連続ホームラン。
あまりの衝撃に即日合格が言い渡されるかと思いきや、試験官の樋口から「NL野球をナメてもらっちゃ困るよ。追試だ!」
とまさかのダメ出し。
しかし「入団が決まるまで諦めません。やるしかない!」と固い決意で臨んだこの日の第1打席。1死満塁と絶好の場面。
ミスター・コンセントレーションの異名通り、ひと振りで勝負をかけた。打球はレフトスタンドめがけて一直線。あっと言う間に池ぽちゃ。
静寂のち大歓声に包まれた駕与丁公園。度肝を抜く見事なスプラッシュグランドスラムだ!!
ベンチ裏では、NL球団社長が契約書を手に待ち構える。それでも樋口試験官は「待って下さい。そんな甘いもんじゃないですよ」。
凄まじい。デビュー2試合で3ホーマー。未だ凡打すらしていないスラッガーでも「合格」のラインに達してないのか!?NL野球の厳しい現実に、周囲がピリッと凍りつく。

一気にリードを5点差に広げると、満塁弾の余韻が冷めやらぬ中、凄まじい攻撃を展開していく。
さらにルーキー此上まで、目の覚めるようなセンター前ヒット。記念すべきNL初安打を放つと、二巡目に戻った安井が得意のおっつけで
ライト前タイムリー。松永の四球を挟み、4番・美澤が「大きいの」に惑わされずにキッチリとセンター前2点タイムリー。
さらに有言実行、厳しい決断を下していく樋口も負けじとセンターオーバーの2点タイムリー。大花火の連発で、この回大量9点を追加した。

大量援護を受けた此上は、丁寧にアウトを積み重ねていく。2回はキッチリと無失点に抑え、ベンチの拍手喝采を浴びる。
しかし、ここでいつもベンチからうるさい老人の厳しいダメ出しが始まる。
「なんて言うのかな〜。俺みたいなマウンド上での“間”が、まだまだだよね〜」
しかし軽く無視され、寂しくコーチャーズボックスに向かう最年長。この日の登板はあるのか!?

3回、相手が白旗を挙げそうなところで、傷口に塩を塗り込むダメ押し感が得意な男が打席に入る。吉武だ。
高橋の高級バットを無断拝借して打席に入ると、アジャストした打球はライトスタンドへのホームラン。大花火の便乗も甚だしい、
ダイヤモンドを回る速度がやけに遅い。余韻に浸りすぎだ。「早くかえってこーい!」自身3年振りの一発でさらにリードを広げる。

先発の此上は大量リードを計算し、失点するもアウトを積み上げていき、3回3失点。「試合前のブルペンがMAXでした・・・」と反省するも、多彩な変化球を駆使し、指揮官からも合格点の内容でお役御免。

4回。これまで3ラン、ソロ、満塁とホームランを記録してきた森須にビッグチャンス到来。先頭の岸本が空気をキッチリと読んだ四球で出塁し、打席には森須。周囲の期待は一発のみ。ここで2ランを放てば僅か2試合、5打席目でのサイクルホームランの達成だ。
冷静に、かつ的確に打球を捉える。今度は右方向への放物線だ。行ったのか〜・・・しかし、僅かに距離が足りず、惜しくもライトフライ
。大記録達成は次に持ち越された。

マウンド2番手には安井、そして3番手として岩井がいよいよマウンドへ。
なんとかインパクトを残したい岩井だったが、大花火連発のインパクトをかき消す事ができず、軽〜く意気消沈。
打線はさらに5回、松永、美澤の連打でチャンスを作ると、樋口の内野ゴロで1点追加。
さらに、大花火の仲間に何とか入りたい高橋も負けじとレフトスタンドへ。行ったか〜。しかし惜しくもフェンスダイレクトのタイムリーツーベース。「なんでいつもこうなの?」
6回、先頭の吉武が猛打賞となるレフト線ツーベースを放つと中津、小田が四球を選び満塁。岸本のタイムリー内野安打でさらに満塁のまま、打席には森須。
試合時間の関係で、主審より「この打者まで」の宣告。やはり、“持ってる男”に、最後の打席が回ってきた。
草野球あるまじき、一発しか期待されてない怪物の登場に、観衆は最後の最後で大盛り上がりを見せる。
そして、森須の打球は、またしてもレフトスタンドへ向かって一直線!マジかよ〜!誰もがホームランを確信した当たりは、
弾道が僅かに低く、レフトフェンス最上部にぶち当たった〜。あと20センチ!おっしぃ〜!!!
見事な2点タイムリーツーベースにも関わらず、まるで凡打のような周囲の失望感。
樋口試験官は、「最後の当たりでフェンスオーバーしてたら合格だったのにな」。
ホームラン、勝利打点と、2試合連続殊勲打が続くも、甘い汁は吸わせない、と言わんばかりだ。
日本一、いや世界一険しいNLの入団テストは、まだまだ続く・・・のか。

︎平成27年3月29日/社領南/開始15時
○N.ライオンズ 12-2 チームH●

TH 100 10 :2
NL 060 51 :12

【勝利投手】久保 1勝
◯久保・翔平・岩井ー翔平・中津

【勝利打点】森須 1

【本塁打】樋口1号(2ラン) 森須1号(3ラン) 2号(ソロ)


【経過】
リーグ第5戦。平年を上回り5月なみの気温。福岡の桜も満開となり本格的な球春到来。
快晴のベストコンディションの中、NL戦士達が球場に集結。

この日、エース初老岩井、4番美澤、打撃好調の安井を欠く布陣だか、若手俊足巧打のコンビ、高橋、翔平を1、2番に置き4番には
昨年チーム三冠の樋口と打線は抜かりはない。さらにはNL若頭にして核弾頭。チームの便利屋、首脳陣から絶対的信頼を得る久保が今季初先発と、こちらも盤石だ。

試合前のミーティングの中、春爛漫のこの時期に枯れ木のような男がこっちへ向かって歩いてくる。岩井だ。
妻子が関東から来福。嬉野温泉に家族旅行中のはずの岩井がユニフォーム姿でなぜか登場。
なんでも旅行バッグにユニフォームをそっと忍ばせ、観光を早めに切り上げ参戦とメンバーを驚愕させる。しかも妻子を引き連れてだ。

そして、ある選手がそっとつぶやいた。

「本当に家族がいるんですね」

それも無理もない。こんな野球バカが既婚者である訳がないと誰もが思っていたからだ。それと同時にメンバー一同にある疑念を持ち始める。

「ダミーじゃないのか?」

どこか気品の漂う、感じの良い婦人が本当に岩井の奥さんなのか?よほど器の大きな人に違いない。
完全には疑惑が払拭されない中、試合が始まる。

初回。真っさらのマウンドに上がったのは久保。久々の登板のせいかコントロールが乱れ1点を失う。
1回裏NLの攻撃。相手投手の独特のクセ球で的を絞れず1,2番が連続三振。無失点に終わる。

2回の久保は低めを意識した丁寧なピッチングで無失点に抑えるとその裏、久保を援護したい打線が一気に相手投手に襲いかかる。
1死後、久保が三塁内野安打で出塁すると、すかさず快足を飛ばして盗塁に成功。
続く岸本が四球で出塁すると打席には妻子が見守る岩井。押っつけて右前にタイムリーを放ち1点を返し同点。
ランナー二人を置いて打席は準構成員山陰の怪物森須。
NL初打席で狙いました豪快なスイングで放たれた打球は弾丸ライナーで左中間スタンドに突き刺す逆転の3ランだ!
メンバーの度肝を抜くパワーの源は大好物の焼き餃子だ!
さらに高橋が“お家芸”の死球で出塁。2死で二人の走者を置くと、松永の技ありのライトへの2点タイムリー。打者一巡で一挙6点を取り主導権を握った。

先発久保は安定したピッチングで3回も無失点に抑えると、打線は4回裏。先頭の森須がまたもやグラウンドを席巻する。
力強いスイングから放たれた打球は打った瞬間にレフトスタンドに直撃!2打席連続の弾丸ホームラン!一同唖然とする中ダイヤモンドを一周。
パワーの源は麺4玉分の大盛りつけ麺だ!

瞬く間に得点を重ねると打線は止まらない。翔平のタイムリー2ベース、松永のセンターへのタイムリー。
黙っていられないのは主砲樋口。後輩の森須に2ホーマーを見せつけられると、「狙いました」と社領南球場の認定本塁打の更に上、高くそびえたフェンスを超える 先輩の意地の一発。特大の2ランだ!
ひとみママン、しもみグランマ、骨折もしたけど嘉孝元気です!

そして最後の継投は妻子の前で遂にエース初老岩井が登板。
岩井ジュニアの様子を見てみると
めっちゃ写真撮ってる!
おそらく、父のピッチングを見るのは初めてなのだろう。微笑む岩井ジュニア。
すげぇ〜シャッターをきる岩井ジュニア。

否が応にも気合が入る父岩井。枯れ木に花を咲かせるが如く気迫を見せる岩井。
岩井ジュニアにとって、父の勇姿を見れたこの試合こそが今回の旅行で一番の思い出になったに違いない。

︎平成27年3月22日/雁の巣軟式①/開始11時
○N.ライオンズ 5-3 ブルドッグス●

NL 101 300 : 5
B] 000 021 : 3

【勝利投手】岩井 3勝1敗
◯岩井ー翔平

【勝利打点】翔平 2

【経過】
今季初の雁の巣。しかし、記録的なPM2.5発生により、数メートル先の見通しが悪いほどの濃霧。
まさに、野球なんかできたもんじゃない、凄まじいハンディキャップだ。

NLは初回、そんなハンディを最初に味方につけ、相手守備が浮き足立つところを捉え1点を先制。この辺は強かだ。
3回にはまたしても濃霧で「こりゃ見えんだろな〜」的な当たりを連発、さらなる追加点。
そんな悪条件の中、ディフェンス陣はどうか。先発の岩井の老眼で、サイン交換ができるのか!?果たして、
キャッチャーの翔平が、「勘弁して下さい。岩井さん、3球に1球しかまともにサイン通りに来ません」。
だが、そんな状況を打破するのが昭和の眼差しを持つ岩井の真骨頂。逆に立ち上がりから4回までを無失点に抑える始末。
やはり、ただ者ではない。

4回、樋口の当たりはピンポン球を弾き飛ばすかのような当たりでレフトオーバーのエンタイトルツーベース。
認定ホームランでもいいんじゃね?的な当たりでチャンスを拡大すれば、高橋も「いっちゃいました」とばかりに左中間タイムリー2ベース。さらに続く翔平がお待たせの今季初安打、左中間を深々と破る3連続ツーベースが2点タイムリー。
さらに相手が弱味を見せ始めると、密かにトドメを刺しにいく姑息なベテラン吉武までもが、いや〜なボテボテのサードゴロで打点を稼ぎ、この回3点で計5得点だ。
岩井は点差を考慮した投球で、5回に2点、6回に1点を返され、さらに7回にもピンチを招き失点するも、試合時間の罠に助けられそのままリードを保ったまま試合終了。
上空を覆う濃霧のように、ドロドロな展開で今季3勝目を奪った。

︎平成27年3月8日/駕与丁公園/開始10時
○シャークス 3-0 N.ライオンズ●

NL 000 000 0 : 0
SH 300 000 0 : 0

【敗戦投手】岩井 2勝1敗
●岩井ー翔平

【経過】
開幕連勝を飾り、例年になく順調なスタートを切ったNL。
この日は上位チームとの対戦を迎え、選手もいつも以上に気合いが漲る。
が、しかし、NL大型打線を牽引する5番打者、樋口がまさかの欠場。
クリーンアップにかかる負担は大きく、指揮官は打順変更に着手した。

NLの核弾頭・久保を5番に据え、中軸の翔平をトップに起用。共に俊足かつチャンスに強いクラッチヒッターだ。
そして最大の注目は天才同士の入れ替え。2、3番の安井、松永を大胆に配置転換した。
だが、この日ばかりは“NL劇場”も全く披露されず、見せ場もないままの完封負け。
先発岩井も、「また初回だけかよ」的な内容で完投。逆にナインはスッキリと気持ちを切り替え、
次戦に備えた。

︎平成27年2月22日/駕与丁公園/開始10時
○N.ライオンズ 6-1 ブルドッグス●

Blll 001 000 : 1
NL 420 00× : 6

【勝利投手】岩井 2勝
◯岩井ー翔平

【勝利打点】樋口 1

【経過】
この日は、雨。しかし、NL気象予報士は「試合時間(10時〜12時)の駕与丁に雨は降らない」という、半ば強引かつ確信めいた判断により、
試合は行われた。他球場のリーグ戦は全試合中止。
無謀かと思われた判断だったが、まさかまさか、雨の影響を全く感じさせない好ゲームで予定通りの2時間を使い切った。

雨雲を気にする先発の岩井は「なんとか4回まで終わらせて、勝ち投手に」というベテランらしく嫌らしい計算力で立ち上がりをさっさと
終わらせる。

その裏、先制点が欲しいNLは2番絶好調の安井が四球で攻撃の合図を鳴らす。
松永が薄空を切り裂くかのような左中間真っ二つのツーベースで一塁ランナーの安井が長駆ホームイン。松永自身、今季初安打がいきなり
タイムリーとなり火を点ける。天才が遂に目を覚ました!
今度は4番美澤が今季初登場だ。昨年優勝を決めた決勝満塁弾の残像が残る中、キッチリと選んで四球。
塁を埋めて打席には樋口。ネクストの素振りから尋常じゃない・・相手バッテリーを震え上がらせると、打席に入った瞬間、デカい、デカ過ぎる!しかもその初球、何の躊躇もなく振り抜いた打球は左中間、レフトの頭上を大きく超えるタイムリーツーベース。
さらに塁上を賑わせて高橋。な、何なんだ、この打線の層の厚さは!高橋の打球は逆らわずセンターへ一直線となるタイムリーでさらに追加点だ。
もういいだろう・・と誰もが思った矢先、打席にはこの打順に来ても、さらに翔平だ。ここから吉武、小田と四球を選びさらなる追加点。
結局この回、10人攻撃で3安打4点を奪い、一気に主導権を握った。

2回、今度はラストバッター此上がチーム初登場、初打席にして二塁内野安打で出塁。
トップにかえり久保が四球、そしてオイシイ場面で燃えるのが安井だ。
打球はレフトオーバーのタイムリーツーベース。止まらない打線はさらに松永のライトへの大飛球で犠牲フライとなり、さらに追加点。
2回を終え6-0。しかし雨足が強くなってきた。まさかのノーゲームか!?いや、しかし回を追うごとに天候は回復。
焦った先発の岩井だったが、ゲームが成立するとなると途端に結果を気にし出す。悪い癖だ。
しかし、そこをキャッチャーの翔平が好リード。相手に得点を許さないまま、完封も見えてくる投球だ。

3回は2死、得点圏に走者を置いて、相手の打球はイージーなファーストフライ。
岩井は追うな〜!
そして、名手高橋が難なく、キャッチ・・・いや、まさかのポロリだ!季節外れのポロリでまさかの1点だ〜!!
しかし、岩井は「自責は0」と念仏のように唱えながら投球を続け、完投で2勝目を挙げた。
開幕連勝を飾ったNL。投打の主役が出揃い、これで春先から乗っていけそうだ。

■平成27年2月8日/駕与丁公園/開始10時
○N.ライオンズ 9-5 Peeps●

NL 010 312 2 : 9
Pjjji040 000 1 : 5

【勝利投手】岩井 1勝
◯岩井・久保ー翔平・中津

【勝利打点】翔平 1

【経過】
球春到来!しかし、球春と呼ぶにはあまりにも寒すぎたこの日、NLの2015年開幕戦が行われた。
昨年、前人未到のリーグ3連覇を達成したとはいえ、グループ2位に甘んじた要因。それは全て、開幕戦を落とした事に始まった。
その時の相手は10年来のライバルチームPeeps。そして今年の開幕戦もまたPeeps。嫌な予感がチーム内に充満する。
お互い手の内を知り尽くしているだけに、最も手強い相手を開幕戦に選んでしまった。

しかしゲームが始まれば、そんな事も言ってられない。「俺に任せとけ!」3年連続開幕投手に指名されたのは、優勝請負老人、
朽ち果てる事のない初老、老いてなお子供じみた言動を見せる、NLの絶対的エース・岩井だ。
早くも周囲から、「でも去年の開幕戦で競り負けたのは、あんたのせいじゃん」と突っ込まれ早くも謙虚な姿勢に。

そんなこんなで、こんな大切なオープニングゲームに、なんか華がない。華・・・おいおい、不動の4番打者がいないだろ〜!!
昨年のリーグ優勝戦で度肝を抜く決勝満塁弾を放ったレジェンド・美澤がバラ色のオフを満喫した挙げ句、無念の調整不足による登録抹消。
急ピッチで仕上げに入ったものの、やはり開幕戦には間に合わなかったか・・・。

早くも不穏な空気に包まれる中でも、指揮官が自信を持って開幕4番に指名したのは、帰ってきたNLエルネスト・樋口。
昨年はポストシーズンで故障。無念の戦線離脱を余儀なくされただけに、誰よりもやってやる気持ちは強いはずだ。

また、昨年は「仕事により仕事できず、全く仕事にならなかった」ベテラン・吉武のコンディションを確認し、勝負所の打順に据えた指揮官。
果たして、開幕戦は厳かにスタートした。

先攻のNL打線は、まさかの三者凡退。しかも、あっさり感。いや〜な空気は払拭できず。絶対に先取点は禁物・・・岩井の気負いは空回り・・・するだろうな〜と半ば諦め気味にマウンドへ送り出すと、相手先頭打者にフルカウントまで粘られる。いや〜な予感。
しかし、ここをバシッと斬って取ると、初回を無失点に抑えた。やればできるじゃ〜ん!

そして2回、指揮官の打順構成がいきなりハマった。先頭の樋口は相手エラーで出塁。続く高橋の打球はうまく捉えて二遊間へ。センター前か!
しかし、巧みなショートに二塁ベース上で回り込まれ6-3と渡るまさかのダブルプレー。チャンス潰えたか・・・と思われたが、
続く翔平が執念で四球出塁し二盗成功。強引に得点圏の突破口を開くと、ここで指揮官が確信を得て送り出した吉武。
「たまたま、昨日見た」という野球特番を参考にした流し打ちの極意で打球は左中間を破るタイムリー。ベテラン復活の先制打で不穏な空気を
一掃し、岩井が自信満々にマウンドへ。しかし好事魔多し・・・。いつものように、ここで気合いが空回りだ。
突如コントロールを乱し、僅か2安打ながら4点を奪われる始末。愕然とし肩を落としながらベンチへと引き上げる岩井。
「やっぱりやっちゃったよ、俺・・・」ひとりネガティブモードに突入し大逆転を実感してしまう。

またまた、昨年開幕戦の二の舞か。再び不穏な空気がベンチを支配する。その裏、NL打線はまたしてもあっさりと三者凡退。
あっさりではない。誰もが何とかしようと必死にもがいた末の、アリ地獄。確実に、ヤバい展開だ。

流れを掴めないままだが、岩井が徐々に覚醒する。ようやく捕手・翔平の意図する所へズバッと決まり出し、あとは味方の援護を待つ。
なんとなく、流れを戻したような気がするぞ!

4回、打順が良く先頭はトップの久保。この絶好機を逃すはずがない。久保の打球は得意の逆方向へとグングンと伸びる。センター頭上を越えるツーベースでノーアウト二塁だ。安井、松永の内野ゴロで2死三塁となると、樋口の打球はライトのエラーを誘い、まずは1点を返した。
続く高橋は気合い十分で打席に入るも、昨年のデジャヴを見るかのようなデッドボールでチャンス拡大「なんで俺だけ、こ〜なるのッ」
さらに翔平まで連続死球。あらら、この日はこんな巡り合わせの絶好機で回ってくるのか、と吉武が打席へ。
「あ、そ〜いや昨日、こうやって打ってたよな〜」またもや野球特番を思い出した吉武の当たりは再び左中間へのライナー。
今度はセンターとレフトの間へ同点の2点タイムリー。ランナー・韋駄天の高橋と翔平が相次いでホームインし遂にゲームを振り出しに戻した!

味方打線に救われた岩井は、同点ながら勝利を信じ、調子に乗りまくる。完全に吹っ切れた投球術で完璧に相手打線を抑えていく。
すると今度はこっちのベテランだ。2死三塁から岸本が捉えた打球は三遊間を破る勝ち越しタイムリー!
「たまたま、YouTubeでやってた映像で、腰と下半身の使い方を反復練習しただけ」というキャプテンのバットで遂に、執念の逆転に成功だ。

さらに6回、1点を追加してなお、2死二塁。打席にはまたしても吉武。何か、あるぞ・・誰もが期待した打球は打ち損じショートへ高々と
舞い上がった飛球。野球特番効果よ、3連打ならずか・・しかし、タダでは終わらせない。見上げたショートの視線が、打球と太陽光に重なり
見失う間に、グラブで弾いてボールが転々。その間にランナーはホームインし、さらに追加点。
最後は姑息にもこの日4打点目を稼ぐベテランの一打でリードを広げると最終回には、ベテラン最終兵器・ダーオーが魅せる。
「たまたま、昨日見たファンクスの試合でヒントを得た」というブロンコ打法でレフト線を破るタイムリー二塁打。
さらには久保貫禄の犠牲フライでホームまで戻った小田。

この日は合計122歳のベテラン三銃士で6打点。若手、中堅のめざましい活躍に加え、ベテランが覚醒してくれば、明るい材料が増える。
5回終了時に、岩井は序盤の不甲斐ない投球に納得が行かず、一度は指揮官に続投を志願するも、「まあ俺も大人だし」と久保のリリーフを仰ぎ
お役御免。
最後は久保-中津の白蛇バッテリーでゲームを締める・・はずが、走者を置いて捕手・中津がまさかのパスボールからのサードへの悪送球。
一瞬にして勝利打点が消えた岸本からベンチ裏へと連れて行かれた中津は、「今後の大事なゲームに向けてのアドバイスを受けました」と
まぶたを真っ赤に腫らし、前を見据えた。
1点の重みを忘れるな!
決して、私情を挟んだわけではない。ここに、NL野球の真髄を見た。