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︎平成26年12月7日/上月隈第2/開始11時
○N.ライオンズ 10-1 ホワイトスネイクス●

NL .400 012 30 : 10
WS 001 000 00 : 1

【勝利投手】安井 2勝
○安井・高橋・美澤・岩井ー高橋・松永

【勝利打点】高橋 1


【経過】
劇的な勝利でリーグ3連覇を成し遂げたNL。
リーグの全日程を終了し、ファン感謝イベント「N.LIONS THANKS FESTA 2014」が開催された。
もう一度見てみたい対戦カードの募集で多数の応募の中から選ばれたのは、NL久保、中津がかつて在籍したホワイトスネイクス。
今季最終戦はN.ライオンズクラシックとして1日限りの復活ホワイトスネイクスとの対戦が実現した。

NLの初回の攻撃。リーグ優勝の立役者松永、美澤のクリーンアップの2人を1、2番に起用。
打撃タイトルを争う選手を上位に回すオーダーでこのイベントを盛り上げる。

白蛇の先発は「やれば出来る子。カレーといえば」中津。
知った仲ゆえの対戦にスタンドのファンも注目の対戦。優勝決定戦で試合を決めるグランドスラムを放った美澤が好調そのままにセンター前へ。
続く安井は四球を選び最終戦にしても安定した出塁。
この最終戦は準決勝、決勝と抜群のピッチングを披露した岩井が御褒美の4番。三塁内野安打をもぎ取り、打席には“ザ・ダイブ”高橋。
決勝戦の前から打撃好調を宣言していただけあって空気を切り裂くような鋭いスイング。
一直線に左中間を破った打球はそのままスタンドインするグランドスラム!
なんとチーム初の二試合連続の満塁アーチで幸先よく4点を先制。

NL2014年最終戦の先発は今季ピッチングスタイルをマイナーチェンジし、前回登板で結果を出した安井。
伸びのあるストレートとフォークに加えカーブを交えた投球で白蛇打線を牛耳っていく。
3回1失点の好投で2番手はNL初登板の高橋。首脳陣の期待を込めたテスト登板は制球よくテンポもよい投球で来季のオプションの一つとし十分なアピールとなった。

白蛇は3回からは2番手の久保。
3回は無失点に抑えられるも5回に1点、6回に2点と徐々に白蛇を捌いていき、7回には安井の犠牲フライとMG深町のレフト前2点タイムリーで2014年シーズンを勝利で締めくくった。

︎平成26年12月7日/上月隈第2/開始9時
○N.ライオンズ 4-0 INODEN●

NL 000 004 0 : 4
I D 000 000 0 : 0

【勝利投手】岩井 11勝5敗1セーブ
○岩井ー翔平

【勝利打点】美澤 3

【本塁打】美澤2号(満塁=6回)

【経過】
パブリックリーグ史上初となる12月の優勝決定戦がこの日、遂に実現。プレーオフ準決勝に続きこの決勝も度重なる雨の影響により、ファイナルがここまでズレ込んでしまったが、まさに雌雄を決する頂上決戦にふさわしい大激闘となった。
この日の天気は気温こそ低いが、この大舞台にふさわしい晴天。いよいよ、優勝を賭けた戦いの火蓋が斬って落とされた。

プレーオフ準決勝で、昨年優勝決定戦の再現となった早良区LOVE戦を制したNL。パブリック史上初の3連覇を賭け、リーグ戦1位通過を決めたINODENとのガチンコ勝負だ!
平均年齢で圧倒的な若さを誇る相手チームはまさに脂が乗り切った状態だ。一方、エース“初老”岩井を擁するNLは、その岩井が平均年齢を
引き上げ続けるが、今やインサイドワークと老獪さでリーグを牽引してきた。

ビジター先攻のNLにとって昨年までの連覇、通算4度のリーグ優勝という実績を含めたアドバンテージは一切ない。
むしろ、チーム全体が一丸となって立ち向かうチャレンジャーの心境だ。それもそのはず、
プレーオフ準決勝で試合中に右手首骨折のアクシデントに見舞われ、志半ばで戦線離脱を余儀なくされたチーム本塁打王の樋口。
リーグ戦、彼の活躍なくしてここまでの順位はなかった。彼の分まで・・・背番号27のユニホームをベンチ入りさせ、ボールを握れない樋口は
裏方に徹する涙ぐましい姿を見せる。誰もが感じる想いは、ひとつだ。

初回、両チーム無得点。まさに、嵐の前の静けさか。先発の岩井も、再三の日程順延にペースを乱される事もなく、ありのままのピッチングを
見せる。
2回、先頭の美澤が貫禄の四球を選ぶと、打席にはありのままの男前・安井。代役の5番じゃない!今こそその勝負強さを発揮する時が来た!
捕らえた打球は鋭い当たりで二遊間に運ぶも、回り込んだショートに仕留められ6-4-3の併殺打。
まさに紙一重!チャンス拡大が一転、この回も無得点に終わるが、流れを渡さない岩井のピッチングも冴え渡る。
まさに親子ほど歳の離れた相手打線に対して真っ向勝負だ!

3回、何かを起こすダーオー・小田のレフト前ヒットがチーム初安打を呼ぶも無得点。相手投手のキレの良い投球になかなかチャンスを
掴めない。しかし、岩井の投球も絶妙だ。息が合わないと心配されつつも実は一番結果を残している翔平とのバッテリーで強打の相手打線を
牛耳っていく。

4回、好調・久保がレフト前へ弾き返し先頭出塁。いよいよゲームは動き出していくのか!?1死となるも、打席には松永。
こんな時の一撃、必殺仕事人が魅せる打撃はリーグ戦で相手チームを恐怖のドン底に叩き落としてきた。今だ!狙いすました松永のセンター返しはピッチャーに好捕され、この日チーム二度目のダブルプレー・・・チャンスを掴み掛けるも次の一手を阻まれ得点できず。
まさに天王山にふさわしい、締まりに締まった展開になってきた。

その裏、ここまで完璧な投球を見せていた岩井が、自ら首を絞めてしまう。先頭打者はドン詰まりのピッチャーフライ。
しかし岩井はキャッチャーかサードを指示。そんな守備範囲ねぇ〜だろ〜と誰もが突っ込む中、打球は岩井の前でポトリ。
完全に打ち取った当たりがまさかの内野安打となり先頭の出塁を許すと、エアポケットに陥ったかのような岩井は続く打者にレフト線ツーベースを打たれてしまう。あれよあれよという間にノーアウト二、三塁の大ピンチだ!!
何やってんだ、落ち着け、俺!

岩井は自問自答を繰り返しながら、ベンチを振り返った。
そこには今季絶望の大怪我でゲームに出場できない樋口が大声を上げて声援を送っている。多忙を極める首脳陣もスケジュールの合間を縫って
駆けつけ、ベンチから戦況を見守っている。
俺ひとりじゃないだろ!!
改めてキャッチャーの翔平を呼んで冷静に戦況を見極め、確認作業を行う。プレー再開だ。もちろん、1点もやらない、いや、
やれない内野前進守備だ。
ここで岩井のザッツ・昭和魂が覚醒する。唸る渾身のストレートで次々と打者の打球を詰まらせていく。
これでもか、これでもか!そして昭和の大魔球・自称「ドロップ」で完全にタイミングを外すと、最後も渾身のストレートで打者の胸元を
えぐり、この大ピンチを無失点で切り抜けた!

ベンチ総出で大ピンチを脱したNLナインを迎え入れる。さあ、ピンチの後にチャンスあり、5回、先頭の美澤がここも四球を選び出塁。
続く安井は力まず逆らわず、右方向への軽打に徹しライト前ヒット!チャンス拡大だ!!さらに翔平は徹底してクサい球を見極めて粘りの四球。今度はノーアウト満塁のビッグチャンスだ!!
しかし、相手投手もここでさらにギアを一段階上げてくる。中津、岸本、小田と続くNLクセ者三人衆を持ってしても三者連続三振に仕留められ、なかなかホームベースが遠い・・・しかしこれぞ決勝戦の舞台にふさわしい、痺れる展開となってきた!

チャンスを逃したNLは、その裏もピンチを迎える。まさに一寸先は闇、一瞬で流れが変わる展開に、岩井は細心の注意を払いながら、
キャッチャー翔平の構えたミットめがけて、年甲斐もない全力投球だ。もはや体がバラバラに砕け散ってもおかしくないだろう。
同世代が次々と朽ち果てていく中で、自称・岩井世代の旗手が最後の踏ん張りを見せて、この回も相手打線を無得点に切り抜けた!

スリリングな攻防の末、5回を終了し0-0。ベンチ裏では、引き分けを想定した選抜ジャンケン大会に備え、出場者予選会開催の準備に
取り掛かっていた、まさにその時。
先頭のMG深町が自己犠牲の鬼と化し、相手投手の投球を引き出していく。涙ぐましい努力を見せた上で自害・・三振を喫し1アウトとなるも、
続く岩井が恒例のむちゃ振りを控えて四球を選び繋いでいく。
ここでやや疲れの見え始めた相手投手の僅かな隙を逃さない久保の打球は左中間へ!見事なツーベースとなり1アウト二、三塁。
願ってもない場面をまたしても演出だ。

相手投手はここで降板。続いてはさらに難敵のリリーフ投手登場だ。ここを打たないと、優勝の二文字は遠のいていく。
ここでルーキー高橋。もうお前しかいない!行け!狙っちまえ!!
ベンチから諸先輩の檄を受けた高橋は、かつてないほどの集中力で打席に向かうも、今シーズンを象徴するかのようなデッドボール!
しかも背中だ。痛い・・しかし本当に痛いのは相手チームの方だろう。
1アウト満塁、3番松永。変幻自在のバットコントロールで、外野まで運べば値千金の先制点だ。狙いを絞った松永の打球は、松永にしても
この場面で打ち損じてしまうほどのプレッシャーで内野フライに倒れる・・・。
ツーアウトとなり、相手チームとしてはホッと一安心、と思われたが、続いて打席にゆっくりと向かうシルエットには重厚感が漂う。
このゲームに終止符を打つのは、やはりこの男しかいないのか!?

NL入団から足掛け10年、これまでただの一度も4番の座を明け渡した事がない、伝説の不動の4番バッター、背番号18の美澤が打席に入った。
自分に厳しくも、最年長には特に厳しい。しかし時折見せる優しい笑顔に、宿る勝負勘はやはり草野球界のカリスマだ。
誰もが呑まれたこの一世一代の局面で、美澤のアドレナリンが一気に放出する。

確実に狙いすましたフルスイング!この一瞬、この瞬間、この男の為だけにまるで止ったかのようにゆっくりと時間は流れる。
打球はレフトスタンドへ向かって大きな放物線を描いた。マジかよ!!誰もが滞空時間の長い打球を見上げながら追い続けた末、
左中間スタンドの一番深い所へ吸い込まれるように消えていった。

一瞬の静寂の後、本来の時の流れにもどる。NLベンチからナインが一斉に飛び出した!値千金、いや、値“億”金のグランドスラム! 
先制の第2号満塁ホームランだ!!

これまで美澤の数多くの一発を目の当たりにしてきたが、こんな衝撃の一撃は他にないだろう。
慌ててNL用具係がホームランボールの回収に行く。そこには信じられない光景が・・・。

用具係「通常、ホームランボールはなかなか見つからないが、この一発は落ちた大量の枯れ葉の中に突き刺さりつつもしっかりと姿を見せて、
後光が差しオーラに包まれていた」

さあ、後はエースの番だ!頼むぞ、最年長!!しかし、均衡が破れた途端、老獪な岩井にも僅かな隙が生じた。
その裏、先頭打者を四球で歩かすと、続く打者にはセンターオーバーの痛打を浴びノーアウト二、三塁。またしてもピンチを迎える。
4点差・・ここで誰もが1点を捨ててアウトカウントを稼ぐフォーメーションを考える。セオリー通りだ。

しかし、キャッチャー翔平から出た指示隊形は、内野前進守備。1点もやらない作戦に出た。点差が縮まれば、強打の相手打線が蘇ってくる。
この日の岩井の状態を把握し、女房役が自信を持って出した指示に、ベンチの指揮官も納得の表情で見守った。
俺に任されてる。頑張れ、俺!
岩井は最後の勝負フンドシを締め直し、相手上位打線に立ち向かった。

終盤にきても唸りを上げるストレートで、金属バットをもへし折らんばかりの凡打に仕留める。昭和の魔球・ドロップも効果的に決まり、
次々とボテボテの内野ゴロに打ち取っていく。前進守備の堅い守りが1点も許さない。
岩井は遂に、最後の最後まで集中力を切らさず、優勝決定戦2年連続完封勝利の偉業を達成!この男に“老い”という限界はないのか〜!!

果たして、キャプテン岸本が宙に舞う。2度、3度・・4度、胴上げが完成した直後、岸本の足がつるアクシデントが!こちらは年齢通りの老いを感じさせた瞬間だ。
エースが投げ、4番が打った。
そして、全員で守った。
単純明快だが、これこそがNL野球の真髄。史上初の3連覇を達成し、さらに追われる立場になったこれからも、チャレンジャー精神である事だけは変わらないだろう。
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︎平成26年11月23日/駕与丁公園/開始14時
○N.ライオンズ 6-2 早良区LOVE●

SL 001 010 : 2
NLi303 00× : 6

【勝利投手】岩井 10勝5敗1セーブ
◯岩井ー中津


【勝利打点】安井 2

【経過】
運命のプレーオフ準決勝、11・9決戦を雨で流し、仕切り直しとなったこの日。
リーグ終盤戦にチーム状態がMAXとなった事に手応えを感じた首脳陣は、「怖いのは、雨だけ」と語った。
その雨で、まさかの日程順延。この雨が吉と出るか凶と出るか、バックスクリーンにはNLTV N.ライオンズチャンネルの中継カメラもスタンバイ
し、この一戦は注目度MAXだ!

リーグ戦上位のNLの後攻で試合はスタート。
まっさらなマウンドにはもちろんNLの絶対的最高齢エース、岩井が上がった。この日に備えてやってきた。大丈夫だ、任せとけ!
そんな雰囲気がヒシヒシと感じられる17番の背番号。その初球。
魂がこもった弾丸ストレート。キャッチャー中津のミットめがけて投げ込まれたボールを、ものの見事に弾き返された!
打球はレフト線を襲う長打コース。「しまったァァァ〜!」
苦悶の表情を浮かべる岩井だったが、ここからNLが誇る鉄壁のディフェンス陣が躍動する。

打球を処理したレフト樋口は強肩を生かして二塁へ矢のような返球。クロスプレーか!?いや、走者の足が僅かに速いか・・
誰もが諦めかけたその瞬間、セカンド男前・安井がギリギリまで捕球を我慢し、ベース手前で瞬時にタッチ。
まさに、草野球のカリスマが魅せた神技で、二塁タッチアウトに仕留めた!大ファインプレーだ!!
いきなりノーアウト二塁のピンチから一転、1アウトランナーなしに状況が変わった岩井は、心の中で感動の涙を流しながら再度、
気持ちを奮い立たせた。この回を無失点に切り抜け、活気づくNLナイン。その裏、怒濤の攻撃に繋がっていく。

先頭は、誰もが恐れる恐怖のトップバッター久保。この日自ら志願し1試合調整出場した直後、体がヒートしたままの状態だ。何かやってくれる!周囲の期待はいきなり初球デッドボール。やはり、何かやってくれた!
体が動き過ぎる久保は縦横無尽に駆け回り二盗成功。今度は逆にノーアウト二塁のチャンスを演出だ。

続く超攻撃型2番には高橋。この日指揮官は「ポイントは2、6番打者。やってくれるはず」と期待を込めて送り出したその打席、
高橋は気負う事なく鮮やかなレフト前ヒットで繋ぐ。ノーアウト1、3塁だ!俊足の高橋はさらに難なく二盗も決めた。
クリーンアップへのこれ以上ないお膳立てが整った!
3番松永の当たりは押っつけた右方向。しかし前進守備のセカンドに好捕され1アウト。

しかし次々と巨体の波が押し寄せてくる。今度は4番美澤だ!

一番チームを活気づけるのはやはり主砲のバットしかない。
ベンチの期待を一身に背負った美澤の当たりは、相手投手の失投を逃さずセンター前へのクリーンヒット。久保、高橋が次々と生還する2点タイムリーだ!この重要な場面で美澤のバットが先制点を叩き出した!この意味合いは限りなく、デカい!!
さらなる巨漢登場に期待がかかる。
5番樋口はサードへのゴロに倒れる。次にここで追加点を取れるか否か、でゲームの流れは雲泥の差。
しかし、ポイントの6番に据えた男はこの日も初回守備からノリノリの絶好調・安井。関西気質の血が騒ぐこの打席、誰もが信頼を置く
カリスマが放った打球は得意の右方向、ライト前へのクリーンヒットだ!美澤を迎え入れ貴重な追加点を入れたNLベンチはまさにお祭り騒ぎだ。
「そんなん当たり前じゃないですか。指揮官の教え通りですよ」
と、コースに逆らわないバッティングを自ら解説し、首脳陣へ最大限の敬意をも怠らない・・NLきっての幹部候補生がまたまた、結果を残した。

ここで改めて勝負フンドシを締め直してマウンドに向かった岩井。いつもの湿ったギャグも、時代遅れの合いの手もこの日に限っては必要ない。真っ直ぐな初老が、真っ直ぐを武器に強気かつ老獪に勝負に行く。
2回まで無失点、3回に1点を返されるもゲームの流れを渡さない。最年長の力投に、打線がさらなる援護点だ。
3回裏、1アウトからその岩井が突破口を開いた。バットが速すぎるのか、体が遅れてるだけなのか、いつものように大バクチのフルスイングを魅せた挙げ句、最後は軽打に徹しライト前への見事なポテンヒット。
これぞ生ける化石の進化系!を見せつけた後は、いよいよ重厚感溢れる1、2番へと繋がっていく。

ここでも久保の勢いは止まらない。打球は右中間へ!一塁走者の岩井はアンチエイジングでもある日々のサーキットトレーニングで培った脚力を生かし二塁を蹴って三塁へ・・・あら、二、三塁間で止まった〜!なぜだ〜!息切れか〜〜〜!!しかし、思い直したかのように最年長はまた、突然走り出す。痴呆か!?
しかし、何とか三塁に到達しオールセーフ。ピッチャーなのにドタバタの走塁劇でチャンス拡大。久保も難なく二盗に成功し、走塁で突破口を開いていく。

ここで高橋。最低限、死球が期待できるほど今季は浴び続けてきた。「もう死球はいらんです!」高橋は狙いすましたかのようなセンター前へのクリーンヒット。岩井に続き久保もホームインする2点タイムリーだ!またしてもチーム最年少のゴールデンルーキー、2番高橋が大仕事を果たした。
松永の死球を挟み、打席には美澤。頼れる4番にかかる期待はデカい。最低限、アレだろう・・との期待通り、
最低限の仕事を難なくこなしてしまう、それがNLの4番だ!
打球はセンターへの大飛球。タッチアップには十分な距離だ。三走高橋が余裕を持ってホームインし決定的な6点目を奪った。

最年少と4番が仕事をした後は、最年長エースに託す!
岩井は適度に走者を出しながらも、決定打を許さず、終始老獪な昭和のピッチングを披露し完投。
すると、いつも何かしでかす小田が何もしでかさない訳がない。
ゲーム終盤、物持ちの良さではチーム1の特徴を生かし、打球を追いかけた末ついに老朽化したスパイクを真っ二つに破損。
ゲームを中断させ、スペアに履き替えるなど、プレーオフの大舞台にしても“ダーオーワールド”全開でチームを和ませた。
さらに凄いのは最年長。この時期に来ても衰える事のない岩井は、不屈の闘志で、チームを3年連続決勝の舞台へと導いたのだった。

[■]平成26年11月16日/雁ノ巣11番/開始11時
●N.ライオンズ 0-6 CRANES◯

CR 100 200 21 :6
NL,,000 000 00 :0

【敗戦投手】岩井 9勝5敗1セーブ
●岩井・久保ー翔平

︎平成26年10月26日/駕与丁公園/開始14時
○N.ライオンズ 4-0 オールスター●

NL 400 000 0 : 4
AS 000 000 0 : 0

【勝利投手】安井 1勝
◯安井・岩井・久保ー中津

【勝利打点】松永 2

【経過】
遂に、あの男が帰って来た。かつてNL連続試合出場記録を保持したベテランが勝負の秋に、いよいよ帰って来た。
多忙説、重病説、鬱病説等、様々な憶測を裏付けるかのように、ベンチ裏には腕組みをして見守る妻の姿が・・・しかし、確かに戻ってきた姿を確認した指揮官は、温めていたある作戦を遂行した。ズバリ、復帰即スタメン2番起用である。
「あいつにブランクはない。何か起死回生の仕掛けを施してるはず」20数年来の同僚を見て指揮官は瞬時にそう判断した。
しかし「NLでは記憶に無い」という初の試みが功を奏し、いきなり初回からのビッグイニングに繋げた。

先頭の久保はいつも通り、振って行ってタイミングを合わせて、追い込まれながらもいきなり左中間を破るツーベースで出塁。
何とも頼もしい先頭打者だ。
ここで打席には久々登場の吉武。しかし、勝負所を知り尽くすベテランが何かしでかすに違いない。空白の2ヶ月間に、何か企んで来たに
違いない。そういえば少し挙動不審気味だ。発作か?見守る妻の腕組みが解かれない。

試合勘が戻り切らぬまま、あっという間に追い込まれるも、ここからが真骨頂。全球種を巧みに誘い出し、再三に渡るカット連発。
そのうちレフト線を襲うかという当たりで相手投手のデータを引き出すと、最後は小賢しく、止めたバットに当ててショート前へ。
見事な自称セーフティバントが決まりノーアウト1、3塁。願ってもない先制のビッグチャンスだ!

ここでベテランの頑張りに応えないわけがない松永が打席へ。常にベストパフォーマンスを展開する松永の当たりは、ものの見事なレフト前へのタイムリーヒット!あっさりと先制点を叩き出した。
さらに4番は、美澤不在時には任せたぞ、樋口。冷静に、貫禄のフォアボールを選びノーアウト満塁だ。
こんなオイシイ場面で登場するのはNLゴールデンルーキー、高橋。一丁、狙っちゃいましたと言わんばかりのスイングで、まさかのショート
ゴロ。しかしもれなく追加点で打点を稼いだ!
ここで何かしでかす雰囲気がまるでない中津が打席へ。しかし、雰囲気がない時こそ要注意である事は誰もが知っている。行け、中津!しかし、雰囲気がないままあっさりと三振を喫してしまった。これもまた、中津の真骨頂だ。

ようやく2アウトとなり、相手バッテリーがホッと一息ついたところで、ホッとしてはいけない打者が登場した。安井だ!なぜ、こんな打順に!?という所で不意に登場した安井は、これまたお手本通りのような右打ちで右中間を突破する2点タイムリーツーベース!
役者が違うとばかりに放ったNLのカリスマの一打でこの回4点を奪った打線。後は分業制、投手陣に任せたぞ、とばかりにその後は0行進に入る。

そんな内容盛りだくさんの展開にあって、この日一番のビッグプレーを演じる男が出て来た。やはり、決める所は決める。持って行く所は持って行く、ダーオだ!
この日は本職の外野ではなく、ゲーム中盤からセカンドの守備に入る。「いやぁ〜この景色、斬新だね〜・・・」しかし、危うい。
練習の段階から、かなり怪しい。至近距離のキャッチボールがまともに届かない。
いやいや、そこは大ベテラン。ゲームに入ればソツなくこなすはず。誰もが安心感と、一抹の不安を抱えながらも温かく見守った。
ゲームは先発の安井の好投で相手打線に付け入る隙を与えず無失点リレーへ。
登場するのはヤル気満々で出て来た岩井。なんとか目立って終わりたい・・そう体全体に書いてある最年長。さあ、最後を締めてくれ!

この日もNLディフェンス陣の堅さが投手を助ける展開に。このままいつもの堅実さだけで終わ・・・れるはずがない。そんな運命だったのだ。
岩井は老獪に打たせて取るピッチングを披露。「ダーオも暇そうだし、一丁、動かしてやるか」打球は簡単なセカンドゴロ。
小田は丁寧なグラブさばきですくい上げ、これまで20数年来、誰よりも多くキャッチボールを繰り返してきたファースト吉武めがけて、
流れるような送球へ。この間、僅か3メートル。誰もが目を切り掛けたその瞬間、まさかの事件が起こった!
小田の指先を離れ、吉武のグラブにダイレクトで届く軌道上に、ボールが無い・・・消えた!
ボールは小田の僅か1.5メートル先で急激に落下!かつて誰も見た事がないほどの落差を誇るフォークボールだ。いや、これが20数年前、草野球界を騒然とさせた伝説の大魔球、ドラゴンフライなのか!!まさか、勝敗に関係ない場面でダーオがやりたかった裏技とは、これだったか〜!!

ファースト歴30年以上を誇る吉武も「かつて見た事がない軌道。驚きというより、ダーオ、やりやがったなという嬉しさが込み上げた」と語る
一投は当然、捕球できずボールはファウルグランドを転々・・・小田の目も点々・・・これはヒドイ!発作だ発作!

一瞬の静寂の後、固唾を飲んで見守っていたNLナイン、相手チーム、観客全員が驚嘆の声を上げた。
まさに、スタンディングオベーション!外周をランニング中や犬を散歩中の観客も誰もが足を止めて見入った、
これぞザッツ・草野球!の醍醐味だ。歴史にまた、新たな1ページが刻まれた。

[■]平成26年10月19日/雁の巣1番/開始15時
○N.ライオンズ 6-3 博多55ヤンキース ●

NL 103 101 0 : 6
HY 101 010 0 : 3

【勝利投手】久保 2勝0敗0セーブ
◯久保・岩井ー翔平

【勝利打点】樋口4

【経過】
前節の最終戦で痛い黒星を喫し、最後の最後でかわされて4年連続の1位通過はならず。
2位でステージ通過となり、来月からはいよいよプレーオフに突入となる。2位通過で悲観することはない。なぜならプレーオフを勝ち進んでリーグ3連覇の目標があるからだ。
大舞台までの期間に試合勘が鈍らない為にも、この日は練習試合。
NLの選手はモチベーションを保ちつつ各自テーマを持ちつつ調整に余念がない。

初回。この日1番を任されたのは“ザ・ダイブ”高橋。痛烈な3塁線の際どい当たりでエラーを誘い出塁すると、すかさず盗塁を決めた。
その後にバッテリーエラーで幸先よく先制する。

先発マウンド上がったのはここ一番にもリリーフが期待される久保。
明らかにシェイプされたフェイスはこの日の登板に向けての気合いの表れか?と思いきや、ヒゲを剃ってシュッとなっただけ。
敵を欺くにはまず味方からだ。

2回の攻撃。先頭の小田が三振に倒れ、続くMG深町も三振…。しかしキャッチャーがボールを弾くと快足を飛ばして出塁。
が後が続かず無得点。

先発の久保がリズムに乗り出し2回裏を無失点に抑えると、援護点の欲しい3回表。
先頭の高橋が死球で出塁。続く松永、安井の連続安打で満塁。
この日4番に入った“サガミの怪人”樋口のところでバッテリーエラーで勝ち越すと、今度は火を噴く当たりでレフト前に2点タイムリーが
飛び出し、この回3点目。4ー1と勝ち越した。

直ぐさまその裏に1点を返されるが4回表。
先頭のMG深町が振替三振。続く岩井も三振の後に岸本がしぶとく四球で出塁すると、高橋の放った打球はレフトの左を襲い、フェンスに到達。1塁ランナーの岸本は2塁を回って3塁へ。視線の先には3塁コーチャーがブンブン腕を回している。
3塁で止まる気満々だっただけにギアを入れ直して本塁へ突入。…酸素をください。1点を追加した。

5回表からは初老エース岩井が登板。
プレーオフに向けて「いろいろ試す」と課題を持ってのマウンドだ。
6回表の先頭は、松永曰く「雰囲気がある」小田。その通りにセンター前に弾き返して出塁。
続くMG深町の時に盗塁を試みるが、タイミングはアウトか。
これを察知したMG深町は2ストライクながら自己を犠牲にして空振りでまさかの援護。ランナー小田は間一髪セーフとなり盗塁成功。
これが送り三振だ。送り三振成功だ!この日三打席すべて内容のある三振とドヤ顔のMG。
続く岩井、岸本が出塁し満塁とすると、もはや伝統芸になりつつある高橋の押し出し死球で追加点。

最終回は岩井がきっちり締めて勝利した。次戦はプレーオフ前の最後の調整試合。
あの男が帰ってくる。

[■]平成26年9月28日/春日球場/開始13時
●N.ライオンズ 4-5 早良区LOVE◯

NL 000 000 4 :4
SL i005 000 x :5

【敗戦投手】岩井 9勝4敗1セーブ
●岩井ー中津

【経過】
いよいよレギュラーシーズン最終戦。勝利すればステージ1位通過が確定する大一番。
前試合は“気合い十分”で勝利を掴み勢いそのままの決戦前日。

NLメンバーは天神某所に集結した。
NL切っての男前・安井主催の決起集会が行われる為だ。
選手、チームスタッフ、子供、初老、一同NL球団バスに乗り込み勢いそのままに「キャッキャ 」言いながら会場へ出発。実に和やかだ。
車内では野球選手ならではの“野球縛りしりとり”がキャッキャ言いながら始まった。
とりあえず田中と言っておけばセーフと安易な作戦をとる者。
「ズ」にハマり苦しむ者。
「る」始まりと「る」終わりなら無敵をアピールする者。
勢いそのままに大盛り上がりだ。バス楽しー!

勢いそのままに会場に到着すると、そこはどこか南国のリゾート地の様なサンセットが美しい海辺の会場。
水平線に夕日が沈むのを皆で眺めてから安井の号令でNLBBQがスタート。最高のロケーション。さすがだ安井!

“肉だ酒だ”で勢いそのまま盛り上がる。
程なくして、“サガミの怪人”樋口発案の子供イベント「宝探し」が始まった。砂浜に埋められた宝を探して子供達は必死に掘る掘る。
ナイス樋口演出!

盛り上がりは勢いそのままに、次はビンゴ大会。商品には家電、金券などの中には“ボルドーワイン100選”に選ばれた銘柄の中からさらに
厳選された「赤、白、スパークリング」の各ワイン。勢いそのままにキャッキャ盛り上がる。
次々にビンゴが出てくる中、誰もがやりたくてやりたくて仕方がない、毎年ロビー活動まで繰り広げられている権利。
ビンゴ商品目玉の一つ『NL納会幹事権』を見事に獲得したのは、NL若頭の久保だ。非常にラッキーだ。

そして、またまた目玉商品の一つ『プレミアム金券6万円分』を獲得したラッキーな男は小田だ。

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『プレミアム金券』を手に取りテンションアゲアゲのダーオ。

勢いそのままにみんなで花火大会。この季節の海辺で花火もいいもんだなんて言ってる間に終盤戦。
樋口の最近購入した真紅の自家用ヘリの御披露目会もありつつ、
勢いそのままに宴もたけなわ。宴のかたわらに腰掛けた、急に老け込んだフェイスに勢いの全くないトロントロンの目のダーオ。
『おじいちゃん帰りますよ』

最高のロケーションの中、最高の演出もあった決起集会NLBBQを終え、勢いそのままに会場を後にした。

そして一夜明け、決戦当日。
勢いそのままに球場入りするNLメンバー。
試合は初回。先頭のNL納会幹事・久保。勢いそのままにレフトオーバーの2ベースで出塁すると、後の記憶があまりない。
何か併殺3つぐらいあったかなぁ〜。
この試合でのステージ1位通過は持ち越し。マジック対象チームの結果如何となったが2位以上は確定。
舞台はプレーオフに突入する。

[■]平成26年9月21日/舞鶴公園/開始15時
○N.ライオンズ 4-2 INODEN ●

ID ii001 01 :2
NL 030 10 :4

【勝利投手】岩井 9勝3敗1セーブ
○岩井ー中津

【本塁打】 樋口2号(ソロ)

【勝利打点】岸本 1

【経過】
いよいよレギュラーシーズンも残り2戦。ステージ1位通過を賭けて3チームが大混戦。
NLにとっては残った試合が対象チームだけに一戦も落とせない状況だ。いつにもまして気合いを入れて球場入りするNLメンバー。

まずは球場入り一番手は中津だ。
前戦で本塁打を打っているだけあって早くもアップに余念がない。ヘアーも天に向かって真っ直ぐサイドを刈り上げてきた。気合い十分だ。

2番手はキャプテン岸本とこちらも前戦特大の一発を放っている樋口。そして松永だ。
駐車場から球場まで来た距離のある道をランニングで戻るとアップを始めた松永。オーダースパイクは2万5千円だ。気合い十分だ。

続けて、『駐車場から遠いぃ~』疲労感満載の顔で現れたのはMG深町だ。とりあえずタバコに火を付け一服。気合い十分だ。

『あ、おじさん。スーパーなら向こうですよ』
気を使って教えてあげたが、よく見ると前後に装着した座席に子供を乗せたママチャリで登場したのは小田だ。気合い十分だ。

『最近、自転車泥棒多いらしいよ。流行ってるからねロードタイプとか』メンバー内でそんな雑談をしている中、
“Ferrari”と書かれたロードタイプで 登場したのは岩井だ。気合い十分だ。

試合は今季1回戦で2ー12と大敗を喫した相手INODEN。
同じ轍は踏まないと気合い十分の先発マウンドは初老エース岩井。
やはり立ち上がりなのか。お約束かの様に初回から得点圏に走者を背負う苦しい展開。
序盤から襲ってくる相手打線を何とか凌ぎ、初回を0で抑える。

その裏、相手投手も立ち上がりの制球が悪く。安井、松永の連続四球で先制のチャンス。しかし、NL自慢の4番、5番が倒れ無得点に終わる。
2回も岩井は再び走者を背負うピッチング。好球必打の相手打線を何とか抑え、ゲロ吐きそうな顔でベンチに帰ってくる。

そんな岩井を援護したいNL打線は先頭は高橋。『子供が産まれて酒はやめました』鋭いスイングで振り抜いた打球はレフト前へ。
続けざまに痛烈なレフト前を放ったのは、カレーといえば中津だ。
お尻爆発は既に過去の話。小田がしぶとく四球を選んで無死満塁とチャンス拡大。
最近グリーンスムージーな生活をおくっているMG深町は二飛に倒れるも、打席には不甲斐ないピッチングにフラストレーションが溜まっている
岩井。久々に出た“くの字”スイングから放たれた打球はボテボテのショートゴロ。勢いの無い打球が幸いし、待望の先制点だ。
2死2、3塁となり、追加点が欲しいNL。打席にはキャプテン岸本。追い込まれながらもレフト前へ弾き返すと2人の走者が返り、
3点を先制した。

悪くないピッチングながら相手強力打線に1点を返され完全には主導権は握れない。リードしているとはいえ、完全に相手ペースで試合は中盤。
何とか追加点が欲しいNLの4回裏の攻撃。先頭は樋口。
ベンチの期待を一身に“サガミの怪人”の豪快に振り抜かれた打球は弾丸ライナーでバックスクリーン後方の舞鶴公園の森の中へ消えた。
2戦連発の度肝を抜く2号ソロだ!
その飛距離は故郷のサーティーフォー相模原球場のバックスクリーンにも突き刺さる特大の一発。4ー1と突き放す。

これで流れを引き戻したかに思えたがすぐさま1点を返され、さらには最終回に猛攻を受ける。
勢いのある若いチームにはベテランチームならではの老獪な試合運びで凌ぎ切り、勝利を掴んだ。

次戦の最終戦に勝利すればグループステージ1位突破が確定。気合い十分で大一番に挑む。
試合後の岩井は不甲斐ないピッチングに己を戒める為、自ら用具運びを買って出て球場を後にした。

[■]平成26年8月31日/雁の巣3番/開始9時
○N.ライオンズ 11-2 シャークス ●

SH i200 000 0i:2
NL i100 901 Xi:11

【勝利投手】岩井 8勝3敗1セーブ
◯岩井ー中津

【勝利打点】樋口3

【本塁打】 美澤1号(ソロ)・樋口1号(ソロ)・中津1号(ソロ)

【経過】
例年まれにみる夏の長雨もこの日は久しぶりのNL晴れ。
雨天の心配のない朝からの試合にNLナインも晴れやかな表情でぞくぞくと球場入り。
しかし、この8月の最終日に早朝9時からのNL花火大会が行われようとは誰も知る由もない。

この日も先発マウンドに上がるのは初老エース岩井。前回の不甲斐ない投球内容に己にムチ打ちこの日までに罰走を繰り返してきた岩井。
味の無くなったカスカスのスルメのようにシェイプしてきた岩井。気合いは十分だ。気合いは.......。

あれ?気合いは?やはりこの日も制球は定まらず初回2失点。課題の立ち上がりに捕まり先制点を奪われる。

主導権を簡単に渡してしまった展開を早くも脱したい中、先頭のNL若頭久保がセンターへの2ベース!
1死後に3番松永がショートへの深い当たりを内野安打とすると、続く美澤が選んで四球とし満塁。
5番樋口は初球ややボール気味の球を強引にスイングした打球はレフトへの大飛球。犠牲フライには十分の打球で1点を返す。

2回からは低めに集まりだし、本来の投球を取り戻してきた岩井はリズムに乗り出すが、相手投手をなかなか捕まえられない。
NL打線は1点が遠く主導権を取り戻せない。いち早く岩井に援護点を与えたいが走者さえ出せない展開が続き中盤戦へ。  

しかしこの嫌な雰囲気を一振りで打開出来る者こそが4番だ!
4回裏、先頭打者4番美澤のこの試合での1スイング目は誰もが確信した打った瞬間それとわかる今季1号ソロ!
打った本人も完璧と語る本塁打で同点に追いつくと興奮冷めやらぬ中、打席には“サガミの怪人”樋口。

豪快にスイングした打球は同点本塁打をトレースしたような弾道!ベンチの誰もがブったまげる2者連続の勝ち越しホームランだ!!!
シモミグランマ!ヒトミママン!すげーよ!おたくの息子すげーよ!

重苦しい展開を2振りで逆転するとベンチは大盛り上がりだ!しかし!
これだけでは終わらない。誰も予想だにしなかったシナリオが待ち受けていた。

1死になり、打席にはNLの“ザ・意外性” “やれば出来る子” “中津と言えばカレー” 数々の異名を持つ中津。
やる気の無さげなハーフスイングからの後、左中間を深々と破った打球は??あれ?まじか!!!

まさかまさかのNL史上初の1イニング3本目のホームラン!!すごいぞ中津!

そしてこのイニングはこれだけでは終わらない。3本の本塁打で大振りになりがちな中、続くMG深町が右前安打で出塁すると、岩井は四球。
岸本が追い込まれながらもしぶとくライト前で満塁。久保の押し出し四球の後には男前安井のタイムリー内野安打、松永の2打点となる
ショート強襲。樋口のこの日3打点目の犠牲フライ。そして、波に乗り切れてなかった高橋も左前タイムリーを放った。
この回は豪快な3発の花火が打ち上がったあとも打線が繋がり一挙9得点で試合を決めた。

[■]平成26年8月24日/駕与丁公園/開始14時
●N.ライオンズ 0-5 ブルーファルコンズ ◯

BF 230 000 0i:5
NL 000 000 0i:0

【敗戦投手】岩井 7勝4敗1セーブ
●岩井・久保ー中津・高橋

[■]平成26年7月27日/駕与丁公園/開始10時
○N.ライオンズ 2-0 メイズスクラッピー ●

MS 000 000i:0
NL i010 010i:2

【勝利投手】岩井 7勝3敗1セーブ
◯岩井ー中津

【勝利打点】なし

[■]平成26年7月13日/駕与丁公園/開始16時
○N.ライオンズ 5-3 マスタング ●

MT 200 000 1 : 3
NL l202 001 × : 5

【勝利投手】岩井 6勝3敗1セーブ
◯岩井ー中津

【勝利打点】安井 1

【経過】
前日からの大雨で開催が危ぶまれたが、奇跡的な天候の回復により、予定通りのリーグ戦。さすが、駕与丁公園!
と、思っていた矢先、チーム最年長、この日の先発投手を務める岩井は、「晴れ男の俺のおかげじゃね?ね?」
と周囲に吹いて回るも、軽く無視されるいつもの光景・・・いよいよ、ゲーム開始だ。

先発マウンドに上がった岩井は、いつものように立ち上がり、自信なさげな表情から立ち上がるも、やはり得点圏のピンチにさらされた。
「今日こそ大丈夫だ、頑張れ、俺!」
ひとり気合いを入れ直すも、まさにそんな気合いが空回り。ノーヒットで2点を献上し、鬼の形相で腕組みする指揮官の様子を横目でチラ見
しながら、自問自答、自責の念にかられる。
「何故なんだよ、俺。何故いつもこうなんだよ、俺・・・」
しかし、周囲は温かい。
「いつもの事だろ~気にすんな~」
「ゲームを面白くしてるだけだろ~」
「思い詰めたフリしてるだけだろ~」

そんな気を使わせない仲間がいるからこそ、最年長は頑張れる!よし、やってやるよ!!
気合いの勝負フンドシを締め直した岩井は、後続をピシャリと断ち、追加点を許さない。
いきなりのビハインドはNLナインにとって、もう慣れっこだ。そんな1回裏、早くも猛反撃に転じる。
この日は久保の欠場により、指揮官直々にトップバッターに指名されたのは、高橋。「お、俺ッスか!?」驚きを見せるも、嬉しさが込み上げ、あっという間にバッターボックスへ。前の試合では3打席連続死球。もしや・・気合いの打席も、まさか、まさかのデッドボールだ!
4打席連続死球で現代に蘇るNL伝説の死球王誕生の瞬間だ。
「バットいらねえだろ~」
「スパイクもいらんやろ~」

ベンチから温かい励ましの檄を受け、今度はキッチリと二盗を決めチャンスを演出。
続くバッターは最強の男前にして最強の2番打者としてチームを牽引する安井。口数が少ない時ほど要注意だ。狙いすまし、フルスイングした
当たりは度肝を抜くセンターオーバー、フェンスにダイレクトでぶち当たるタイムリーツーベース!
「あ、ちゃんとみんな、見てました??」
塁上でガッツポーズの安井。1点差に迫ってなお、ノーアウト二塁。
しかしここで期待の3、4番が倒れツーアウトとなるも、打席には樋口。ネクストに控える時から威圧感が凄い。素振りひとつで相手ベンチを恐怖のどん底に陥れるこの男、打席では初球からマン振り!打球は鈍い音を立て、ピンポン球のように跳びまくり、レフトポールの遥か上を通過して隣接する池ポチャショット!逆転ツーランか!?と思わせるも、僅かに左に逸れ特大のファウル。
物凄い当たりに球場全体がザワめく中、次に放った当たりは逆方向、ライト前だ!大技小技を絡めた“NLエルネスト”の一打で初回、早くも同点に追いついた。

味方の援護に気を良くした岩井は2回以降、まさにいつも通りのピッチングを披露していく。
指揮官がベンチ裏へと消えた瞬間を見計らい、若干遠慮気味なトルネードを見せるなど、まさにやりたい放題。
ザッツ・昭和・エンターテイメントショーの始まりだ。

勝ち越し点は3回だ。相手投手の変幻自在な投球術に、騙されないばかりか逆にしてやったりは曲者・岸本だ。
先頭打者で打席に入ると、粘りに粘ってフォアボールを選び出塁。トップに返って「死球はもういらんです」とばかりに高橋が送りバンドの構えからバスターを見せるもセンターフライ。1死となるも打席には安井。
ノリにノッている、ツイてるね~ノッてるね~とばかりに男前が放った打球は右中間を深々と破る特大の大飛球!一塁ランナーの岸本が老骨に
ムチ打ち、三塁で止まりたい、でも、止まれない・・激しいジレンマを抱えながらもホームまで大激走!
「誰か~酸素酸素!」そのままベンチ裏医務室に担ぎ込まれるほどの一大パフォーマンスで勝ち越し点を挙げた。
さらに続く松永は「送球がマジやばいです」と珍しく守備での再三の悪送球を取り返すべくサード強襲の内野安打で繋ぎ打席には4番を迎え入れる。
安打、打点どころか、「ホームラン見たいよな~」と脅しにも似た一発狙いを常に要求される美澤。しかし今年の美澤に気負いは全く感じられない。このチャンスにもしぶとく食らいつき、打球は広く空いた右中間へポトリ!見事なライト前タイムリーヒットでなおも追加点。
これぞ4番!というべき大仕事でリードを2点に広げた。

マウンドの岩井は2回から全く危なげないピッチング。初回の不甲斐なさから別人のように立ち直る辺り、やはりダテにバブル期を生き抜いて
きたわけではない。そんな岩井をバックも盛り立てる。

ショート安井は華麗なるグラブさばきで痛烈なゴロを難なく処理する。
「ただの真っ正面だろ~」周囲の激励にも顔色ひとつ変えず、クールに対応。
さらに、駕与丁公園野球場歴代No.1とも言えるファインプレーまで飛び出す。この日はセンターを守る高橋が、左中間、真っ二つに破りそうな
低い弾道を、最短距離で走り込み、最後はダイビングキャッチ!!
草野球あるまじき、お金を払ってでも見たいプレーの誕生に、両チームのベンチ、観衆一体となっての拍手喝采が響き渡った。
また、夏場を想定してベンチスタートとなったライト小田は、ベテランらしい守備に終始。結果的に間違いなくライト前ポテンヒットという
当たり、無駄に、無理せず、年齢を生かしたポジショニングで、全く打球を追う事なく処理。「今年の夏も暑いから・・・」という小田の省エネ打球処理法も飛び出し、ゲームは終盤戦にもつれ込む。

すると6回、2死から樋口が今度はあわや・・・という右中間へ超特大のツーベースで出塁。続く吉武がセカンド左への痛烈なゴロで繋ぎ得点圏へとチャンス拡大。さらに何が起きるかわからない府後の打席で、ドサクサに紛れたバッテリーエラーの間に貴重な追加点。
抜け目ないNL野球でいよいよ最終回。
「高橋のファインプレーの残像が脳裏に残ってる。いかん!俺の色に染めなきゃ」
と計算したのかしないのか、岩井は最終回、初回以来のピンチを演出する。
自らのドタバタ劇でピンチを招くと、一打同点の場面。「どう?見せ場、できてる?」といやらしい計算を弾いた上で結果的に後続を打ち取る、迷惑極まりない投球内容で勝利をもたらした。

平成26年6月29日/柏原中央/開始15時
○N.ライオンズ 3-1 ブルドッグス

NL 101 010 : 3
ll010 000 : 1

【勝利投手】岩井 5勝3敗1セーブ
○岩井ー高橋

【勝利打点】松永 1

【本塁打】 松永1号(ソロ)

【経過】
前戦は雨で流し、週末も雨予報。
しかし、日に日に予報が回復していき当日は晴れ。日頃の行いか?もしくは一部選手の神事と禊ぎの結果か。
その禊ぎを終えた岩井。相模湾での全裸で深海魚漁で何かを掴んだのか、早々と球場入りをして登板に向けてのアップに余念がない。

本人いわく、前回登板での大炎上は何が原因なのかが分かったらしい。
メンバーにはジェスチャーを交え、同じ事を何度も繰り返し力説するが、何を言っているのか全くわからない。
とりあえず『なるほどねぇ~』『すごいねぇ~』と傷つかない程度に心無い返事で対応。
もはや『おじいちゃん、御飯はさっき食べたでしょ』状態。
この感じ、この空気。調子がイイ。調子がイイぞ岩井。

試合は初回NLの攻撃。
一死から2番翔平が持ち前の選球眼で出塁すると、続く松永の鋭い打球はレフト前へ。
4番美澤は貫禄十分の四球を選ぶと満塁となり先制のチャンス。
二死となって打席には高橋。前回の試合で長打コースの打球を“えぇカッコ”して眺めてシングル打にした凡ミスを取り返したい場面。
「自分のミスは身体で返します」とばかりに押し出しデッドボール。幸先よく先制点を挙げた。

先発の自然体・岩井の課題の立ち上がり。この日は始めから低め低めを意識した“取りにいかない”ピッチングで無難に0に抑える。
これも禊ぎの成果なのか。

2回裏に相手好打者に攻められ3塁に走者を進められた後、鋭い打球がセンターへ。
しかし素早く落下点に追いついた翔平の、鉄砲肩翔平の、もうすぐお父さんバックホーム!カットに入った松永の、どストライク返球が高橋へ。クロスプレー土ぼこり立ちこめる中、判定はセーフ。同点に追いつかれる。

何とか突き放したいNLは3回表。
先頭の久保が四球で出塁すると、すかさず盗塁。しかし間一髪アウトとなってしまい後続も倒れ二死走者無し。なかなかリズムに乗れない中、
悪い流れを断ち切ったのは寡黙なクールガイ松永だ!鋭く振り抜いた打球は誰もがレフトフェンス直撃と思ったに違いない。
その放たれた打球は失速する事なくグングン延びて、弾丸ライナーでレフトフェンスを越える今季1号ホームラン!
度肝を抜く当たりで勝ち越しに成功した!

勝ち越した後も先発岩井は力む事無く低めを意識したピッチングで0を重ねていく。
岩井に更なる援護点を挙げたいNL打線は5回。二死2塁とすると、打席には美澤。さすがは4番という大きな放物線を描いた打球は
レフトフェンスを直撃するタイムリーとなり試合を決めた。

投げては奪三振は3つと少ないながらも丁寧な投球で復活の兆しが見えた岩井。打っては本塁打を含む猛打賞の松永。
当たっては全打席3死球の高橋。せっかくバットを買ったのに高橋。
投打のかみ合ったNLがレギュラーシーズン終盤に向けて弾みのつく勝利となった。

平成26年6月8日/駕与丁公園/開始16時

MR 0 0 iii0 0 6 0 2 :8
NL i0 10 1 2 1 9 x :23

【勝利投手】美澤 1勝0敗
○美澤ー中津

【勝利打点】中津 1


【経過】
前節にリーグの新鋭に大敗を喫したNL。
敗戦後に球団事務所を訪れた選手会長の吉武は全責任を背負い、しばらくの休養を申し入れたが、慰留され態度を保留。
「自分が一度引くことにより、チームによい風が吹けば」と言い残し、心身共に清める為に神事に参加。この日は欠場となった。

一方、大炎上したNLのリアル爺。悲傷憔悴したエース岩井は原点回帰するために登録を抹消。
「やることはわかっている。魔力を溜めて最短で戻ってくる」
故郷の相模湾で全裸で禊の深海魚漁に出たきり行方が分からなくなりローテーションを一度飛ばし、連絡を待たざるをえない状況となってしまった。

そしてこの日。緊急登板したのは泣く子も更に泣く元祖NLエース美澤。
初回。制球力抜群の美澤は2三振を奪う投球で難なく三者凡退。
すると、好投に応えようとこの日2番に抜擢された府後。“日本拳法茶帯”が放った打球はあわや第1号かと思わせる特大のツーベース!
後続が倒れ、初回は無得点も爆発の予兆の一打となった。

そして圧巻の2回の攻撃だ。
1死から6番高橋。おニューの3万円バットで力強いスイングから放った一撃はベンチの誰もが“いったぁ〜〜”と思った当たり。
惜しくもフェンス上部直撃のツーベース!!ツーベース?!ツーベース??オオオオオ〜〜〜イ!!!!!
会心の当たりにホレボレするあまり、え〜カッコして打球を見守る高橋。
走る事を怠った高橋、。シングルヒットの高橋。罰金3万円の高橋。

その後、2者出塁で満塁。岸本の内野ゴロの間に先制すると、NL核弾頭久保の左中間突破のツーベースで2点を追加。
更に4番美澤のあわやバックスクリーンに飛び込もうかの当たりのツーベース、続く樋口もセンターへのツーベース、中津のタイムリーなど、
走者を置いては長打のオンパレードでこの回一挙10得点の猛攻を見せた。

守りでも先発美澤も抜群の投球だ。
この日、新球チェンジアップが随所に効果的に決まり、4回を終えてアウト12個のうち10個が三振の圧巻のピッチング。
しかし相手もやられてばかりはいられない。わずかに制球が乱れた所に付け込まれ、長短打で6点を奪われる。

先発美澤を援護したい打線は6回。先頭の久保がセンターへツーベースを放つと後続が続き満塁。
やれば出来る子中津が走者一掃のスリーベース、松永の猛打賞などで大量9得点。
前回の大敗から鬱憤を晴らす大勝。熱い夏に向けて熱いNL野球を予感させる試合となった。

平成26年5月18日/雁ノ巣1/開始13時

○INODEN 12-2 N.ライオンズ ●

NL 000 110 : 2
ID t002 181 : 12

【敗戦投手】岩井 4勝3敗1セーブ
●岩井・美澤ー高橋

【経過】
リーグ前半最大の山場を迎えた。
相手は今季初参入ながら、リーグ戦首位を疾走する強豪。
最年長エース・岩井は平常心を装いながらも、どこか意識している。年甲斐もなく・・・
ゲームは2回まで両チーム無得点。重苦しい展開となるも、3回に2点を先制されてから動いていく。
4回、安井のレフトオーバータイムリーツーベースで1点を返すも、その裏1点を追加され再び2点差。
さらに5回、1点を返し再び1点差に詰め寄る。
ベンチでは調子の上がらない先発岩井を諦め、継投策に入ろうとするが岩井が志願の続投。
その裏もピッチングを立て直す事が出来ず大炎上。8点を加えられ、万事休す。
夏場へ向け反撃態勢を整え、今後のリーグ戦を戦っていきたい。

平成26年5月11日/雁ノ巣7/開始13時
○N.ライオンズ 11-4 チームH
NL 10 00 10 : 11
TH 2
001 10 : 4
【勝利投手】岩井 4勝2敗1セーブ
◯岩井ー翔平

【勝利打点】樋口 2

平成26年5月11日/雁ノ巣9/開始17時
NL 230 035 :13
AR 000 210 : 3
【勝利投手】 久保1勝0敗0セーブ
◯久保・安井・岩井ー中津・高橋

【勝利打点】 小田 1

【経過】
前回“天王山”を劇的な逆転サヨナラゲームで制したNLは、調子に乗った状態のまま、ダブルヘッダーに臨んだ。
開幕から低空飛行を続けていた打線が、一気に爆発して本来の姿を取り戻すのか、それとも無謀な一日2試合に終わってしまうのか、
全てはこの日の戦いにかかっていた。

第1試合 NLーTH

相手はNL旗揚げからの宿命のライバル、チームH。これまで数多くの激闘を繰り広げてきただけに、決して侮る事はできない。むしろ、開幕戦で
星を落としたPeeps同様、手の内を知り尽くした相手だけに、ある意味最もやりにくい戦いになる。
そんな空気を察知した指揮官は、先発オーダーを大幅に入れ替えて、目先を変えさせる作戦に出た。

先頭の久保が難なく出塁を果たすと、ここで2番に入ったMG深町が魅せる。「野球人生の全てをかけて、生き様を見せる!」と宣言して打席に
入ると、気合い十分の“何でもない”ピッチャーゴロ。
その間にランナーはキッチリとスコアリングポジションに進んだ。まさに、記録に残らなければ記憶にも残らない、シンプルな進塁打だ。
しかし、これがMG深町の真骨頂だ!「後は任せた」頼れる同級生に託したMG深町は、静かにバットを置いてベンチへと戻る。
ここで打撃職人が何も魅せないわけにはいかない。松永は難なくレフト前に打球を運ぶ。早速の先制タイムリーだ。やはり役者が違う。
目の前で見せつけられた美澤も燃えないわけにはいかない。しかし、今年の美澤は一味違う。1打席だけで勝負するほど、心の焦りはない。
ここはどっしり構えて四球を選ぶ、余裕の佇まいだ。ここでチャンスには滅法強い、翔平が続く。投球に狙いを定めて・・まさかのデッドボール
だが、塁が埋まり満塁。俺が俺が、でなくても良い。今や打線のどこを取っても切れ目がない、それがまさにNL金太郎飴打線だ。

ここで迎えるは安井。まだここにこんな大物が控えていたのか。相手にとってはまさに脅威でしかない。安井もそんな心理状態をうまく利用して、キッチリと押し出しの四球を選んだ。チームの事を考えつつ、しっかりと打点を稼ぐ、まさに脅威でしかないスラッガーだ。
ここらで一息つきたい・・しかし、NL打線はそうはいかない。こんな場面で“茶髪のツーブロックビッグユニット”府後が打席に入る。
しかし気負い過ぎたか、ここは茶髪を振り乱しながらも三振に倒れる。2死となるも、まだまだスター軍団の顔ぶれは終わらない。
もはや、柵のない柵越えしか狙っちゃいない、獰猛な野獣にしか見えない高橋が痛烈に引っ張った。打球は見事なバックスピンで放物線を描いた。「グランドスラムか~!?」レフトの遥か頭上を越えるも、暫定気味なエンタイトルツーベースは2点タイムリーとなった。

もうそろそろ下位打線のはずだ。しかし、NLに上位も下位も関係ない。こんな所で打席に入ったのが樋口。もはやこれは地獄絵図か。
樋口の当たりはでっかく左中間へ。これまた深い当たりだ。打球が外野を転々とする間に2者が返る。一体いつ終わるんだ~この回!
と叫んでいる間にも次打者の吉武が引っ張ったような痛烈なライナーでレフトへの流し打ち。外野手の頭上を越えるタイムリーツーベースだ。
さらに打席には中津。「そんなに気負ってませんよ」といったスイングから放たれた打球は、左中間を破るタイムリーツーベースに。
まさに長打のオンパレードだ。
続く小田は堅実にゴロを打つも、打球が痛烈だ。ショートのグラブを弾く間に俊足を生かして一塁を駆け抜ける。
こうなると、調子に乗りたがる最年長のバットにも期待がかかる。岩井が放った打球はレフト前に弾む2点タイムリー。
「よ~しみんな、よく走った~!」一塁ベース上では、稼いだ打点にニヤリと笑みを浮かべながらベンチに向かいドヤ顔の最年長に対し、
誰もが軽く無視を決め込んでみせた。

まだまだやめられない止まらないのがNL打線だ。相手としてはここでひと息つきたい場面で、またも厄介な男を迎える。策士・岸本だ。
「俺も大人だし、今後の運営を考えると、そろそろこの回を終わらせた方がいいんちゃうか」
天使すぎる心が一瞬、脳裏をよぎるも、打席に入るとベテランの腹黒さが顔を出し、放った打球はレフト、センター、ショートが懸命に追いかけても届かない、魔の三角地帯にポトリ・・・見事なレフト前安打でNL怒濤の7連打を決めてみせた。
ここでNLイチのナイスガイ、久保が「もういいかなと思いまして」あたっさり凡打し、この回の攻撃がようやく終了。

完全に白旗を挙げた相手に対し、傷口に塩を塗り込むかのような容赦ない攻撃を見せたNLは、初回8安打を集中させ合計10得点。
結局、4回に松永が犠牲フライを放ち追加点を奪ったのみ、この初回だけで勝負を決めてしまった。
先発の岩井はベテランらしく、点差を考えた投球に終始。適度に失点しつつも打線の援護に支えられ今季4勝目を挙げた。
しかし、投球内容に納得がいかないストイックな最年長は、ダブルヘッダー2試合目までのインターバルを利用し、約2時間のランニングを敢行。他のメンバーが一般客に混じってアイスクリームを食いながら羽根を伸ばしている横を疾走しつつも、2試合目に備えていく。

第2試合 NLーAR

完全に体が冷え切った状態で、果たしてどう戦っていくのか・・注目されたが、ここは多くのタレントを擁するNL軍団、まさに一筋縄では
いかない連中だ。またしても初回から猛打を仕掛けていく。

これまで巧みな投球術で幾度も苦渋を味わせてきた相手投手にしても、この日のNL打線を止める事はできない。
初回、簡単に2死を奪われ、静かな立ち上がりかと思われたものの、ここからNL打線が繋がりを見せる。
松永が打撃の神様の如く、「こうやって、打ちなさい」と言わんばかりの究極の流し打ち。ライト線にキレイにおっつけた当たりはツーベース
となった。
この当たりに度肝を抜かれた相手守備の乱れを誘い、続く美澤のショートゴロは痛烈すぎてのファンブル。タイムリーエラーとなり早くも先制すると、今度は樋口の体格に度肝を抜かれた相手守備が連続タイムリーエラー。この回、難なく2点を奪った。
続く2回、下位とは思えぬ“折り返し”打順でキッチリと追加点だ。

先頭は、まさにイニングの先頭打者になるように仕組まれたかのような久保が打席へ。いつものように核弾頭は痛烈な打球をレフトへ。
完全にレフトの頭上を越えるツーベースで出塁すると、1死から府後がセンター前タイムリー。第1試合でノーヒット、1人蚊帳の外だった男が
リベンジの殊勲打を放つと、2死から好調なベテラン小田がレフト前タイムリー。さらに岸本がまたしても策士らしい、イヤ~なバウンドの打球でエラーを誘い、この回3点を追加。完全に試合の主導権を握った。

先発マウンドには久保。いつものようにテンポの良い投球術で味方打線の援護を引き出し、相手打線を完璧に封じ込める。
3回を終わってノーヒットピッチング。“期待”を込めて続投を指示するも、右肘痛の中で2点を奪われ、3点差まで詰め寄られる。
ここで無理をせず降板だ。ゲームの流れを左右する大事な場面、ここでマウンドに上がるのは俺しかいない!とダグアウト裏から駆け足でベンチを出ようとする孤独な最年長・岩井。
「あれ~???」
しかし、すでにマウンドでは“守護神”安井が投球練習中だ。捕手とのサインの打ち合わせも終わり、ゲーム再開。
「いや~俺じゃないとこの場面、抑えられないよ、きっと~」
ベンチでは最年長の負け惜しみが寂しく響き渡るも、マウンドの安井はリリーバーとしてのプライドを見せつけ、この回ピシャリと火消しに成功。「どう?」と言わんばかりに最年長をチラ見しながらベンチへと戻って行った。

点差を詰められ、ゲームの行方がわからなくなってきたものの、この安井のピッチングが打線に再び火を点けた。
5回、中津の四球を足がかりに1死二、三塁。相手にとっては一番迎えたくない男を迎えた。岸本だ!
全てを計測したかのように放った打球は、ライト、セカンド、ファーストの魔の三角地帯にポトリと落とした。満塁だ。
ここでこれまでの2打席、全てファーストフライに打ち取られている翔平。今度こそ・・リベンジを誓う翔平に対し、ベンチから悪魔の囁き
「もう一回、ファーストに打ったら面白いぞ」が響き渡ったその瞬間、まさか、おいおい、まさかのファーストフライ・・・。
愕然とベンチに戻る翔平。2死満塁。まさかの無得点か、と思われた直後、「もしかして、この試合、俺のひとり舞台??」と言わんばかりに、
安井がレフト男前2点タイムリー!
投打に光る安井の活躍で貴重な追加点を挙げると、さらに気落ちした相手エラーの間に得点し、リードを6点に広げた。
さらに6回、久保のライト前タイムリー、吉武のセンター前タイムリー、中津のレフト前タイムリー、小田のレフト前タイムリーなどで5点を加え突き放すと、7回には樋口のライト前タイムリーや相手エラーなどのドサクサに紛れて5点を追加し、大勝した。

平成26年4月27日/名島運動公園/開始13時
○N.ライオンズ 5×-4 早良区LOVE●

SL;;022 000 0 ;;;: 4
NL 000 011 3× :: 5

勝・岩井 3勝2敗1セーブ
○岩井ー翔平・高橋

打・美澤2

【経過】
前回のゲームから40日以上が経過。その間2度の雨天中止が含まれ、メンバーに「野球がやりたい!」感が充満。この日はそんな気持ちが形となって現れ、NL史上初のベンチ入り14名態勢で臨む事になった。
但し、理由はそれだけではない。この日の対戦相手は、昨年のパブリック・リーグで優勝を争った、早良区LOVE。
試合2日前には球団ミーティングルームにて選手大多数参加。MG深町による『オレ、上手なった』バッティング理論を映像を交えての
緊急ミーティング。
誰もがこの日に懸けて調整していた事だけは確かだ。
指揮官は全員の名をスタメンに連ね、相手の度肝を抜く14人攻撃を決意。その14枚のカード一枚一枚が、最終的にゲームの行方を左右する事になろうとは、この時点では誰も想像もしていない。

ゲームは初回、昨年度最優秀バッテリー賞を獲得した岩井-翔平のコンビが期待通りの立ち上がりを見せていく。息が合っているのかいないのか、およそ第三者には判断がつかないような絶妙な間合いで相手はおろか、自軍ベンチまでかく乱するバッテリーは、無失点で切り抜ける。
緊張からいつものポジショニングではない野手陣のまずい守備にも動揺せず、岩井はベテランらしく、冷静なオッサン的ピッチングを披露した。
その裏、打席には昨年の優勝を演出した打線の導火線的トップバッター、久保が打席へ。しかし、相手マウンドには、昨年の優勝決定戦での
リリーバーが先発。初物にも近い軌道の読めないキレキレ投球に、久保が簡単に打ち取られてしまう。続く好調な安井、打撃職人の松永まで、
これまで見た事のない球筋に翻弄され三者凡退。
ゲームは頂上決戦らしく、静かな立ち上がりを見せていく。

2回、早くもゲームが動いていく。この回も、ゲーム間隔が空き微妙に調子を崩した野手陣のまずい守備で相手にチャンスを与え、ここぞという場面でタイムリーを浴びる。
さらに三塁線、微妙な当たりを抜かれて2点目を失うと、一気に大量得点を奪われる危機を迎える。だがここは長寿の功、岩井が経験に物を
言わせるピッチングで後続を断ち、何とか2点差で踏ん張りを見せる。
その裏、帰ってきたウルトラ4番バッター、美澤が痛烈なレフト前ヒットでチーム初安打を飾る。追撃の狼煙を高々と挙げると、続く樋口。
前日に鋼鉄製のフランスパンをかじる荒行で犬歯が折れたままの出場も“ぶぉぉぉん!ぶぉぉぉん!!”という物凄いスイング音と砂嵐を
巻き起こして素振りを繰り返し気合い十分で打席に向かうと、狙いすました一打は、ボールが割れるかというほど痛烈なレフト前ヒットで
チャンス拡大。しかし相手投手の出来も素晴らしい。この後に控える強力打線が力でねじ伏せられ、この回も無得点に抑えられる。

3回、綻びを見せる守備の乱れは収まらず、決定的な2点を追加されてしまう。この大一番、ミスをした方が負けると踏んだ指揮官は、ここで早くも動いていく。先発マスクを被った翔平がアクシテントで腰の張りを訴え、パフォーマンスが上がらないと見るや、ファーストに就いていた高橋を4回からキャッチャーに起用。これまで起用された全イニングで無失点を続ける高橋の守備力に賭け、ファーストにはベテランらしく安定した吉武を起用する。とにかく失い続ける流れを変えたい・・指揮官の思いは、この起用で徐々に結実していく。
4、5回を無失点、しかもあれだけ荒れていた守備陣が、いつもの鉄壁な守備陣へと変貌していく。これこそがNL野球の神髄だ!

すると終盤に差し掛かる5回、先頭の松永が制球力抜群の相手投手を上回る選球眼で四球をもぎ取る。これぞ松永イズムだ!
そして今や手がつけられない好調な打撃を見せる4番が打席へ。昨年のスランプを考えると、まるで雲泥の差だ。いや、しかしそれは4番として当然の仕事だ!と言わんばかりのバッティングで、
ここは相手投手の球威を持ってしてもこの場面を抑える事ができなかったと言えよう。美澤が放った打球は左中間を深々と破る特大のタイムリーツーベース!遂に1点を返して追撃だ。
ところが相手投手も一筋縄にはいかない。ピシャッと後続が打ち取られ、なかなか付け入る隙がない。
しかし、流れを呼び込む守備力の復活は大きい。岩井は冷静に打たせて取るピッチングに切り替え、内外野へ満遍なく打球が行き渡る投球で抑えていき、以降、得点を許さない。序盤の失点で得たデータを巧みに生かした高橋のリードも冴え渡り、ゲームはいよいよ終盤にもつれ込む。

6回、NLは下位打線が奮起した事で、ゲームは意外な方向へと繋がりを見せ始める。
1死から意外性の男・中津が予定調和を嫌うレフト前ヒットを放つ。慌てた相手守備の乱れを突き、思わぬ形で得点圏に進んだ。
ここから計算外のストーリーが動き始める。
続く小田はベテランらしく配球を読み切ったスイングで痛烈にレフト前へ運んだ。久々の連打で、中津が激走を見せ一気に本塁を陥れた。
2点差に迫るタイムリーだ!そして警戒される中で決めた小田の盗塁も間一髪セーフ。この気迫が遂にNLベンチを目覚めさせる事になる。
この回も1点に切り抜けられるも、下位打線の奮起が最終回、上位打線への繋がりとなって相手に襲いかかっていく。

そして迎えた運命の7回最後の攻撃、2点差を追いかけるには先頭打者の出塁が絶対条件だ。しかし、こんな所で一番何かしでかしそうな男、
NL唯一のサヨナラ劇の立役者、キャプテン岸本が打席に入る。何か起きるはず・・・
しかし相手投手の投球は最後までキレがある。鋭い変化球に岸本のバットが空を切るも、投球は難しいバウンドとなってバックネット方向へと転々・・・やはり、何か起きた!!
三振するもタダでは終わらない男が、「野球人生初、勝負手として狙ってできたよ」という振り逃げで一塁に生きる。ベンチはこの日一番の盛り上がりを見せる。

続くラストバッターの上田は叩きつけてのピッチャーゴロ。1死を奪われるも走者を二塁へと進める。この攻撃でいよいよ打順はトップへと繋がっていった。
ここでこの日、2打席凡退していた久保がバッターボックスへ。リーグを代表する核弾頭は、こんな時の集中力がハンパではない。
鋭い眼差しから狙いをすました一撃は左中間への大飛球!レフトが懸命に追うも、打球はその頭上を勢いよく越えるタイムリーツーベース。
二走・岸本が生還し遂に1点差へと迫った!
湧き上がるNLベンチ。1点ビハインドながら、流れは完全に来た!

ここで同点、いや逆転サヨナラの劇弾を密かに狙い打席に向かうNLイチの男前・安井。やはりこの男のために、このシナリオは用意されていた
のか!
ここで安井の集中力を乱すかのように、ベンチから悪魔の囁きが響き渡る。「力んでいけ~」「一発以外いらんぞ~」
狙いすました安井の一撃は、芯を僅かに外したファーストファウルフライ・・・潔く小走りにベンチへと戻り、いつもよりやや真剣に戦況を見守る安井。敵は相手だけではなかったのだ・・・。
ツーアウト二塁。いよいよ追い込まれたかに見えたNLベンチ。しかし、この日奮闘した14人総攻撃打線が、最後の最後で、これ以上ない絶好の打順を迎えた。3番、リーグ屈指のバットコントロールを誇る、天才松永だ。
右へ左へ自由自在にヒットを量産してきた頼れる男は、この緊迫した場面でもやる事はひとつ。野手のいない所へ鋭い当たりを放つ、
ただそれだけ、されどそれだけだ!
快音を残した打球は三遊間を破るレフト前!だが、当たりが良すぎて本塁突入は厳しい。しかし、これまでのNLベンチ“悪魔の囁き”なら「GO!」を指示するはず・・・そして大暴走の末、本塁憤死・・・まさかのゲームセット・・・悪夢が脳裏をよぎるも、この日は違う。
なぜなら、三塁コーチャーにはベテランの小田がいたからだ!
二走・久保が三塁ベースを蹴ろうとするも、まさに身を挺してのオーバーゼスチャーでストップ!小田の値千金“ドラゴン・ストップ”で二者を
残して、打席にはゆっくりとした足取り、どっぷりとしたお腹で向かうは、NL史上最強の4番・美澤。こんな痺れる場面で登場するとは、これぞまさにパブリックのレジェンドの真骨頂だ!
もうすでにベンチはお祭り騒ぎだ。しかし待て。二走者を残しているとはいえ、まだ1点負けている。しかも2死だ。美澤にかかるプレッシャーは限りなく、デカい。ここまで2安打しているとはいえ、3安打目のおかわりはあるのか!?
ネクストの樋口は冷静さを装いながらも、この緊張感からくるプレッシャーに押しつぶされそうになっていた。だが、打席の美澤は違った!
一世一代の大勝負。この日、左へ中へと打ち分けた最終打席は右中間へ。ライトが懸命に追う。あぁ、追いつかれるのか・・・が、しかし、
打球は美澤のパワーで最後にグ~ンとひと伸びし、ライトの頭上を越えていった~!!!
まずは三走・久保がホームインし同点、そして盗塁を決めていた二走・松永も激走の末、歓喜のスライディングでホームイン!!
劇的な最終回逆転サヨナラだ!!!!
ベンチを飛び出したNLナインが、ホームインした松永と、殊勲打の美澤めがけて一斉に駆け寄る。ハイタッチはおろか、殴る蹴るの荒い祝福の
嵐だ。序盤の死に体から、まさか、まさかの逆転劇に指揮官は、「これでようやく乗っていけそうな気がする」と控え目に語った。
NL史上2度目のサヨナラ勝利。最後に底力を発揮したチームは、これでようやく本当の意味での“開幕”を飾り、勝負の季節を迎える事になる。

平成26年3月16日/舞鶴公園/開始13時
○N.ライオンズ 6-5 メイズスクラッピー●

NL :400 020 0 : 6
MS 001 001 3 : 5

【勝利投手】岩井 2勝2敗1セーブ
【 セ ー ブ 】岩井 2勝2敗1セーブ
○岩井・美澤・岩井ー中津

打・美澤1

本・久保1号(ソロ)

【経過】
開幕から一ヶ月を過ぎても、いまだ波に乗り切れず、本来のNL野球を実践するには到っていない。
鉄壁のディフェンス陣はまだしも、自慢の強力打線が影を潜め、今季“初安打”を記録していない者が半数を占める苦しい状況だ。
本来の姿を早く蘇えらせたい・・首脳陣は祈りにも似た気持ちで打線組み替えに着手。やはりトップには久保を据え固め、2番に中津を起用。
これまで超攻撃型2番打者として信頼を受けてきた安井をこの日は欠場する樋口の代役として5番に抜擢。昨年まで成功してきた打線の流れに
敢えてメスを入れ、采配批判を覚悟の一大決意でこのゲームに臨んだ。
この日の球場は、ライオンズのお膝元、平和台跡地に程近い舞鶴公園。伝説の舞台でNL“野武士”野球の完全復活に期待したい。

ゲームは初回、組み替えた打線がいきなり答えを出した。先頭の久保は好調だ。あらゆるコースや球種、全てに対応していく。
ピンポイントで捕らえるとあわや柵越えかと思わせる大ファウルで度肝を抜いた末、死球を受け出塁。続いてこの日、指揮官の緻密なデータに
裏打ちされた閃きによって2番に抜擢されたYESマン中津。淡々と仕事をこなす職人が、眈々と狙いを定めて放った打球は、広く空いたレフトとショートの間に落ちるレフト前ヒット。繋がった!無死1、2塁でクリーンアップへ、願ってもない先制点のチャンスだ。

ここで松永は基本に忠実にセンター返し。ピッチャーにうまくさばかれてしまうが、その間にランナーは2、3塁へ進塁。流れを切らさない。
ここまでは、今季これまでの展開だ。この先突破口を開けるのか否か、NLの命運を握る4番美澤の登場だ。
気合いを入れ直して、狙うはレフトスタンド一閃!とばかりに痛烈に引っ張り振り抜いた打球は、これまた痛烈な打球となって逆方向のライト前へ転がる先制タイムリー。打った瞬間、誰もがレフト方向を見上げるも打球を見失った・・かと思いきや、しっかりと右へ持っていく辺りは、
さすが不動の4番。この日のキーマンとして、ゲームを最後まで支配する事になろうとは、この時点ではまだ誰も予想もしていない。
主砲の一打で活気づくNLベンチ。ここで流れを切りたくはない。
そんな場面でNLイチ頼りになる男の登場だ。打順組み替え効果がここまで順調に来ている。そしてこの日最大のメスを入れた部分、安井が意気に感じて打席に入ると、相手先発投手の速球に振り負ける事なく得意の男前方向へ。打球はライト男前で弾み、見事、期待に応えた一打でチャンス拡大だ。安井はすかさず盗塁も決め、1死2、3塁、まだまだ流れを切らさない。

ここで打席にはベテラン吉武。この日は小田の欠場に伴い、老骨にムチ打ち気合いのレフトでのスタメン出場だ。
しかし、相手投手の速球に差し込まれ早くも2ストライクに追い込まれた。“打席内で迷いが感じられる・・”これまで25年に渡って見てきた
スイングではない・・指揮官がベンチを飛び出し、自ら怒声ばりの絶妙なアドバイスだ。「当てに行くなー!振り切れ!」次の瞬間、
打球は痛烈なライナーでセカンドの頭上を越え、右中間を真っ二つ。あっ、という間にフェンスまで達し、2人のランナーが生還!
見事なタイムリー“ツーベース”か・・と思いきや、打者走者の吉武はセカンドベース手前で悠々タッチアウト。
「年々、相手守備の返球のレベルが上がってきてるよね」と言い張り、自らの足の衰えを頑なに否定するタイムリー“単打”で点差を4点、
チームはようやく今季最多得点を更新した。

さらに次の府後までライト前ヒットで続き、初回4連打を含む5安打で4点を奪った。防御率1点台のエース・岩井なら・・早くも勝利への黒い計算が弾かれていく。
先発の岩井は久々の援護点にも浮かれる事なく、ベテランらしく心の奥底ではしゃぎながらもマウンドへ。得意の直球、変化球が次々と決まり、ベンチから睨みを利かせる指揮官の視線が僅かに外れた隙を狙って「ドヤァ!」顔&ポーズを決めるなど、抜かりはない。
立ち上がりから2回を無失点に抑えていく。

2回、今度は先頭の岸本がセンター前へのクリーンヒットを放つ。眠れる獅子が次々と覚醒して、そろそろベンチ内に安堵感が漂い始める。
初回に爆発したNL打線ではあったが2回以降、立ち直った相手投手の前に淡泊な攻撃となっていく。
その間に強力相手打線の反撃にジワジワと流れを奪われ3回、岩井はレフトスタンドへ特大の一発を浴びてしまう。
点差以上に、なんだか追い込まれた感が漂い始めてくる。

ここでチームを鼓舞したのは好調な久保のバットだ。一発には一発で・・力強いスイングから放たれた打球は、希代のアーチストを彷彿とさせるかのような放物線を描きながらレフトスタンドに突き刺さる、今季第1号ソロホームラン!「ゲームの流れを考えると、効果的な一発でした」
という久保の冷静な優等生発言でまたも点差は再び4点に。
さらに勢いづいた打線は、松永も完全にお目覚めとなる右中間突破ツーベースで出塁すると、ここで4番の美澤。
この日何かと大暴れを見せる美澤の一打は痛烈な打球。これをサードが弾き、慌てたショートがバックアップするも一塁悪送球となるタイムリーエラーを誘い、さらに貴重な追加点を奪った。

6回に1点を失うも最終回を迎えて6-2。NL必勝パターンの逃げ切り態勢が整ったところでピッチャー交代。
最終回は“ここぞ!”の守護神、パブリックのレジェンド、美澤が登板だ。
先発の岩井は“ザッツ・オールドタイマー”と呼べる投球内容で6回2失点。ゲームを作り勝ち投手の権利を持って、ベンチへ堂々の凱旋だ。
ひとっ風呂浴びたかのようにベンチへどっぷり浸かり「お~いみんな~しっかり守れよ~」。あとは得意の“ヤジ将軍”モードに突入だ。

ところが、だ。美澤の調子がおかしい。何か悪い物でも拾い食いしたか・・
まさかの四球、リズムの悪さから招く失策、さらにライト前タイムリーヒットを浴びてあっという間に失点してしまった。まだ、1アウトも
取れない・・ここで浮き足立つ美澤を救ったのは、セカンドで中継に入った安井だ。バックホームと見せかけてそのままボールをキープしたまま二塁ベース方向へ猛ダッシュ!飛び出した一塁ランナーを挟みタッチアウト。好判断だ!ハンサムだ!!

この流れで美澤も立ち直るだろうと思ったのも束の間、ひとり炎上したままさらに2点を失い遂に1点差。なおも1アウトのまま同点のランナーを二塁に置いて、まさか、まさかの逆転サヨナラ負けの匂いがプンプン漂ってきた。大盛り上がりの相手ベンチ。流れは完全に失ってしまった。

と、ここで老骨にムチ打ちセンターに入っていた指揮官・岸本が、「交代~!!」と叫びながらマウンド方向へ。
まさか・・この不穏な流れを打破する為の奇策として、NL氷河期以来のピッチャー岸本登板か!?
誰もが固唾を飲んだ次の瞬間、指揮官が指名したのはセットアッパー・久保ではなく、そろそろ就寝時間かと思わせるほどのまったり感を醸し
出しベンチに腰掛けていた、岩井だ!
「え?俺??」一瞬その光景に老眼の目を疑った岩井だったが、すぐさま再び戦闘モードに切り替え、足早にマウンドへ。「うちの若い奴の不始末は、この俺がつけてやる!」とばかりに常識を超えた、まさかの再登板だ。指揮官はそのままベンチへと下がり戦術を練り直す。サードの久保がセンターへ、降板した美澤はサードへと入った。ゲーム再開だ!

ここで岩井はエンジンがかかり始める前に痛烈なセンター返しを浴びるも、老骨砕け散れ!とばかりに体を張って打球を止め、ピッチャーゴロに仕留める超ファインプレー!見事な同点阻止だ!!
2アウトとなるもランナーは三塁。一打、いや、失策が絡んでも同点に追いつかれる大ピンチだ。
しかし冷静な岩井。今度は「この不始末は、お前が処理しろ!」とばかりに三塁手・美澤へのサードゴロに打ち取る。この打球を丁寧に処理した美澤が一塁に送球し、ゲームセット。何とか逃げ切った!
順当な勝ちパターンが一転、まさかの薄氷の勝利で、今季2勝目をマークした。
NL史上初の1試合で勝利投手とセーブを決めた岩井は、後頭部が地面に着きそうなほど、のけ反りながら「いや~美澤君、俺は当たり前の事をしたまでだから、何もいらないよ」と、いつもの【岩井<美澤】という精神的な方程式を覆し、【岩井>美澤】を醸し出しながら余韻に浸り、
球場を後にした。

平成26年3月9日/駕与丁公園/開始14時
○ラスターズ 1-0 N.ライオンズ●

RS 000 010 0 : 1
NL 000 000 0 : 0

敗・岩井 1勝2敗0セーブ
久保・●岩井・美澤ー高橋・翔平

【経過】
丁度1ヶ月前の今季開幕戦及びリーグ初戦を落としたNL。
不穏なスタートを余儀なくされたものの次戦を白星で飾り、ようやく立て直しを図ったばかりだ。
この日は不慮のアクシデントによりリーグ戦を流し、練習試合を敢行。今後の追撃態勢を整える為にも、中途半端な対戦相手では意味がない。
首脳陣がオファーした相手はリーグ戦では戦えない戦力を整えた若手強豪チーム。「ここをどう乗り越えるかで、今季これからの展望が見えてくる」。ベテラン府後を除く全メンバーが揃い、いよいよNLの球春到来だ。

先発は遂に登板機会が回ってきた久保。岩井の2連続完投の後を受け、強力打線を相手に満を持しての今季初登板だ。
「ブランクが心配」と不安要素を口にするも、いざマウンドに上がってみればさすがはNL強力投手陣のローテーション投手。
いつものように伸びのある直球と多彩な変化球で的を絞らせない。先発マスクを被った高橋とは修行先の独立リーグでもコンビを組んでおり実績十分だ。気合いが入りすぎた捕手・高橋はファウルチップを股間に当て、悶絶・・。担架が運び込まれそうな場面でも、脂汗を滲ませながら
「大丈夫っス!!」と不屈の闘志でカムバックし、猛アピールだ。

久保は初回を無難に立ち上がると、2回も走者を背負いながら鉄壁の守備陣にも助けられ、2イニングを無失点で切り抜ける。
しかし開幕戦から続くまさかの貧打線は深刻だ。いや、貧打ではない。あと1本が出ず、ホームベースが遠い状態。
さすがに守り勝つにも限度が来る。

打線は初回、1死から安井が痛烈なレフト前ヒットで出塁。「もうボチボチ打棒爆発で手がつけられなくなるんちゃいますか?」
好調な“最強の2番打者”が勢いをつけ、クリーンアップへと繋ぐ最高の形を作った。
しかし3、4番が共に“打たされて”のショートゴロに倒れ、この回は無得点。2回も重厚な5~7番があっさりと打ち捕られ、なかなか得点シーン
までは辿り着かない。

3回からは最年長エースがマウンドへ。開幕からの2連続完投を考慮し、この日は2番手として登場。
「俺が来たからには絶対に先に点をやらない!」と熱く語りベンチを飛び出して行くも、誰も聞いてくれてない状況に肩を落とす。しかし、
マウンドに上がれば一変、この日は寒空にもかかわらず、素晴らしいピッチングを披露する。
鉄壁の守備陣にあって最近は見かけてなかった穴場、“安井トンネル”で出塁を許すも、キッチリと無失点で抑えていく。

3回、NL打線は簡単に2死となるも岩井、小田の老獪なベテランコンビが出塁しチャンス拡大。2死1、2塁で打席にはMG深町。いつものように簡単に追い込まれるも、2ストライク後の殊勲打に期待がかかる。が、しかし、“紙一重”の打球はピッチャーゴロに終わりこの回も得点ならず。
こうなればディフェンス勝負だ。
岩井は3塁に走者を背負った場面で打球はフラフラっとセカンドとライトの間へ。完全に落ちたかと思わせる打球を安井が向こう向きに
男前キャッチするファインプレー!3塁走者も無理な体勢でキャッチしたのを確認するとタッチアップを試みる。
安井も振り向きざまにバックホームすると、走って来る走者へストライク送球となり、キャッチャー高橋がキッチリとタッチアウトに仕留めた!先制を許さない、まさに“ディフェンスのNL”に相応しいビッグプレーで流れを渡さない。

4回先頭打者はこの日NL200試合出場を決めた岸本。メモリアルに何か企んでいる。まさか・・・捕らえた打球は放物線を描きながらレフトへ!ベンチから岩井の第一声「嘘だろ!」という打球は強風に押し戻され、何でもないレフトフライに。
しかし、この一打が流れを変えたか、この回も2死から安井が四球を選び出塁。続く松永の打球は怪しく鈍いピッチャー左へのゴロ。慌てた相手
守備陣をよそに俊足を飛ばし内野安打を勝ち取った。またしてもチャンス拡大だ。打席には願ってもない4番美澤。遠方から太鼓の音色がこだまする。チャンスに大歓声だ。
しかし相手投手の素晴らしい投球術、そしてキレのある球威の前に、紙一重な空振り三振に倒れ得点ならず・・スリリングな攻防に、球場を囲む観客も引き込まれていく。

ゲームが動いたのは5回。2死3塁。年甲斐もなくキレキレの真っ向勝負でピッチャーゴロに打ち取り、「どや!!」と言わんばかりの岩井。
しかし、老眼のせいか、近い距離のキャッチボールに一抹の不安を抱える。「大丈夫か?・・・」誰もが恐れたその瞬間、岩井から放たれた送球は、スローVTRを見るかのような放物線を描き大暴投。ファースト中津が懸命にジャンプするも全く届かず、三塁走者がホームイン。虚ろな視線で転々と転がるボールを見つめ、哀愁漂う背中が寂しい最年長・・。

5回、今度は猛反撃だ。1死から久保が相手投手のキレのあるスライダーを右方向へ。見事に「レフトを狙って打球はライトへ」というナチュラルボーンマスター打法で出塁。高橋も出塁しまたしてもチャンス拡大だ。ここで打席には岸本同様、200試合出場の吉武。やはり何か企んでいる。相手投手の速球に合わせた打球はセンターへ・・しかし前進守備のショートが華麗なるグラブさばきを見せ、何でもないショートゴロにして本塁封殺。堅い・・続く、中津も鉄壁のショートゴロに倒れ、この回またしても得点ならずだ。

終盤6回、下位打線から何とかしたいところだ。
先頭の岩井は「点を取られたのは俺だから、俺が取り返す!」と顔に書いてあるままにフルスイング。しかしバットとボールが30センチも離れての腰砕けだ。そのまま敢えなく三振。「おっかしいな~、スタンド一直線のはずだったのにな~」。NLイチのポジティブシンキングの後は、
開幕戦で連続三振のリベンジを狙うベテラン小田。
相手投手の速球をカットしながらタイミングを合わせ、振り抜いた打球はライト左へのシングルヒット!ようやく肩の荷が下りた小田はNL10年史を彩ってきた盗塁をも決め、1死2塁。一打同点のチャンスを演出だ。
しかし続くMG深町は紙一重のキャッチャーファウルフライ、岸本も読みを外されたピッチャーゴロに倒れ、この回も無得点に終わる。

ゲームは最終回、マウンドには“ここぞ!”の時の美澤が上がった。もう1点もやれない・・翔平とのバッテリーでこの回を無失点に抑え、いよいよ最後の攻撃へ。1番からの願ってもない好打順だ。
先頭の翔平は意表を突くセーフティバント!しかしバットに二度当たり新ルール適用による凡打に終わって1死。起死回生一発同点の可能性を秘めた安井はショートゴロ、最後は安打製造機の松永でさえも内野ゴロに倒れゲームセット。
見せ場を作りつつ、またしても完封負けを喫したNL打線。しかしこの反動はある意味、恐ろしい。いつ、その導火線に火が点くのか、これからの戦いに目が離せない。

平成26年2月23日/駕与丁公園/開始12時
○N.ライオンズ 2-0 ブルドッグス●

Bzz000 000 0 : 0
NL 000 101 × : 2

勝・岩井 1勝1敗0セーブ
○岩井ー中津

打・樋口1

【経過】
開幕戦を落とし、早くもマイナススタートを余儀なくされたNL。ほぼベストな布陣で完膚なきまでに叩きのめされたショックはやはり大きかったのか。しかし、この日はそんな事など微塵も感じさせない雰囲気を漂わせる。
なぜならこの日はNL旗揚げ以来、通算200試合目という記念試合を迎え、全選手にその重みが伝わるかのような緊張感が漲っていたからだ。

通算199試合出場の両ベテランも、同級生らしからぬコキ使われ方で守備フルイニング出場を目指すベテランも、
NL氷河期に正捕手として消耗し尽くした満身創痍のベテランも、
同じく氷河期に早朝から駕与丁の薄空へ向けてひたすら白球を打ち込んだベテランも、
NL2年目から4番を張る主砲も、
NL野球に憧れチームを潰してまで移籍入団した両雄も、チームの顔・男前な顔・ムードメーカーな長距離砲も、
リーグ連覇へ導いた最年長右腕も、正捕手として攻守での核弾頭ぶりを発揮する男も、攻守の要として君臨するNL野球の申し子も、
NL野球に心酔し逆指名入団の大型大砲も、そして最年少ながら圧倒的な存在感でチームを勝利に導く男も・・・誰もが皆、思いはひとつ。
これまで節目のゲームには、これ以上ない集中力で勝利を掴んできた。
“勝って記念試合を飾ろう”

そんな大事なマウンドである事を忘れさせるかのような、最年長がいた。前回と同じ轍は踏まない。小気味好いピッチングが冴え渡る。
そんな御大の奮闘ぶりに、スタメンマスクを被った中津がマスク越しに涙を浮かべながら好アシストだ。

立ち上がり、追い込みながらも先頭打者を出塁させた嫌な流れ・・誰もが「デジャヴか」と思いかけた次の瞬間、二盗を仕掛けた一塁ランナーに対し、正確なアプローチが売りの捕手・中津からの見事なストライク送球がズバリ!走者を刺し、立ち上がりの岩井を強力に援護した。

その裏、先頭打者として久保が当然のように打席に入る。だが怪我の状況は深刻だ。痛いという素振りすら見せる事のない男はいつものように
積極打法。打球はよく伸びる右方向へと加速度を増し、右翼手の頭上を遥かに越えるスリーベースヒット!いきなりノーアウト三塁、
絶好の先制点のチャンスだ。何もしなくても得点しなければならない場面だ。続く好調の高橋はチャンスメークに徹して四球。
二盗も仕掛け早くもビッグイニングの予感。
続く松永の打球は快音を響かせるもショート真っ正面。これではランナーは釘付けだ。美澤は4番の責任感、打ちたい気持ちを堪えて四球を選び満塁へ。ここで期待の樋口もショート真っ正面・・・相手守備も堅い。本塁憤死で二死。
何とかしたい時に何とかしてきた男・中津に期待をかけるも、力ないセカンドフライ。まさか、まさか、塁上を賑わせるだけ賑わせておいての
無得点。開幕戦の悪夢が早くも蘇る。

そんな不穏な空気を消し去ったのは、最年長レジェンドのピッチングだ。ストライク先行、千切っては投げ、千切っては投げ、まさに残りの
選手生命、身を粉にしての奮投ぶりに、このゲームにかける情熱を感じ取った。
しかし打線は淡白だ。2、3回ともに無得点に終わると、開幕からの連続無得点記録が遂に10イニングを超える。各個人の調子は上がってきているだけに、尚更辛い状況に。何とかしなければ・・・徐々に焦りに変わってきた。

4回、遂に遂に、待望の今季初得点だ。振れている先頭の高橋はバットの先ながら痛烈に三遊間へ。ショートが追いつくも、速い打球に弾かれ
内野安打。1死から4番美澤。打ち損じたキャッチャーファウルフライ・・も落球に助けられ、ここはビッグチャンス!しかしレフトへの大飛球を好捕され2死に。「ああ、またしても得点ならず、か・・・」しかし不穏な空気を一変させたのは、頼れる5番樋口。これまでチームの窮地を何度も救ってきた男の一打は、痛烈にレフト前へ弾かれた!二盗を決めていた高橋が俊足を生かして三塁を蹴る。バックホームは間に合わない。ようやく、やっとの思いでの今季初得点は値千金の先制点となった。
こうなると絶対に同点機を与えてはならない。しかし、思えば思うほどにドツボにハマる。岩井の投球の精度が増して来るも、相手の強力打線も一筋縄にはいかない。

1死から出塁を許し、次打者の当たりはフラフラとセカンド後方に落ちるテキサス性の安打。一塁ランナーは躊躇せず三塁を狙う。
ここでNLお得意のトリックプレーが炸裂する。打球を掴んだセカンドの久保は強肩を生かしサードへ送球。三塁手の美澤は走者を欺く為、
ギリギリまで捕球態勢を取らない。悠々と三塁を陥れたと思わせ、滑り込まない走者をストライク送球でのタッチアウトに仕留めた!
これぞ幾多の修羅場を潜り抜け、栄冠を勝ち得てきたNL鉄壁のディフェンスライン。
僅差のゲームでしか使わない奥の手で流れを断ち切ると、今度は待望の追加点だ。

終盤6回、1死からラストに入った岸本が四球。何をしでかすか・・策士の出塁にベンチがざわめき始める。続く久保のサードゴロで二塁へ転送されるも、送球が僅かに逸れフィルダースチョイス。オールセーフとなり打席には高橋。願ってもない好打順だ。しかし警戒され過ぎたか、死球を浴びこれでさらにチャンス拡大となる1死満塁。
三塁ランナーは体のキレこそ峠を過ぎるも嫌らしいまでに裏技を知り尽くしたベテランだ。松永の叩きつけた打球は前進守備のショートゴロ。
老いた脚力では本塁は厳しいのか・・・が、しかし、普通にランニングするかのように見せて、しっかりと送球ラインの死角に入るよう
タイミングを計り、最後は巧みなスライディング一閃!砂ぼこりが舞うベース上ではクロスプレーに見えるも、しっかりと捕手のブロックを突破しての本塁生還。待望の追加点だ!
しかし、NL初のサヨナラ打を決めた時と同じく、ベンチの拍手は殊勲打の松永の元へ・・「これでいいんだ・・」寂しげなベテランの背中をよそに、貴重な追加点でリードを広げた。

最後は岩井がエースらしくしっかりと締め、無四球完封勝利。開幕戦の取りこぼしをしっかりとリベンジし、NL通算200試合目をキッチリと白星で飾った。
2試合で2得点。NL打線がマグマの如く噴火した時、それが反攻の狼煙を挙げる時に違いない。

平成26年2月9日/駕与丁公園/開始14時
○Peeps 2-0 N.ライオンズ●

P lll200 000 0 : 2
NL 000 000 0 : 0

敗・岩井 0勝1敗0セーブ
●岩井ー翔平

【経過】
前人未到のリーグ3連覇へ。『No Limit!2014〜全力っ!!』を掲げ、NL11年目のシーズンが、今年もまた熱く、スタートした。
今季からリーグ戦2ブロック制が開始され、前年度優勝のNLにとってはさらなる“包囲網”を敷かれる厳しい戦いとなった。
開幕戦は、チーム創成期から凌ぎを削ってきたライバル、Peeps。
決して下位リーグに甘んじているだけではない地力を持つ強豪だけに、初戦からいきなりの難敵を迎えた。
相手も“金星”を狙い相当な気合いを入れて臨んで来るだけに、万全の態勢で迎撃したいところ。が、しかし、いきなり天に見放される。

日本列島が記録的な大雪に見舞われた中、前日まで東京滞在中だった主力組の松永にまさかのアクシデントが発生。
飛行機が欠航し、まさか、まさか無念の欠場。悪天候で新幹線に閉じ込められた161億を稼ぐNYのマー君に対し、162億を稼ぐNLのマー君も
空港に足止めされる不運で、NLはいきなり攻守の要を欠く非常事態。

ゲーム開始前。果たして松永の穴を埋めるべき3番遊撃手には誰が座るのか・・・。
周囲の喧騒をよそに、首脳陣が指名したのは、「この男しかいない!」・・そう、NLイチの男前にしてNLイチの男気を醸し出すトモ君だ!!
「そう来ると思ってましたよ。準備はしっかり出来てます!」頼もしい優等生発言に理屈はいらない。いよいよ開幕戦のスタートだ。

NLの開幕マウンドは、老いるたびに若々しい、若々しいはずなのに、どこか古臭い、“リアル初老”ツヨ君だ!
ますます自らを追い込んで絞り込んだ肉体は、とてもチーム最年長のコンディションではない。有り余る力をボールに込め、慎重に、そして
大胆に、投球を重ねていく。が、しかし、岩井の立ち上がりには魔物が潜んでいる。この回を球威で圧倒したかと思いきや、2人の走者を残し、
2死からまさかの先制2点タイムリーを浴びてしまう。デジャヴか。

点を許してからの岩井はまさに只者ではない。鬼の形相で後続を打ち取ると、失点した部分ばかりが脳裏にこびり憑いて離れないとばかりに、
朽ち果てた表情でベンチ裏に消えていく。

そんな岩井を援護してきた打線は、この日も頼もしくトップバッターの久保を迎える。
自主トレ中の全治2週間のアクシデントによる負傷を物ともせず、いきなり初球セーフティバントの構えで揺さぶりをかける。
ここは惜しくも凡打となるも、続く翔平が得意の右方向へ!右中間を真っ二つに破る特大のスリーベースヒットで、早くも反撃のビッグチャンスを演出。そして迎えるはNLが誇る強力クリーンアップ。誰もが同点、そして逆転までのシナリオを描いたはずだ。

安井の打球は逆方向でも伸びるライトフライ・・犠牲フライには、少し距離が足りない、か。俊足の翔平をしてもスタートが切れない。
2死となるも4番・美澤。幸先良い打席で一年のスタートを切りたい、とばかりに打ち上げた打球はセンター方向への大飛球!
いきなりバックスクリーンへの逆転弾か!?球場全体がどよめきに包まれるも、打球は僅かにフェンスまで届かずに失速。
相手守備の好捕にも阻まれ、絶好のチャンスを逸してしまう。

2回、今度は1死から高橋が度肝を抜くフルスイング一閃!打球はあっという間にレフト線に弾き返されるツーベースヒット。続く吉武が四球で
繋ぎ、これ以上ない絶好のチャンスを拡大。
しかし、小田、MG深町という恐怖の下位打線が沈黙し無得点に倒れると、その後も再三塁上を賑わすだけ賑わせて、まさかの0行進。
結局、相手を上回る長短打攻勢を見せるも、まさに開幕ボケを思わせるかのような拙攻でまさかの完封負け。
相手チームに“金星”を献上したばかひか、自らはマイナス1点スタートを余儀なくされ、力なく球場を後にした・・・。