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■平成23年12月4日/社領南公園
○N.ライオンズ 3-1 レッドウィンジャース●

NL :0 2 0 0 1 0 0: 3
RW:1 0 0 0 0 0 0: 1

勝・岩井 3勝1敗1S
S・美澤 1勝0敗2S
岩井・SUN・美澤ー中津

打・久保 2

【経過】
激動の2011年もいよいよ最終戦。
白熱する個人タイトル争いもいよいよ大詰めを迎え、チーム内での醜い骨肉の争いが絶えない一戦がやって来てしまった。
エース・SUNが、美澤以来となる年間2ケタ勝利へ王手。さらに3番・安井も打点、本塁打王へ向け最終チャージをかける大事な一戦。

そんな選手のメンタルケアを欠かさない指揮官は、タイトル争いに関係する者を中心に起用しようと試みるも、当該選手自体が試合開始に
遅刻する有り様だ。
そんなドタバタながらも急遽、どさくさ紛れで先発のマウンドに上がったのは“魅惑のKOボーイ”岩井。
いつものように立ち上がりの悪さを突かれ初回に1点を失うも、それ以降はNL初の東京六大学出身らしいクレバーな投球術を披露。
相手打線をスミ1に抑えていく。

そんな頑張るオッサンを援護したい打線で最注目は、NL通算100安打に王手をかけた府後。この日は指揮官の粋な計らいで2番に入るも、いつも通りの自然体だ。
『まあ、大記録達成は来年でもいいっスよ』
という言葉とは裏腹に、重~いプレッシャーを背に受けた第1打席は惜しくも相手守備のエラー。
『ヒットじゃねえのかよ~……』
諦めきれないまま迎えた第2打席はまさかの三振。いつものスイングが出来てない府後に、四番・美澤が打撃指導。緊急すぎる緊急メスだ。
さらに周囲から飛び交うアドバイスに調子を乱した府後はその後の打席でも内野ゴロ2つ。
大記録達成はまさか、まさかの来年へと持ち越しとなってしまった。

試合は2回、2死二、三塁から久保がレフト前2点タイムリーを放ち逆転に成功。
5回には1死三塁から吉武のライト犠牲フライで貴重な追加点。
5回からは“遅れてきたエース”SUNが登板。自らの遅刻で2ケタ勝利は逃したものの、3イニングをピシャリと締めてゲームセット。
盤石の投手リレーで勝ってきた今季を象徴するかのようなゲームで最終戦を有終の美で飾り、チーム年間最多勝利を更新した。

同日夕刻から開催された『2011NLコンベンション』では、久保が打点王と本塁打王の二冠を達成。SUNが驚異的な打率での首位打者に輝いた。
さらに国民最大の関心事項と言われるM.I.P.には、“1打席中3度の死球”松山が圧倒的大差で輝いた。
また、特別制定されたM.S.P.(最もさむいプレイヤー)には、送球を夢いっぱいに投げたMAG深町が受賞し、主将お手製の純金トロフィーが
手渡され、NLの熱き2011年を締め括った。

■平成23年11月27日/駕与丁公園/
○N.ライオンズ 14-2 ハンターズ●

NL:7 0 3 0 1 2 1:14
HT:0 0 0 2 0 0 0: 2
勝・安井 3勝0敗3S
安井・久保・美澤ー久保・SUN・久保
打・岸本 5

【経過】
この日は最終戦を1週間後に控え、ファン感謝イベントを開催。
NL48選抜総選挙(くじ引き)によって選ばれたスタメンが発表されると、場内がどよめいた。
不動のクリーンアップこそ固定されたものの、1、2番に吉武、松山のレフティーズが入り、日頃下位で鼓舞し続ける岩井が7番に入る
サプライズオーダー。
また、久保が8番に入るという層の厚さを見せたかと思えば、先発のマウンドには“守護神”安井が上がりゲームはスタートした。
単なるお祭りではない!とばかりに初回から早くも打線爆発だ。

先頭の吉武が四球を選ぶと、1死から安井の左中間を破るタイムリー二塁打、美澤のセンターオーバータイムリー二塁打、SUNのレフト前安打、岸本のレフト前タイムリー、久保のセンター前2点タイムリー、府後のセンター前2点タイムリー……四球を挟んでの6連打で7点を奪った。

3回にはまたしても府後のライト前2点タイムリーなどで3点を追加。
5回にも1点、6回にも岸本のレフトオーバータイムリー二塁打などで2点、7回にも1点を追加して計14得点。

投げては先発の安井が3回までピシャリ。いつもの守護神としての役割を全うするも、未知の領域となった4回に2失点。
今度は後を受けた久保が2回を無失点に抑え、仕上げは美澤が最終回をピシャリ。
前週、老骨を酷使した岩井をブルペン入りさせず温存しての見事な継投を見せた。

そしてこの日の“熱視線”は府後。
今季絶望と言われた大怪我から華麗なる復活を遂げて以降、安打を量産。
この日はNL入り初のセカンドを無難にこなしたばかりか、打っては3安打猛打賞4打点。
そして、来季持ち越しかと思われた史上5人目となるNL通算100安打達成まで残り1本に迫った最終打席、力み過ぎてのピッチャーゴロに終わり大記録達成は今季最終戦に持ち越しとなった。
個人タイトル争いに加え、府後の大記録達成も控え、最終戦の注目度も俄然高まってきた!

■平成23年11月20日/なまずの郷公園/SSオータム杯/
<予選リーグ>
○N.ライオンズ 5-4 キャピタルズ●
NL:4 0 0 1 0 : 5
Cp:4 0 0 0 0 : 4

勝・岩井 2勝1敗1S
岩井ー翔平
打・府後 1

<予選リーグ>
○N.ライオンズ 10-1 Peeps●
P :0 1 0 0 0 : 1
NL:2 3 1 4 X :10

勝・SUN 9勝2敗0S
SUN・久保ー翔平
打・吉武 2

<決勝>
○ライデン 5-4 N.ライオンズ●
NL:3 0 0 1 0 0 0 : 4
RD:3 1 0 0 0 0 1X: 5

敗・SUN 9勝3敗0S
岩井・SUNー久保


【経過】
SSオータム杯に招待チームとしてエントリーし、NL初の他流試合進出&1日最大3試合を迎えた。

予選リーグ第1戦。
初回、翔平のレフト前タイムリー、SUNのライト前タイムリー、小田の押し出し四球、岸本のレフト前タイムリー……
怒濤の攻撃で4点を先制。

先発は大ベテラン・岩井。しかし、4点のリードをキッチリ吐き出し4失点。あっさり同点に追い付かれるも、2回からは無失点に抑えていく。
岩井の老骨軋む熱投に応えたい打線は4回、府後の渋い内野安打がタイムリーとなり勝ち越しに成功。
まさかの完投を目指す岩井は最終回、無死二、三塁一打逆転サヨナラ負けの大ピンチを背負うも、クレバーな初老投球術で逃げ切り1点差勝利。

1試合のインターバルを挟み予選リーグ第2戦。
初戦快勝の勢いそのままに初回、吉武のライト前2点タイムリーで先制。2回には翔平のレフト前2点タイムリーなどで3点、3回にも
吉武のライト前タイムリーで1点、4回には安井のレフトオーバー2点タイムリーなどで4点を追加し、終わってみれば10得点。
満を持して登板したエースSUN-久保のNL自慢の投手リレーもズバリとハマり、予選リーグ2連勝で決勝進出が決定。

夕闇迫る中、照明が点灯され迎えた決勝戦。
初回、安井のライト前タイムリーなどで3点を奪い、この日3試合連続で先制点を叩き出す。
決勝のマウンドに上がったのはまさかの初老、この日2試合目となる岩井。
年齢を感じさせないピッチングで意地を見せるも、強力相手打線に捕まり3点を失い同点に追い付かれる。

2回には勝ち越し点を奪われると、指揮官は早くも継投策へ。
前の試合で先発したエースSUNをこの場面で登板させ、相手打線を封じ込め試合の流れを一変させる。
すると4回、美澤、SUNの主砲連打でチャンスを作り、吉武、小田のベテランコンビで進塁、同点打を決めて、遂に追い付き終盤へ。
お互い譲らず、延長戦も見えてきた最終回、不運な当たりも絡み1死1塁、2塁。ボテボテの当たりがサードへ転がりお誂え向きの

5ー4ー3の併殺コーーース!

サードから送球を受けたセカンドが夢いっぱいに詰め込んだボールをファーストへ。送球したボールは夢の彼方へ飛んで行き、ゲームセット。
初の他流試合進出は準Vに終わり、球場を後にした。

■平成23年11月13日/榎田中央公園/開始13時/
○N.ライオンズ 5-4 バッカナーレ●

NL:4 0 0 0 0 1 0: 5
BA:0 0 0 3 0 0 1: 4

勝・美澤 1勝0敗1S
S ・久保 1勝0敗1S
岩井・美澤・安井・久保ー久保・岸本
打・なし

【経過】パブリックリーグ・プレーオフの激闘を終え、来季に向けての秋季オープン戦。
翌週に控えたワンデー大会をも見据えた起用法も注目される。
この日はリーグ戦の疲れを考慮し、エース・SUN、MG深町、安達、翔平の主力を休養させたものの、逆にベテラン勢は老骨にムチ打ち
フル出場させる荒療治。

そんな悲壮感漂うゲームに注目しつつも初回、早くも先制点を叩き出した。
あっさり2死となるも、安井の四球、美澤の捕手失策(打撃妨害)で掴んだチャンス。
ここで五番に入った吉武がベテランらしい当たりで、追いかける内、外野手のド真ん中に打球を落とすライト前タイムリー。
先制するとさらに相手エラーで追加点を奪い、続く府後がしぶとくレフト前に運ぶ執念の2点タイムリー。

ツーアウトから怒濤の攻撃で4点を奪うと、先発のマウンドにはこの日いろんな意味で大活躍のベテラン勢、最年長・岩井。
プレーオフでは不本意な場面からの登板を余儀なくされ、不完全燃焼の“初老”は立ち上がりからエンジン全開。
マウンド上では最年長を感じさせない体のキレを見せ、2回無失点で2番手・美澤にバトンタッチ。
代わった美澤も久々の登板とは思えない貫禄で相手打線を封じていった。

だが、強打の相手打線がこのまま黙ってはいない。
2イニング目に突入した美澤を捕らえ始め、外野へ大きな当たりを飛ばしていく。
いつものNL鉄壁の外野網なら安心できる当たりだが、この日は悲壮感漂うアラフォー外野陣が必死に追いかけるもあと一歩…いや、
あと十数歩足りずタイムリーにしてしまう。あっという間に1点差に追い上げられ、ゲームは白熱の展開へ。

このまま逃げ切り態勢を狙うNLは早くも5回から守護神・安井がマウンドへ。
今季一度も救援失敗のない、文字通りの“守護神”はこの日も2イニングを無失点に抑える。
6回に相手エラーにより待望の追加点を奪うと、2点差の最終回には、久保がマウンドへ。
ここで捕手も“守護神”岸本にスイッチ。長いイニングは厳しいベテランも、ここ一番の場面では巧みな“黒い”リードでNLを勝利に導いてきた。
強打の相手クリーンアップを迎え1点は失ったものの、最後は僅差で逃げ切り勝利。
僅か1イニングではあったが、選手生命を削るベテラン捕手の奮闘……NLベテラン勢にとって、実りある秋の大収穫となったはずだ。

■平成23年10月23日/駕与丁公園/開始15時/
○早良区LOVE 11-4 N.ライオンズ●


SL:0 0 0 10 0 0 1:11
NL:0 2 0 0 0 1 1: 4

敗・SUN 8勝2敗0S
SUN・岩井・SUNー美澤

【経過】
プレーオフ1回戦を劇的な土壇場逆転勝利で飾り、勢いに乗るNL。
この日の準決勝の対戦チームは、前年度の覇者。これ以上ない強力な相手を迎え、いざ、決戦の時を迎えた。

この日の為に照準を合わせて調整してきた、NLのエース・SUN。
立ち上がりから絶妙な制球力と持ち前の速球で、強力相手打線に付け入る隙を与えない。
エースがリズム良く作った流れを早速、打線が返して行く。2回、2死満塁の好機に、打席は“下位打線の猛者”MG深町。
カウントは3ー0。定石通り、“待て”のサインが出た次の瞬間、投球と同時にまさかの“天の声”が!
『打て!』
誰もが耳を疑った次の瞬間、『信じる者は救われる』とばかりにMG深町が放った打球は、得意の右中間に転がる先制の2点タイムリー。
ベンチでは結果オーライ“天の声”の主が、指揮官に怒鳴り散らされる中、キッチリと芸術的な右打ちを成功させたMG深町を讃える拍手喝采。
右打ち職人のひと振りで貴重な先制点を叩き出すと、エース・SUNの投球がますます冴え渡る。

3回までリズム良く斬ってとり無失点。いよいよNL必勝パターンにはまったかと誰もが信じたその時、まさかのアクシデントがエースを襲った。
前回登板時の力投で右手人差し指に血マメを作ってしまったSUNの“爆弾”が4回、遂に爆発する。

リーグ戦を1位通過した原動力であったエースの突然のアクシデントで、野手にも動揺が走ると、リーグ戦では鉄壁を誇った守備陣も
連鎖的な失策を繰り返してしまう。

気がつけば今季ワーストの1イニング10失点。一気に逆転を許してしまった。
続投不可能と判断した指揮官はSUNをマウンドから降ろし、気迫の最年長・岩井にスイッチ。
岩井は流れを呼び戻すべき、期待通りの力投を見せる。

大量ビハインドの中、気持ちは切る事無く最小点でも返していく。最終回にはSUNを再びマウンドに上げ、今季の大黒柱としてフル回転した
エースとしての仕事を全う。
最後の攻撃も1点を返すが、あまりにも大きかった大量失点を最後まで挽回する事ができず、無念の終焉。
最後まで諦めない“勝利への執念”は、来季逆襲へ向けての確かなる一歩となったはずだ。

■平成23年10月9日/駕与丁公園/開始16時/
○N.ライオンズ 9-8 ブルドッグス●

B :2 4 1 0 1 0: 8
NL :3 0 2 1 3 X: 9

勝・安井 2勝0敗3S
SUN・安井ー美澤・中津
打・小田 1

【経過】
いよいよ、パブリックリーグ制覇を目指したプレーオフに突入。
主力メンバー数名を欠く厳しい状況で向かえなければならい大事な一戦。しかし、ここまで来たら内容も形もない。気持ちで勝ちに行くだけ……
そんなナインの意気込みが表れ、凄まじいゲームが展開された。
相手チームを見ると、普段ベンチから采配を奮う監督自らグランドに立ってプレー。こちらも“本気度”が伺えるまさにガチンコ勝負の様相を
呈してきた。

プレーオフ進出が濃厚となった時点でリーグ戦を一時離脱し、故郷沖縄で再調整に入ったエース・SUN。
この日は満を持して大舞台のマウンドに上がるも、リーグ戦で見せていた球威、制球力が影を潜める。
初回からまさかの大乱調。決定打こそ許さないものの、軌道修正ができないまま2点を先制されてしまう。

気落ちしている場合ではない打線はその裏、早速反撃を開始。
不動のトップ・久保を欠く中で、指揮官は1番にエースでもあり俊足強打のSUNを起用。期待に応えたSUNは四球で出塁するとすかさず
盗塁を決める。
ネクストで見てその熱き魂を受け継いだ岸本は、ベテランらしい読みと集中力でレフト前にクリーンヒットでチャンス拡大。
ここで迎えた三番・安井がセンターオーバーとなる2点タイムリー二塁打。ここ最近の打撃不調も何のその、
この大舞台でキッチリ仕事を果たした安井のひと振りでゲームを振り出しに戻した。
さらに2死となるも得点圏に走者を残し、ここ一番のゲーム勘で鋭さを発揮するベテラン・吉武がセンター前タイムリー。
一気に逆転に成功しベンチを盛り上げる。

しかし、今度はリーグ戦を勝ち抜いてきたNL自慢の固い守備陣に綻びが出る。
まさかの1イニング3失策で4点を奪われ逆転を許し、3点差とされる。
完全に浮き足立ったNLはさらに3回、1点を追加され4点リードを許す崖っぷちの綱渡り状態。『負ければ終わり』…勝つしかないナインの思いがいつしかプレッシャーとなったものの、開き直りを見せた中盤から猛反撃を開始した。

3、4回、今度は相手守備の失策絡みでジワジワと点差を詰めていく。
指のマメで本来の投球には程遠いながらもSUNは軟投型でようやく4回1イニングを無失点に切り抜けエースの大役を全うした。
ここで指揮官は『もう後がない』リードを許した場面で“勝利の方程式”守護神・安井をマウンドに送った。
この起用にナインが燃えないわけがない。既にゲームは終盤、規定の試合時間を考えると“最終回”となる5回裏に劇的なドラマが生まれた。

ベンチの誰もがあきらめていない打線は、1死から安井が左中間を破る二塁打で出塁。
ここで四番・美澤がリスクを背負った長打を捨てショート深い所へのゴロを放ち全力疾走。気迫の一塁スライディングで繋ぎの内野安打を
もぎ取ると、中津が冷静に見極め四球を選び1死満塁。最後は続く吉武、小田のNL創生期を知るベテランコンビに総てを託した。

ベンチから飛び出した指揮官が2人に直接アドバイスを送る。この回しかない…最後の執念で打席に送り出した。
吉武のミッションはただ一つ。“引っ張って叩きつけろ!”鋭く振り抜いた打球はセカンドを強襲し三塁走者を返し1点差。
しかし2死。もう後がない……。

2死二、三塁。ここで日頃、冷静沈着な小田の表情が勝負師に変わる。執念で放った打球はセカンド左を抜けセンター前に運ぶと
三走・美澤に続き、二走・中津が好走塁!トップスピードのまま迷わず三塁を蹴ると一気にホームイン!
土壇場で逆転に成功し、ベンチはお祭り騒ぎだ。

このゲームで投打のキーマンとなった安井が最後を締めてゲームセット。リーグ戦Aブロック1位の底力を見せたNLがプレーオフ初戦を突破。
まさに全選手一丸となっての全員野球でプレーオフAブロック決勝戦に進出した。

■平成23年9月25日/駕与丁/開始16時/
○Aburamans 8-1 N.ライオンズ●

Ab:3 0 0 3 2 0 0: 8
NL:0 0 0 0 1 0 0: 1

敗・岩井 1勝1敗1S
岩井・松山・安井ー岸本・中津

【経過】
プレーオフを2週間後に控え、最終調整段階に入ったNL。
この日の相手チームは、業務提携を結ぶ強豪友好チーム。しかもNLは主力選手を骨抜きにされ、非常に苦しい布陣で迎え討つ事となった。
ただ単に骨抜きにされただけではなく、とにかく老獪だ。クリーンアップにはベテラン・吉武、小田が座り、バッテリーは最年長・岩井と
主将・岸本の、“NL史上最高齢バッテリー”。
果たして試合後、まともな状態で球場を去る事ができるのか……悲壮感漂うゲームはスタートした。

初回から気負いすぎの先発・岩井は、制球に苦しむ大乱調。死球6発と残念なスナイパーぶりを発揮し、四死球で溜めた走者を次々と返され
無念の降板。
松山も相手の勢いを止められず失点すると、ここで指揮官は“NL絶対的守護神”安井を登板させる意地の采配だ。
安井は強打の相手打線を前に全く怯まず凡打の山を築き、2イニングを無失点に抑えた。

しかし打線に元気がない。
ここ5試合で51得点を叩き出した好調な打線も、アブラマンズの繰り出す剛腕投手リレーの前に、なすすべなし。
『このままじゃ、いかん!草色のユニホームに負けてたまるか!』
そう叫ぶと主将・岸本が第2打席、ショート右を襲う打球に一塁へ全力疾走!
スタメン捕手として出場し、すでに足腰ガタガタの状態の中、老骨にムチ打つ激走で内野安打を勝ち取りチームを鼓舞した。
しかし笛吹けど踊らず、結局2安打1得点に封じられての完敗。束の間の休息……。
しかし各自、最終調整を終えて、いよいよプレーオフに突入して行く。

■平成23年9月18日/汐井球場/開始9時/
○N.ライオンズ 13-0 M.M.C.●

NL :6 2 0 0 0 4 1:13
MC:0 0 0 0 0 0 0: 0

勝・岩井 1勝0敗1S
S・翔平 0勝0敗1S
岩井・久保・翔平ー翔平・GO池田

打・美澤 3

【経過】
リーグ戦プレーオフを見据え、積極的な対外試合にて調整するNLナイン。
この日も強豪の相手チームを迎えたものの、主力5選手を欠くギリギリのメンバーで試合に臨んだ。
ところが層の厚い今のNL打線にとっては、そんなハンデさえも全く苦にはならない。

初回出塁率の高さでは断トツの久保が四球を選ぶと、繋がり出した打線が今日も止まらない。
1死から3試合連続で四番・美澤が先制打となるサード強襲タイムリーを放つと、五番に入ったGO池田がライトオーバーとなる
2点タイムリー三塁打。
さらに岸本が若手の手本ともなるべきセンター返しのタイムリー。すると、若手どころか最年長・岩井までもが続け様にセンター前タイムリー。
さらに一巡した中津が『岸本さんを手本にしました』と言わんばかりのセンター前タイムリーが飛び出し、この回12人を送り込んだ打線が早くも6点を先制した。

2回にも勢いは止まらず、GO池田が今度は左中間を破る二塁打でチャンスメークを果たし、岸本の犠牲フライなどで2点を追加した。
先発マウンドに上がったのは入団後3戦目、初先発となった岩井。
これまで中継ぎで首脳陣の評価を上げ、遂にまっさらなマウンドに到達した。
小雨が降りしきる悪条件の中でもいつもと変わらない岩井は、星屑のスナイパーの如く攻めのピッチングで相手打線を翻弄。
1人の走者も許さず3回をパーフェクトピッチング。
『まだまだいけますよ』という無尽蔵なスタミナオヤジを制し、指揮官は4回から久保を投入。
大一番へ向けての出し惜しみか、またはこれ以上の投球は選手生命に繋がるとの判断か……首脳陣の黒い思惑で継投策に入った。

二番手・久保は得点差に緊張感を欠いたか、立ち上がりから制球を乱したものの、最後はうまくまとめて2回を無失点に抑えた。
打線は終盤に入っても止まらない。
新調したビッカビカのスパイクがジャストフィットした岸本のライト前安打で号砲を上げると、“NL生え抜きのダッチサイクロン”安達が
ライト前安打でチャンス拡大。
こうなると、中津のレフト犠牲フライ、翔平の左中間2点タイムリー、美澤のレフト前タイムリーで4点を追加。

7回には吉武の左中間二塁打で作ったチャンスを久保が内野強襲タイムリーで還し、結局、先発全員安打で13得点を叩き出した。
最後はNLトップクラスの鉄砲肩、翔平が三番手として試合を締め括るマウンドへ上がり、期待通りのピッチングで2回無失点。
3投手による完封リレーを決めた。
投打が噛み合った今、すぐにでもプレーオフを迎えたいところだが、先を見据えたNLの熱き戦いはさらに続いていく。

■平成23年9月11日/香椎浜第2/開始13時/
○N.ライオンズ 11-5 NEW WAVE●

NL :1 0 2 3 3 2:11
NW:0 2 0 0 0 3: 5

勝・久保 1勝0敗0S
S・岩井 0勝0敗1S
久保・岩井ー翔平

打・美澤 2
本・久保2号(3ラン=ランニング)

【経過】
激闘の長尾軍団戦から僅か1時間のインターバルを経て、球場を移動してのダブルヘッダー第2試合。
初対戦の相手とあって、先発志願したのは“NLの番人”久保。
多彩な変化球に絶妙なコントロールを持ち合わせるだけに、相手打線を探る意味では持ってこいのローテーションだ。
スタメンも首脳陣の意向で通常より大幅に動かした。
何よりもビッグサプライズとなったのは、“下位打線の猛者”MG深町を初の五番、クリーンアップへ大抜擢した点。
『はい、五番っスね』。
いつものように何事にも動じない自然体で…というよりは、大役の意味がわかってないままゲームに臨んだ感は否めない。

出鼻を挫きたい打線は初回、美澤のサード強襲安打で1点を先制。第1試合のリプレイを見るかのような四番の先制打で俄然勢いづく。
しかし相手打線も強力だ。すぐさま2回に久保が捕まり2点を返され逆転を許してしまう。

だが、この日のNL打線は暑さでイカれたかのように尋常ではなかった。
3回に小田、安井の上位打線が連打でチャンスメークを果たすと、2死から吉武が右翼線を深々と破る2点タイムリー三塁打で
鮮やかに逆転に成功。
4回にはトップに入った翔平の2点タイムリーなどで3点を追加した。
3回2失点の好投でマウンドを降りた久保が今度はバットで猛アピールだ。
5回2死一、二塁からセンターオーバーの大飛球。広い球場の特性と俊足を生かしてのランニング3ランホームラン。

4回からは“神秘のベールに包まれたオッサン”岩井が威風堂々マウンドへ。
首脳陣の期待に応えたいマウンドで、チーム最年長らしからぬ球威で相手打線を封じ込んでいく。“オッサン”が頑張れば、“オッサン”が蘇る。
ここ最近は若手の台頭をバックアップし、一歩下がった位置からチームを支えるベテラン吉武が6回2死二塁からこの試合3安打猛打賞となる
右翼線突破のタイムリー三塁打。
ダメ押しの11点目を奪うと、岩井は登板予定のなかった3イニング目に突入。
疲れと色気が交錯し3点を失うも、しっかりと重責を全うしゲームセット。
NLが誇る投手王国で1日2試合を何とか乗り切った。次なる目標は明確だ。リーグ戦プレーオフを勝ち抜いてのV奪回……これしかない!

■平成23年9月11日/駕与丁公園/開始10時/
○N.ライオンズ 14-8 長尾軍団●

NL:1 6 2 0 0 5 :14
NG:0 4 4 0 0 0 : 8

勝・松山 1勝0敗0S
S・安井 1勝0敗3S
松山・安井ー翔平

打・久保 1

【経過】リーグ戦のクライマックスはやはり、長尾軍団との名勝負数え唄に限る……。
草野球界の『顧客満足度ナンバーワン』(当社比)に輝く黄金カードの実現に、駕与丁公園は大観衆に包まれた。
しかし、NL投手陣の台所事情は火の車だ。
完全無欠のエース・SUNは一時帰郷により欠場中。このピンチに先発のマウンドに上がったのは、懐かしのオネェ…いや、懐かしい男の姿。
昨年までNL投手陣を引っ張ってきた左腕・松山だ!
今季から一身上の都合により出場数が減り、エースの座を後輩に譲り渡したとはいえ、誰よりも強いチーム愛は変わっていない。
首脳陣からは先発登板厳命、“ドM”らしく自らを追い込み、この日に備えた。

そんな松山を援護したい打線は初回、3連続四球から四番・美澤の“最低限”センターへの犠牲フライで1点を先制。
2回には先頭の吉武が芸術的なレフト前安打で口火を切り、続く小田のセンター前安打でチャンス拡大。ここで開幕から好調を維持するMG深町が『芸術性なら任せて下さい』とばかりに、鮮やかなライト前タイムリー。
さらに岩井のサード強襲タイムリー内野安打などで4点を追加すると、松山が自らを楽にするライト前2点タイムリー。
6点を追加して7点差……序盤で勝負あったかと思われたが、この対戦カードに限ってそんな事などあり得ない。
久々の先発となった松山は2回に捕まり4失点。3点差に迫られ全く勝敗の行方が読めない展開に持ち込まれる。

すると3回、逆方向にこだわる先頭の吉武が左中間を破る二塁打で出塁すると、1死一、三塁から“何かやってくれる”MG深町の打席で
ワイルドピッチ。1点を加え、さらに久保のセンターオーバーのタイムリー二塁打でこの回2点。
5点差とし、正直もう大丈夫だろう……と安心しかけた直後に4失点し、一気に1点差に詰め寄られる。
目一杯の松山を3回で降板させたNLベンチは、確実に主導権を掴もうと4回から“守護神”安井をマウンドに上げた。

なりふり構わぬ“勝利への執念”が、やがてゲームの流れを呼び込む結果となった。
降板した松山だが、今度は打席で体を張って存在感を示し出した。第3打席で“お約束の”死球を受けると、圧巻は第4打席だ。
死球の判定も、当たってないと自らこれを拒否。続けざまに死球も自ら当たったと判定され仕切り直し。
更に続けざまに今度はドカンとまともにくらって同じ打席で投球を3度、体に浴びる出血大サービスで2打席連続の死球出塁。
“一粒で3度おいしい”松山恒例のパフォーマンスでゲームの流れも一気に掴み取った。

5回には打者一巡の猛攻だ。
この日2打点目となるMG深町の内野ゴロの間に1点、岩井の痛烈なセンターオーバー二塁打を挟み、4連続押し出し四死球でこの回5得点。
6回にも久保の左中間タイムリー二塁打で1点を上げ、ここでようやく勝負あり。
勝利を呼び込む安井のピッチングは、期待通りの2イニング無失点。開幕からいまだ救援失敗ゼロの安定感が、NL快進撃を支え続けている。
今年もまた、名勝負数え唄に違わぬ素晴らしい戦いを繰り広げた両チームに、観客の惜しみない拍手が鳴り止まない。
草野球の醍醐味を知りたければ、また、このカードでお会いしましょう……。

■平成23年8月28日/駕与丁公園/開始10時/
○N.ライオンズ 7-0 マシーナリ●


NL:0 5 0 0 0 2 0: 7
M :0 0 0 0 0 0 0: 0

勝・SUN 8勝1敗0S
SUN・岩井・安井ー竹次

打・岸本 4


【経過】
リーグ戦も後半の追い込み時期となった中で、久々に組まれた練習試合。強豪チームを迎え、プレーオフ突破へ向けての調整に余念がない。
さらに、早くも来季に向けてのメンバー編成も怠らないNLは、新入団選手を電撃発表。

初お目見えした選手はスカウトが用意した獲得リストに『26歳、投手』と記されていたものの、
これまでの慣例を無視したチーム最年長選手と判明。

騒然とするベンチを尻目に、またNLが誇る首脳陣の“黒い計算”だったのか、または現在好調なチーム状況を更に一変させるのか……ある意味、
大変注目度の高い一戦を迎えた。

先発はもちろん、チームの勝ち頭、エースSUN。
いつにも増してパイレーツな風貌から、力のある直球をビシビシ投げ込んで封じていく。
打線は2回にビッグイニングを演出。相手投手の制球難に突け込み主将・岸本の押し出し四球、中津のレフト前タイムリー、MG深町の芸術的なライト前2点タイムリー、久保のレフト前これまた芸術的なタイムリーで一挙5点を先制。

大量援護を受けた先発のSUNは、点差を気にする事なくいつものピッチングを披露。
3イニングを無失点に抑えると、4回からいよいよ“NL最年長の隠し玉”岩井がマウンドに上がり、遂にそのベールを脱いだ。

首脳陣の、点差の開いた場面で楽に投げさせたいという配慮を意気に感じた岩井は、ここで周囲の度肝を抜くピッチングを披露。
相手打者に打撃をさせない球威、制球を見せ、衝撃のオールドルーキーのデビューは一気にチームの信頼を得る2イニング無失点を披露。

気合い十分満点デビューの最年長をここでマウンドから降ろし、ラスト2イニングは“NL守護神”安井を登板させる。
6回にダメ押しの2点を追加し、安井は2イニングをピシャリと抑える完封リレー。

投打がガッチリと噛み合ったNL。新入団選手についての質問に対し首脳陣は、
『まだまだ深いベールに包まれたまま。次回?当然あるよ』と煙に巻いた。
……V奪回へ向け、台風の目となる事だけは間違いないだろう。

■平成23年7月31日/香椎浜第一/開始13時/
○N.ライオンズ 5-4 アローズ●


AR:0 0 0 0 0 2 2: 4
NL:0 1 0 4 0 0 x: 5

勝・SUN 7勝1敗0S
SUN―翔平

打・岸本 3
本・翔平1号(2ラン=ランニング)

【経過】
夏場に入りチーム状態も上向きとなってきたNL。このまま一気に突っ走り、プレーオフ進出を確実なものとしたい。
この日の相手は、かつて一度も勝った事がない難敵中の最難敵。好調な打線が突破口を開くのか、絶好調のエースSUNが強打の相手打線を封じ込めるのか…今リーグ戦最大の山場を迎えた。大一番を物語るかのように初回は両チーム無得点の緊迫した攻防からスタート。
しかし、早くも2回にゲームは動き出した。突破口を開いたのは好調なNL打線。

この日、定位置の打順ラストから六番に昇格した翔平がセンター前安打で出塁すると、チーム随一の俊足でかき回し、バッテリーエラーで
3塁まで到達すると、松山のピッチャー右のゴロで3塁走者翔平がギャンブルスタート。投手野選を誘い先制点を叩き出した。

フルスイングしてくる相手強力打線に再三スコアリングポジションに走者を進められる中ピンチを凌ぐと、4回にはまたもや翔平だ。
無死二塁から放った打球はグングン飛距離を伸ばしセンター頭上を越えた。
打球の勢いと共に、スピードスター翔平の走力も加速。野手が追い付き、本塁へ戻す前に翔平がホームインを果たす第1号の2ランホームラン。前回の久保に続き、NLとしても2試合連発となった。

勢いに乗った打線はさらに走者1塁に置き、久保の左翼オーバーとなるタイムリー三塁打、ランナーMAG深町が鬼の形相で1塁から帰還し
精魂尽き果てると、続けざまに岸本の遊撃強襲タイムリー内野安打が飛び出し、この回一挙4得点。
5―0として、この時点で完全に主導権を掴んだと思われた。
しかし、パブリックを震撼させる強力打線の相手チームが、このまま黙って引き下がるわけがない。

NL先発のエースSUNは5回まで毎回ピンチを背負うも、丁寧な投球術で無失点に切り抜けてきたが6回に連打で2点を返されると、
最終回、怒濤の反撃に遭ってしまう。
2点を奪われ、あっという間に1点差とされると、さらに一塁走者が果敢にも盗塁スタート。
これを許せば同点機を与え、相手ペースとなってしまう……。ここで悪い流れを止めたのは、今度は強肩捕手の姿を見せた翔平。
矢のような送球で二盗を阻止すると、ここで完全にゲームの流れを取り戻す事に成功。
攻守に大活躍の翔平がピンチを完全に鎮火させると、最後まで攻めの投球を崩さなかったSUNが完投で締めて、遂に、
強豪相手チームから念願の初白星を挙げた。

プレーオフ進出の先にV奪回を見据えて、NLの熱い戦いはまだまだ続いていく。

■平成23年7月24日/社領南公園/開始13時/
○N.ライオンズ 15-1 メイズスクラッピー●


MS:1 0 0 0 0 0 0 : 1
NL :3 0 1 5 1 5 x :15

勝・SUN 6勝1敗0S
SUN―美澤

打・SUN 3

本・久保1号(3ラン)

【経過】
前回は2ヶ月ぶりのゲームを制しNL再始動を印象づけ、この日はさらに暑さに負けない熱い戦いで勢いを加速させる結末となった。
初回、1点を先制されたのも何のその、直後にNL打線爆発で劣勢を一気に挽回。

久保、岸本が打ちたい気持ちを抑えて四球出塁すると、強打の安井が意表を突く三塁前へのセーフティバント。
慌てた三塁手の悪送球を誘い、あっさり同点とすると、SUNが得意の右中間突破タイムリー二塁打で二者を還し勝ち越しに成功。
3回には1死三塁から美澤が四番の仕事を果たすレフトへの犠牲フライで追加点。
4回には吉武、府後、MG深町、安達の4連打で2点を追加すると、岸本がセンター前にポトリと落とすベテランチックな2点タイムリー
でダメ押し。

完全にNLペースとなった展開で安達ーMAG深町のホットラインが守備でも魅せる。
5回表相手攻撃で走者1塁から右中間を深々と破られる。しかしライト安達が自慢の俊足と飛ばしバックアップ。
素早く返球すると、中継で受けた二塁手MAG深町がまさに“捕ってグラブを置くだけ”の矢のようなストライク送球!
打者走者を二塁で刺した。
相手の反撃の芽を摘むビッグプレーで流れを渡さない。

するとその裏、またまたSUNの人間国宝的な右方向…ライトオーバーとなるタイムリー二塁打でさらに追加点。
これだけの大量得点で、先発全員安打かと思わせつつ…この時点でまだ出ていない意外な男が2人。核弾頭・久保と四番・美澤だ。
さすがに焦る2人。但し、役者が違う2人でもある。決める時は派手に決めてくれるはずだ。

6回、小田のベテランらしい左中間突破タイムリー二塁打で追加点を奪うと、2死二、三塁から問題の久保が打席へ。
高々と上がった打球はグングン飛距離を伸ばし、レフトスタンドに突き刺さる今季第1号の3ランホームラン!
この日結婚式を迎えた盟友・中津への祝弾が飛び出し今季最多15点目を叩き出した。
…というかNL所属メンバーの祝い事の真っ最中に、普通に試合を行っている事も不思議な感があるが、この日はそんな不穏な空気をも吹き飛ばす
猛攻で中津を祝福だ。

残るは1名…なぜか最後の最後に残ってしまった不動の四番・美澤の最終打席。
嫌~なプレッシャーをものともせず、痛烈に引っ張った当たりはサード左を抜けるレフト前安打。締めは四番のひと振りで、
11人打線としては異例の先発全員安打を達成した。

打線の勢いを引き出したのはもちろん、先発投手のエース・SUN。
マウンドの傾斜が合わず、恐る恐るの立ち上がりから守備陣の失策で1点を失ったが、終始安定したピッチングを披露。
相手チームの強力外国人選手を迎えると、NLカリビアンは、力対力の真っ向勝負を挑む。相手の鋭いフルスイングに対し、
ストレート勝負で見事に空振り三振に斬って取った。
結局、SUNは2試合連続の自責点0で完投を飾り、見事に6勝目をマーク。
打線も15安打15得点を挙げ、佳境を迎えたリーグ戦プレーオフ争いに向け、また一歩、確かなる手応えを掴んだ。

■平成23年7月10日/駕与丁公園/開始10時/
○N.ライオンズ 5-0 マスタング●


MT:0 0 0 0 0 0 0: 0
NL:2 2 1 0 0 0 X: 5

勝・SUN 5勝1敗0S
SUN―翔平

打・岸本2

【経過】
度重なる雨に試合日程を阻まれた結果、NL史上最長約2ヶ月のブランクを経て、久々のリーグ戦を迎えた。
そんな溜まりに溜まった鬱憤を晴らすかのように、初回からNL打線が爆発だ。

先頭の久保がサード左を襲う内野安打で出塁し盗塁を決めると、続く岸本が左中間を破るタイムリー二塁打。
ブランクを感じさせない身体能力の高さを感じさせる久保の走塁と、ブランクに腐る事なく打撃フォーム改造に時間を費やした岸本の執念。
ライオンズ野球の代名詞ともいえる1、2番の“KK”が魅せた速攻で先制点を叩き出すと、今度は四番がキッチリと仕事を果たした。
美澤がセンター前に弾き返す2点目のタイムリーでベンチの勢いを加速させると、続くはいまだ“打率10割男”松山。
昨年までは無かった“およしになってねTEACHER打法”から放たれた打球は右翼スタンドに向けて一直線……
『いったか~』の放物線は右翼フェンスに達するタイムリー三塁打…のはずが、一走・美澤の“ドドスコ走法”も実らず
間一髪で本塁タッチアウト……無念にも3点目はならず。

松山は2打席目でお約束の死球、3打席目にもあわや『いったか~』の右翼フェンス直撃三塁打を放ち、凡打する事を知らない打率10割を継続。
2回にはリーグ屈指の強打を誇る下位打線が炸裂する。
1死二塁から“試合前練習で絶不調だったはず…”の中津が「何も持ってなさそうオーラ」を放ちつつ、左中間を破るタイムリー二塁打。
2打席目にも痛烈な左翼超え二塁打を放ち、起用する首脳陣を悩ませるバクチ打法で存在感をアピール。
さらに“地上最強のラストバッター”翔平がセンター前タイムリーで点差を4点に広げると、3回には相手守備陣のエラーにより、さらに追加点。

序盤の大量援護を受けた“NL絶対的エース”先発のSUNは立ち上がりから快調なピッチングを披露。
野手が暑さでダレる前に打ち取る、頭脳的な投球で守備時間を短くする。
相手打者が早いカウントから勝負を仕掛けようにも、抜群の球威・制球で突け入る隙を与えない。
自慢のロン毛が逆効果となり、さすがの暑さにバテてきた終盤には走者を背負うピンチを迎えるも、最後まで集中力を切らさずに見事な無四球の
完封劇。

SUNは『沖縄ノ暑サデ慣レテマスカラ』と頼もしいコメントで締め括り、この夏、フル回転でチームを引っ張るエースの自覚を示した。
暑すぎる夏に……熱いNL野球が帰ってきた。

■平成23年5月8日/駕与丁公園/開始10時/
△N.ライオンズ 2-2 Peeps△


NL :0 1 1 0 0 0 : 2
P :0 0 0 1 0 1 : 2

SUNー美澤

【経過】
リーグ第7戦は五月晴れの駕与丁公園にて行われた。
この日、いよいよ今季初出場となる主力レジェンド・松山が合流。いい流れに乗ってゲームの主導権を握りたいところだ。

初回、好調の久保が先頭打者安打で出塁し好機を演出するも無得点。
その裏、マウンドには先発のNLエース・SUN。球威十分で立ち上がりを無難に抑えた。
すると2回、先頭のSUNが安打で出塁すると、続く小田がベテランらしい老獪な当たりで相手エラーを誘い得点圏を演出。
ここで続けざまのベテラン吉武が一二塁間を破るライト前タイムリー。『美澤様のバットのおかげです。』と、借り物のバットで
早速結果を出し、先発SUNへ待望の先制点をプレゼントした。
さらに得点圏、絶好のチャンスで打席はMG深町。前回のゲームでは終盤、価千金の走者一掃ダメ押し打を放ち、一躍“時の人”となった。
いいイメージのまま放った打球は痛烈に右方向へ……しかし惜しくもライト真っ正面へのライナーに終わった。

3回、昨年までのエース・松山が放った今季初打席の打球は右中間へ一直線。当たりが良すぎてシングル安打となるも、
溜まりに溜まったパワーがここで一気に炸裂。俊足で盗塁を難なく決めると、久保の内野ゴロの間に本塁を陥れ、貴重な追加点を挙げる。

“ミスター10割”襲名松山の快進撃は止まらず、さらに守備でも魅せた。
外野手としては“NL最強の強肩”という肩書きを生かし、三塁を狙う走者をセンターからのレーザービームで刺す大ファインプレー…いや、
この男にとってはさも当然のようなプレー。傾きかけた流れを強引に引き戻した。

マウンド上のSUNは伸びのある直球を主体に走者を出しても決定打を許さないエースらしい投球内容でゲームを作り5回まで1失点。
これで攻撃陣は点差以上にメンタル面で余裕を持ち過ぎたか、リーグ屈指の長打力を誇るクリーンアップが一発を狙い大振りに
終始してしまう。

ダメ押し点を奪えぬまま迎えた最終回は僅かに1点のリード。
絶対的守護神・安井へのスイッチも考えられたが、試合前の右肘違和感により大事を取って登板を回避。
ここまで長いイニングをも投げ切り登板過多の傾向も見え隠れする安井の休養を決めた指揮官は、エース続投による心中を決意する。
意気に感じ最後の力を振り絞ってマウンドで躍動するSUN。
あっさり2死に漕ぎ着けたものの、“あと一人”土壇場の場面からまさかまさかの同点劇……。
なおも一打サヨナラ負けのピンチを招いたものの、ここはSUN-美澤のバッテリーが踏ん張り、結局引き分けに持ち込んだ。
最後の最後にまさかの幕切れ……この日の教訓を生かし、次回のリーグ戦に向けて再調整していきたいところだ。

■平成23年4月24日/駕与丁公園/開始13時/
○N.ライオンズ 4-0 福岡ブルドッグス●

B :0 0 0 0 0 0 0 :0
NL:1 0 0 0 0 3 X :4

勝・SUN4勝1敗0S
S・安井 2S
SUN・安井―美澤

打・美澤1

【経過】
前回、緊迫した1点差ゲームを制した事で意気上がるNLナイン。リーグ第6戦は駕与丁公園で開催された。
マウンドには、今やNLのエースとも呼べるSUNが上がる。
伸びのあるストレートを武器に多彩な変化球を駆使。伝家の宝刀カットボールで相手打線を封じ込んでいく。

何としても先制点が欲しいNLは初回、先頭の久保がセンター前ヒットで出塁。果敢に盗塁も成功させ、
続く岸本もキッチリ四球を選び塁を埋めていく。
ここで安井はファーストフライ。ところが二走・久保は、風に流され一塁手が捕球体勢を崩した隙を見逃さず、すかさずタッチアップで三塁へ。
好走塁でチャンス拡大かと思いきや、タッチアップ時の離塁が早いと判断されアウトを宣告される。
紙一重の際どいプレーに流れが潰えたかに思われたものの、ここで迎えるは四番・美澤。
力強い打球がグングン伸び左中間を深々と破っていくと、ここからベテラン走塁ショーの幕開けだ。
一走・岸本が二塁ベースを蹴り三塁へ……さすがに年齢を考慮して三塁ストップかと思われた矢先、そのままペースを緩めず本塁へ突入。
ライオンズ史に残る“伝説の走塁”を彷彿とさせる見事なベースランで本塁を陥れ、貴重な先制点を挙げた。
この走塁でベテランの足の筋がピリッときた事は言うまでもないだろうが。

そして、この日のディフェンス面は完璧だ。
先発SUNを強気かつ大胆にリードする捕手は、その風貌があまりにもマッチしすぎる美澤。
初回、二盗を試みられるも、自慢の強肩で悠々アウトを奪った。
2回、今度は2死満塁のピンチで難しいサードからの送球を吉武が見事にすくい上げ好捕。
『財力(グラブ)に助けられた』と言い残し無得点に切り抜けベンチに下がっていった。
四番のひと振りと主将の激走で幕を開けたものの、その後のチャンスをなかなかものにできない。

相手先発の捕え所の無い投球と代わったリリーフ投手の速球を前に僅か1点リードのまま膠着状態が続く中、とうとう終盤6回,
ここでこの日、いや今季最大級のサプライズが炸裂した。

安井、SUN、小田の安打で1死満塁。打席には吉武。このチャンスを逃すと打線は下位に突入する…何としても決めたい吉武だったが、
詰まらされた内野フライに倒れる。
このまま最小リードで最終回へ突入か…ここで打席にはMG深町。寡黙な男が打席に向かう際、『ここは俺が走者一掃のパターンかな』。
心優しき男が珍しくネタとも思える……いや、みんなネタと思ってた強きな発言で打席へ向かう。
力強くもコンパクトにおっつけた打球は、ライト線いっぱいに弾き返され、満塁の走者一掃となる有言実行の3点タイムリー二塁打。
NL恐怖の下位打線がゲームの行方を決定づける大仕事を成し遂げた!

こうなると今季ここまで一度の失敗もない“絶対的守護神”最後を託すのみ。
先発SUNは先頭打者を出さない安定した投球で5回無失点で降板。
もはやチームにとって“X"ではない“重要なファクター”となった安井を6回からイニングをまたいで登板させる指揮官の絶妙采配。
この日は捕手・美澤のリードで終始、クレバーな投球を展開し2回無失点。見事な火消しぶりで2セーブ目を挙げた。
試合後、一躍時の人となったMG深町は、『ここ(駕与丁)で、かつて連日早朝練習した成果が出ました』と語り、
手には大事そうにウイニングボールを握り締め、球場を後にした。

■平成23年4月10日/駕与丁公園/開始16時/
○N.ライオンズ 2-1 福岡リンクス●


NL :2 0 0 0 0 0 0: 2
LX :0 0 1 0 0 0 0: 1

勝・SUN3勝1敗0S
SUN―府後

打・SUN2

【経過】
前回のゲームでは土壇場の最終回、逆転に成功しながらも、試合時間の壁に阻まれて無念の敗北。
そんな中で迎えたリーグ第5戦は、NLナインの『めっちゃ勝ちたいんねん!』が象徴される試合展開となった。
だが、この日の対戦相手は、ここまでリーグ戦を無敗の快進撃で突き進んできた簡単には勝たせてはもらえないチームだ。
桜満開の駕与丁公園に、今季最多の大観衆を集めて行われたゲームは、初回にいきなり動き出した。

先頭から二者が凡退するも、ここから魅せたのがNLが誇る強力クリーンアップトリオだ。
三番・安井が逆らわずライト前に弾き返すと、ここで四番・美澤。
より確実性が増し、まさに手がつけられない今季を象徴するかのような当たりで、左中間を深々と破る二塁打。
二、三塁と先制のチャンスを掴むと、ここで迎えるは五番・SUN。ファウルでタイミングを合わせていくと、
既に芸術の域に達した得意の右打ち。打球は一直線に右中間へ飛んでいく2点タイムリー。
クリーンアップだけで叩き出した虎の子の2点を、今度は先発のSUNがエースとして守り抜いていく。

立ち上がりからテンポ良く投げ続け、相手打線に付け入る隙を与えない。
3回に四球を絡め1点を与えたものの全く動揺する気配もなく、力のあるボールを投げ込んで行った。
捕手との呼吸もバッチリだ。この日はベテラン捕手の府後が久々の先発マスク。府後の緻密な頭脳に裏打ちされたリードが冴え渡る。
こうなれば何としても追加点を挙げてエースを楽にしてやりたい。しかし、相手投手の素晴らしい投球に、NL打線もチャンスを掴めない。

ところが6回、1死からトップの久保が“核弾頭”らしい当たりでセンターオーバーの三塁打。願ってもないビッグチャンスを迎えたものの、
後続が倒れホームが遠い展開へ。
それでも老獪な守備陣がSUNを盛り立てて行く。レフト小田が飛球を『オ~ライ』と発したものの前進前進また前進……
まだ前進?!何とか落下地点を誤らず、風に流された打球を無事、捕球。
さらにファースト吉武は、普段なら絶対間に合わない。いや追わないであろう相手ベンチ前へのファウルフライをランニングキャッチで好捕。
エースの力投が、老骨にムチ打つベテラン勢の動きまで蘇らせてしまった。
最終回、残り1本から足踏み状態が続いていた小田がキレイなセンター前安打を放ち、史上4人目となるNL通算100安打を達成。
SUNの好投に華を添えた。

最後まで球威が衰えないSUNであったが、最後の最後に大きなヤマを迎える。
ライト右へ風に流された打球に中津があと一歩のところで追い付けず、得点圏に走者を許してしまう。
土壇場の最終回1点差。三塁まで走者を進められたものの、最後まで集中力を切らさないエースらしい投球で、緊迫した投手戦を締め括った。
価値ある1勝を挙げ、今後のリーグ戦に勢いをつけたチームは、花見客の大渋滞に巻き込まれながら球場を後にした。

■平成23年3月27日/雁ノ巣8番/開始15時/
○チームH 4-2 N.ライオンズ●
(参考スコア:NL 6 - 4 TH)

NL :1 0 0 0 1 0 (4): 2(6)
TH :0 4 0 0 0 0   : 4(4)

負・美澤 1敗

美澤・安井―池田

【経過】リーグ第4戦は土壇場の最終回にまさかの結末が……!?
この日、開幕から3試合連続先発として結果を残したエース・SUNが無念の欠場。
更には試合開始2時間前にアクシデントによる欠場者が続出し、9人を割り込む非常事態。
攻守に渡る非常に痛い戦力ダウンに指揮官の表情も曇りがち…かと思いきや、このピンチにスタメン5番大抜擢は何と
育成枠から新入団の中津。『何かやらかしてくれるはず』……指揮官の裏打ちされた直感に、このゲームの命運は託された。

試合は初回、相手先発投手の立ち上がりを攻め込み、一気呵成に主導権を握りたいところであったが、中津の押し出し四球の1点止まり。
期待の中津が早速、結果を出したものの、満塁と塁上を賑わせた割の最小得点には不穏な空気がプンプンと漂ってきた。

NL先発は今季初の美澤。『俺しかいないでしょ』とばかりに立ち上がり、抜群の球威と制球力で相手打線を寄せ付けず上々の立ち上がり。
『これならスミ1でもいけるな』とベンチを安心させた途端の2回、早くもその構想は崩れ去る事になる。
まさかの大乱調で満塁押し出しを含む4失点……一気に逆転を許してしまった。
だがNL打線も粘りを見せる。大黒柱の乱調を取り返すべく3回は2死一、二塁、4回も1死一、三塁と攻め立てるもまさかの無得点。
ホームベースが遠い展開となってしまう。

“勝利への執念”を見せるNLは3回から何と、守護神・安井を早くも投入。ロングリリーフで追加点を許さない。指揮官の熱い思いに、
ナインが応えないはずがない!

すると5回、再三のチャンスを演出した打線はまたしても2死二、三塁。ここで打席はまたも中津。
“持ってる男”が放った打球は相手内野陣のエラーを誘い、ようやく2点目を上げた。

守護神・安井は3回から6回までの今季最長4イニングを無失点。期待通りの力投に指揮官もベンチ裏で涙を流す中、何とかしたい打線は遂に
この男にスイッチが入った……恐怖の下位打線・安達!
6回2死から左中間を深々と破る長打で、気持ちが入った二塁ベースへの猛烈なるスライディング。ナインを鼓舞する熱い闘志でチャンスを掴むと、ここで打席はGO池田。しかし、あまりのキワど過ぎるコースに判定ストライク……無念の見逃し三振に倒れ得点ならず。
万事休すか………。
しかし、誰ひとりあきらめないNLナインは土壇場の最終回、あと1人の場面から遂に奇跡を起こす。

2死無走者から安井が執念で四球を選ぶと、四番・美澤が一発同点の色気を捨て去りセンター前安打で繋ぐ優等生ぶりを発揮。
集中力の鬼と化した二人の走者がダブルスチールを決め、2死ながら二、三塁。ここで再三の好機に廻ってくる中津。
簡単に2ストライクと追い込まれるも粘りに粘り、遂に左中間を破る起死回生の同点2点タイムリー!
スタメン5番大抜擢、指揮官の期待に見事応えた中津の長打でゲームを振り出しに戻すと、続く吉武が開幕からのスランプをものともせず、
ライト左を破る逆転のタイムリー三塁打。
こちらも指揮官の愛用バットKAZUOモデル使用による気分転換が功を奏した采配ズバリの的中。
続く府後にまでサード強襲タイムリーが飛び出し、この回一挙4点。誰もが勝利を確信したものの、ここで試合時間超過によるタイムアップにてゲーム終了。
リーグ規定により、この回の得点が認められず、記録上の敗戦となった。
しかし、誰ひとり負けたとは思っていないNLナインの驚異的な粘り……指揮官もその内容に確かなる手応えを掴み、球場を後にした。

■平成23年3月13日/駕与丁公園/開始14時/
○N.ライオンズ 6-3 丸喜レンジャース●

MR:1 0 0 0 0 0 2: 3
NL :0 2 1 0 0 3 X: 6

勝・SUN 2勝1敗0S
S・安井0勝0敗1S

SUN・安井―翔平

打・SUN1

【経過】リーグ第3戦が駕与丁公園にて開催され、熱戦が展開された。
NL先発は開幕から3試合連続となるSUN。初回、味方のエラーに足をすくわれ1点を失うも、上々の立ち上がりを見せた。
回を重ねると、エースらしいピッチングで相手打線を寄せ付けない。

すると2回、四番・美澤がレフト前に弾き返した一撃から反撃の狼煙を上げた。
1死二塁となり吉武の打球は打ち取られた内野フライ……しかし、まさかの落球で1点を返すと、MG深町が鮮やかにおっつけてライト前安打。
これも相手エラーが絡んでこの回2点を挙げ一気に逆転に成功。

3回にも無死三塁から、岸本のチーム打撃と化すセカンドゴロの間に1点を追加。
さらにゲームは終盤6回、力投を続けるSUN自らが、お得意の右方向への大飛球。ライト頭上を破るタイムリー三塁打を放つと、
2死満塁からも2点タイムリーが飛び出し一気に突き放した。

先発SUNは6回1失点のグッジョブでお役御免。最終回は“新・守護神”安井が満を持しての今季初登板。
味方のエラーなどで2点を失うも、全球種を試投しながら納得の今季初セーブ。
リーグ戦2勝目を飾り、今後の戦いへ向けての確かなる手応えを掴んだ。

■平成23年2月27日/駕与丁公園/開始10時/
○N.ライオンズ 12-1 ダービッツ●

NL :1 0 6 0 4 1 0:12
D :0 0 1 0 0 0 0: 1

勝・SUN 1勝1敗0S
S・美澤0勝0敗1S

SUN・美澤―翔平

打・岸本1

【経過】開幕戦を落とし、不穏な空気に包まれるかと思われたNL。
しかし、指揮官及び選手のモチベーションは全く下がってはいなかった。むしろ、手応えを感じて迎えたこの日のリーグ第2戦。
先攻のNLは初回、度肝を抜く相手先発の中学生左腕投手の立ち上がりに狙いを定めた。

先頭の久保がキッチリ見切っての四球を選び幸先良く二盗を決め得点圏に歩を進めると、2死となるも美澤が幸先良くセンター前タイムリー。
『これぞ四番!』のひと振りで先制を果たすとその裏、NLの先発マウンドには2試合連続でSUNが上がった。

今やエースとも呼ぶべき起用法に応え、好投虚しく敗れ去った開幕戦のリベンジを果たしたいところだ。
この日も規格外の球場一番乗りを果たし入念に調整。
そんな誰よりも野球をこよなく愛する“カリブの海賊”は、立ち上がりから安定した投球を披露。そんなSUNの熱き思いに応えたい打線は、
3回にビッグイニングを演出。
1死から久保が2打席連続の四球でキッチリ仕事をすると、続く岸本がタイミング激ズレ泳ぎながらのセンター前タイムリー。

さらに安井の右中間二塁打の後、美澤が打点を稼ぐセカンドゴロ、SUNがセンター前タイムリー。
吉武のセカンドゴロがタイムリーエラーとなり、続く府後が股関節痛になりながらも気力でセンター前タイムリー。
さらにMG深町のレフト前安打を挟み、この回2巡目の翔平がセンター前タイムリー。
一挙6点を奪い主導権を握ると、5回には久保の押し出し四球と、安井の走者一掃左中間3点タイムリー二塁打で4点を追加。
6回には吉武の小賢しいセンター前ポテン安打がタイムリーとなり、結局13安打12得点。

最終回の守りでは得点差も開いた事で、左翼・小田、中堅・岸本、右翼・吉武による“トータル113歳トリオ”による外野陣を形成。
かつて“鉄壁の外野網”と恐れられた20年前の遺産を抱きながらも、『外野広っ!』と後ろ向きな発言と共に無事、1イニングを乗り切った。
先発SUNは4回1失点のナイスピッチングで今季初勝利。
リリーフした美澤は無失点ながらも周囲の叱咤激励を浴び、3イニングを投げ切っての今季初セーブ。
投打の歯車がガッチリと噛み合っての今季初勝利。

リーグ戦1勝目を挙げた指揮官は相手先発の中学生左腕投手を称え、
『大の大人げない大人たちを相手によく投げ切ったと思う。経験を積んだら脅威になる』と語った。

■平成23年2月20日/雁ノ巣4番/開始11時/

○早良区LOVE 4-2 N.ライオンズ●

NL :0 0 0 2 0 0 0:2
SL :1 0 0 2 0 1 x:4

敗・SUN 0勝1敗0S

SUN—翔平

【経過】No Limit!2011〜勝利への執念〜Hit!Foot!Get!……4年ぶりのリーグV奪回を目指すNLの、勝負のシーズンが始まった。
各自、自覚を持ったオフを過ごしたはずだが、一部主力選手にウエイトオーバーな兆しも見られた事は見逃せない。
松山の開幕戦欠場により屋台骨を支える投手陣は美澤を筆頭に、久保、安井、SUNの“右の豪腕四天王”に命運を託す事になった。
その中から、記念すべき開幕戦のマウンドに上がったのは、“ジャパニーズ・カリビアン”SUN。
隣接する野球場で開催されていた少年野球大会の子供たちから外国人選手と間違われ、『NO!ワタシ、日本人デス!』と片言の日本語で応戦。
マウンドには相変わらず寒々とした半袖シャツで上がり気合い十分だ。

立ち上がり、強打の相手打線に対し、力のあるストレートで押していく。走者を許し二盗を試みられるも、捕手・翔平が矢のような送球で刺し、
SUNを強力に後押しする。

さあ、あとは打線がSUNを援護する番だ。初回、1死から岸本が相手投手の球種を引き出した上で、粘りの四球を選んだ。
ここで迎える打者は3番・安井。NLトップクラスの長打力を誇る男に期待が集まる……が、まさかのショート真っ正面。
6-4-3のダブルプレーに倒れ得点ならず。

ならば、と1点を追う2回、1死一、二塁。迎える打者は吉武。昨年は小田とチーム最多安打を分け合った打撃に期待が集まるも
まさかのセカンド真っ正面。4-6-3と渡る2イニング連続の併殺劇。

草野球あるまじき不名誉な展開に以後、ベンチの隅の方で安井と吉武が小さく肩を並べて寄り添っていた事は言うまでもないだろう。
1点を失うも、先発SUNの“怪投”は続いていく。2、3回をピシャリと抑え、今度こそ味方の援護を待つ。

そうなると何とかしたくなっちゃうNL・No Limit打線は4回、2死無走者から驚異的な粘りを発揮する。
岸本が痛烈な当たりでショートのグラブを強襲し出塁すると、すかさず盗塁を決める。主将の熱い闘志に触発された安井はチーム打撃に徹し、
最後には四球出塁。さらにここで打って決めたい四番・美澤までもが、相手をジワジワと追い込むかのように四球を選んだ。
2死満塁。もう併殺はない、と開き直ったSUNが放った打球はサードへ。絶妙なボテボテ感に慌てた相手守備陣のエラーを誘い、
三走・岸本に続いて、二走・安井までもが好走塁で一気に生還し、泥臭ぇぇぇぇ〜逆転劇。
沸き上がるNLベンチ。形はどうあれ、この貴重なリードを守り切りたいところだ。

しかし、前年度覇者の相手チームが、このまま簡単に引き下がる訳がない。すかさずその裏、ワンチャンスをものにしての2点を奪われ、
再度の逆転を許してしまった。

6回には遂に重い1点を追加され万事休す。SUNの力投も虚しく、再三のチャンスを逸しての開幕黒星発進。
しかし、指揮官の表情に焦りの色はない。むしろニヒルな笑顔でベンチ裏へ。これは大変だ。何かを掴んだに違いない。
この1敗を糧に、NL2011がスタートを切った。